スーパー歌謡ショウ「新西遊記」



みなさま、こんにちは。こんばんは。如月紫水です。夏バテ気味です。(爆)
去年の冷夏の分まで今年は暑いですね…でも、そんな真夏の暑さより「熱い」舞台が今年もやってきました!
今年も楽しみました!一幕も二幕も近年中では一番の出来なのでは!?と観終った直後に感じました。

初日、14日夜、15日昼夜、18日夜と千穐楽という日程で観劇(予定外当日券が二回;;)したので、レポートもそこから汲み取って書き進めます。
今年はブロードバンド放送がリアルタイムでないので本当の記憶力勝負!……なので、いつもより抜けてる箇所が出てくるかもしれませんので(滝汗)そのあたりはどんどんつっこんでくださいませ。m(__;;)m
まぁ、ブロードバンド放送時の予習の気持ちで見ていただければ。(^^;;
ということで…第三回スーパー歌謡ショウ「新西遊記」全面バレレポートをお届けいたします!
これより下の文章にはサクラ大戦各作品やそれに関するあらゆるメディアのバレが存在すると思いますので、バレを気にする方はお気をつけ下さいませ。

それでは、巷は「サクラV」で盛り上がっている最中ではございますが(笑…私も「V」情報はチェックしております。六本木…行けたら行きたいと思っています。キャラクターはサジータさんと新次郎くんに注目気味です。)
最後までお付き合い願えたら幸いです。

追記:ご指摘いただきました所などを修正しました。ryufugaさん、麻宮 美夢さん、和吉さん、トラ子さん、あなたの青空さん、犬坂さくらさん、賽鍵さん、BAKOさん、どうもありがとうございました!


―――レポート本文―――――


自宅から一歩外に出ると、身体に絡みつくような暑い空気が漂う今夏。大きな氷も今年は大活躍。(笑)
新宿厚生年金会館改め大帝国劇場にはたくさんのファンが思い思いに開場の時を待っていると、恒例の役者さんの挨拶回りが!
初日は親方、武田、西村、ダンディのボス、大神さん、金田先生、公平先生そして、もはや歌謡ショウの準レギュラーと言ってもまったく差し支えの無い塚田さんが一人一人と握手を交わしていました。(^^)

中に入り、何時も通りお花をぐるりと眺めてから客席へ。今回は二階席からだったので、すぐにYahoo!BBのキャンペーンにも気づきました。会場でBBに加入すると、特性マウスパッドがもらえるとか。
今後サクラ大戦に力を入れていくつもりのようですので、ブロードバンドに加入を考えてるサクラファンはYahoo!BBもいいかもしれませんね?25日に予定されている記者会見も独占放送するらしいですし。

そしていつものちらしチェック。(笑)
今回は…

★スーパー歌謡ショウ「新西遊記」DVDBOX販売のお知らせ
今年もまたまた4枚組の超豪華仕様!特典映像にはSakuraCafeのミニミニライブショウのダイジェストも入ってるので、まず私は買いです。
今回もコンビニ予約が主流でセガダイレクトや浪漫堂、RED STOREでの販売もあるそうで、9月30日〜11月11日が予約期間だそうです。

★サクラ大戦OVA ル・ヌーヴォー巴里
巴里のOVAシリーズ第二弾!です。早いですね。特典映像でディスクに昨年のディナーショウ映像がついてくるというのが、気になります。

★サクラ大戦 ドラマCD全集
全5期・20タイトルの歴代ドラマCDをBOX化!……BOXの形や大きさは先に出た全曲集と同じだそうです。
うう〜ん…歴代をちまちま持っている身としては、再びわざわざBOXで買いなおすのは正直辛い。(^^;;
ブックレットは気になるのですが…

★Pink Rainbow
三ツ矢雄二さんが仕掛けた横山智佐さんと鈴木真仁さんのユニット。今年の11月にCDが発売になるそうです。サクラでもよくお名前をお見かけした方が多数参加していらっしゃいます。

★Mother
これまた三ツ矢雄二さんが仕掛る歌と踊りで綴るセリフの無い完全ミュージカルだそうです。横山さんや松野さんが出演なさるそうで…公演期間は11月3日から7日、全労済ホール/スペースゼロだそうです。

★渕崎ゆり子マキシシングル発売
8月20日に発売!だそうです。特典がすごい。CD購入者の方に直筆サイン入りの生写真をプレゼント!だそうです。ちなみに、会場では先行発売を行ってるみたいで、ここで買っても直筆サイン入りの生写真がもらえます。(母が買ってきたのでたしかです。(笑))

★折笠愛ミニアルバム「mono-gatari」
ミニアルバム+DVDで10月15日発売。DVDはイメージ映像で特典映像付きで30分だそうです。

★折笠愛出演決定 劇団岸野組公演〜森の石松外伝〜『妖刀奇譚・総司と石松』
11月7日から14日の日程で下北沢本多劇場にて行われる公演に折笠さんが出演されるとのことです。前売り開始日は9月14日、と。ぴあやローソンチケットで取り扱ってるそうです。

★Pam! Vol.51
おなじみの、avexの情報誌ですね。表紙は犬夜叉です。

今年の中身はこんな感じでした。「サクラ」系はこれから大きな出費が続きそうですね。(苦笑)
さて、パンフレットも一通り目を通し終えたらもう開演の時間。(ところで、今年のパンフレットのレニのページでちょっと気になることが…あの首筋のデザインは、もしかして!?)

広井「どうも〜〜〜!!」

下手の客席出入り口より元気な掃除人さんが登場!もうここは歌謡ショウには欠かせないシーンになってますよね。
お客さん一人一人と触れ合いながら下手から上手へと移動…ってこの動きは二階席からだとまったく見えないんですがね。(^^;;
(初日は2階A席だったので;;)小さなお子さんには特に優しくして(笑)舞台の上へ。

広井「ようこそいらっしゃいました!(礼)
   初めての方、いらっしゃいますか?」

広井さんがそう聞くと、ちらほらと手が上がっています。あら?去年よりも多い…?
PS2でソフトが発売された影響でしょうか?

広井「あ!たくさんいらっしゃいますね。
   ご説明いたします!」

と、なんだか懐かしい(笑)お約束についてのお話が。そう、そうなんですよね。ここは大帝国劇場。この世は太正浪漫が溢れてる!

広井「普通の演劇と違うところがあります。
   普通の演劇にはまず、コスプレイヤーはいません!(笑!)
   アメリカでは最近あるみたいですけどね。劇場側から来てくださいって。
   早かったね、僕たち。世界の潮流ですね!(笑)
   で、こっちが本物!(舞台上を指す)
   こっちがバーチャルですから!(客席側を指す)」

そう、舞台上に存在するのは真宮寺さくら、マリア・タチバナ以外の何ものでもないのですよね!(笑)

広井「ちょっと背丈とか様子が違ってるところがありますが。(爆)
   そこは演劇のイマジネーションで!無い物がある様に見える!これです。
   1つよろしくお願いします。」

ああ…そうか、初めての人はイマジネーションを働かせる所からはじめなきゃいけないのか…もはや自然変換が一瞬で出来るようになってるので、なんだか懐かしい。(笑)
あとはいつもの拍手「短く歯切れよく」掛け声「マリアさ〜〜〜んとか、こういうのは無しね。マリア!!とか、決まるとカッコいいですね。」
そして扇子・団扇「横から扇がずに、下から扇ぐと粋でいいですね。」と言っておりました。

広井「初めての方は、今日学習して当日券でまたいらしてくれれば…」(笑)

なんだか今回はやたらと当日券をアピールしてますね。私も一回購入しましたが。A席後方はかなり空いてましたしね;;
ここで広井さんの方は話題転換。

広井「なんと今回の舞台ですね、台本が三ヶ月も遅れた!!
   大変なことですよ!」

それを貴方が言いますか!(笑)客席からも「誰だ!」とツッコミの掛け声がかかってますよ。(^^;;
でも、ここにいるのは掃除人のみ。ですから…

広井「誰だ!ホントに…言っといてやりますよ!
   裏方は本当にもう大変なんだから!」

ほら、書き手じゃないんですよ。(笑)
裏方…と言ったらあの方を置いては語れませんよねってことで下手から親方が登場!

親方「広井!なにごちゃごちゃ言ってるんだ。
   今、裏方が大変だって言ってなかったか?」

広井「ええ、言ってました。」

親方「なに言ってんだよ、釘の一本もロクに打てないくせによ。
   それよりお前、掃除は終わったのか?」

広井「ええ、今やってます。」

親方「今って…それは本来劇場が開く前に済ませておくことだろう!」

広井「えっじゃあ俺、お客さんとは本当は会えないんだ?」

親方「まぁ、本来はそういうもんだろうが…」(^^;;

そうですね、本来は…でも掃除人さんの前説を楽しみにしているのであまり優秀になられても困ります。(笑)

広井「あ、ところで親方ね。
   こんなのがあるんですよ。」

再び新しい前振り。広井さんが懐から取り出だしたりますはYahoo!BBの会場加入者限定配布のマウスパッド!
そういえば、今回はブロードバンド放送についても一枚かんでるんですよね。

広井「9月以降、歌謡ショウ連続放送ですよ。
   今、BBに入ると無料で見れちゃう!」

おお、それはちょっとすごいかも。親方も関心気味。
今はDVDとかが手に入らない作品も歴代の歌謡ショウにはありますものね。
歌謡ショウが好きになったけどまだ昔を追っかけてない人やブロードバンドを迷っているファンは……これを機にすると良い踏ん切りになるかもしれませんね。今回の「新西遊記」の配信もBB加入者だと一週間早く見れるみたいですし。
そして広井さんは手に持っていたマウスパッドを最前列の方にプレゼント!太っ腹!(笑)

親方「えー、それでは「新西遊記」!
   一部と二部でまったく違ったお芝居をお見せできると思います。
   あっちでも見れる、こっちでも見れるという代物ではございません!
   この大帝国劇場だけでございます!
   最後までごゆっくりお楽しみください!!」

二人で礼をして、前説終了!親方がすたこらと下手に下がると…あ、掃除人置いてかれてますね。(^^;;

広井「!…ちょっと親方、置いてかないでくださいよ〜!」

慌ててさがって行きました。(笑)
今年はちょっと短い印象の前説でしたね。
さぁ…いよいよです。真夏の一時の夢が始まります!

さくら「本日はお暑い中、大帝国劇場にご来場賜りありがとうございます。
    真宮寺さくらです。
    今年で八年目の夏を迎えました歌謡ショウ!
    毎年こうして初日の幕を開けられるのもひとえにお客様のおかげと感謝しております。
    さて、新西遊記はこの夏の暑さを吹き飛ばす冒険活劇でございます。
    どうぞ最後まで楽しんでいってください。
    では!幕が開きます!」


――14日・夜―――――

この日は織姫でした。

織姫「みなさーん!チャオ!ソレッタ・織姫でーす!
   本日は大帝国劇場にご来場賜りありがとでーす!
   それにしても日本の夏は暑いでーす。ムシムシ、ミンミンしま〜す。
   ですから、楽しい舞台で暑さを吹き飛ばしまーす!
   私たちも頑張ります!どうぞみなさん、楽しんでいってくださいね。
   では、幕が開きまーす!」

とっても織姫節が炸裂してました。(^^)

――15日・昼―――――

今日はDVD収録日(予備公演)なので、誰かな〜?と思っていたら、アイリスでした。

アイリス「みんなこんにちは!アイリスで〜す!
     ようこそ、大帝国劇場へ!
     今年で8年目の舞台です。
     こんなに長く続けられたのはみんなのおかげだよ。
     ホントにホントに、ありがと!
     じゃあ、幕が開きまーす。最後まで、楽しんでいってね!」

アイリスのアナウンスは、やっぱりいつもいつも可愛いですね。

――15日・夜―――――

DVDのことを考えると、あの人かあの人あたりかな?と予想をつけていたら当たりました!かえでさんでした。

かえで「皆様、大帝国劇場にご来場賜り、誠にありがとうございます。
    本日はお足元の悪い中、このように大勢のお客様に足をお運びいただき
    誠に感謝しております。
    今回の「新西遊記」は熱い舞台です。
    ジメジメした天気を吹き飛ばせると良いのですが…はてさて、どうなりますことやら。
    それは、見てのお楽しみですね。
    さぁ!幕が上がります。どうぞ最後まで、楽しんでいってくださいね。」

この発言の様子から見ると、かえでさんは生ナレーションだったのでしょうか??
「ユンホォア」には参加しないからありえない話じゃないんですよね。

―――18日・夜―――――

この日はマリア。

マリア「ようこそ、大帝国劇場へ。マリア・タチバナです。
    サクラ大戦花組歌謡ショウも今年で八年目を迎えます。
    こうして長くにショウを続けてこられたのも、ひとえに皆様のおかげと、心より感謝しております。
    さて、今年は例年になく厳しい暑さが続いておりますが
    その暑さを吹き飛ばすくらいにパワフルな舞台をお届けしたいと思います。
    どうぞ最後まで、お楽しみください。では、幕が開きます。」

なんだかマリアさんが言うと締まりますね。

―――――



開演のアナウンスが入ると、柔らかい印象を与える今年の中華風レビュウ曲が流れてきました。
幕が上がり、照明がつくと、新しいレビュウ服に身を包んだ花組が!(曲にあわせてチャイナなどの中華風。色は男女とも濃い桜色。女役の花組メンバーのチャイナは両方にスリットが入っていて「つばさ」のレビュウ衣装を思い出しますね。男役の三名はズボン(レニのみ上着が他の二人より短い丈)、アイリスは短めのスカート。アイリスと紅蘭は髪をおだんごにしてより可愛かったです♪)

花組「♪ユンホォア 夢の花 ユンホォア 幻の花
    幸せを 歌う花 優しく舞う花よ」

♪ユンホォア〜レビュウ桜花乱舞〜

1番サビ〜2番のメロディー部分を削った短縮版。白い大きな羽扇を用いた振り付けはとっても優美な印象でした。
円に沿った陣形も、間奏部分でさくらさんを中心に全員がウェーブ状に回るところも素敵。
基本的な陣形は

   レニ   織姫
 紅蘭      アイリス
  マリア   カンナ
     さくら
ですね。サビ前ではコーラスに当たるマリア、カンナ、レニが真ん中に移動したりしていました。
最後は舞台手前で下手より紅蘭、マリア、紅蘭、レニ、さくら、織姫、カンナ、アイリスの順番に並んでポーズ!
余韻が残るような幕引きで暗転。

今回の物語の始まりは…

金田「いや〜…何とかギリギリ台本が仕上がって良かった良かった。ホッとしましたよ。」

上手側の通路兼舞台から扇子で扇ぎながらよたよたと登場してきたのは、金田先生!その後ろには今しがた上がったばかりであろう台本を風呂敷で包んで持っているかえでさんもいます。
二人で舞台中央へと歩いていきます。(紗幕は降りたまま)

かえで「いつもいつもご無理を言ってすいません。」

金田「いやいやいや、無理は承知の助でいいんでゲスけどね」
   今回はまた急に配役が変更になりましたでしょう?」

かえで「ええ。(^^;;
    例によって、くじ引きで。」

あ、やっぱりくじ引き配役は健在なのですね。(笑)

金田「あっはっは。しかし、くじ引きで配役を決める劇団だなんてそうありませんな。」

かえで「(笑)でも、民主的でしょ?」

金田「民主的!最近の流行ですな。」

ん?あ、大正デモクラシーあたりのことを指しているのでしょうか。

かえで「さ、みんな台本を楽しみにしていますわ。
    早く行きましょう。」

かえでさんの脳裏にはきっと台本を手にして笑顔になる花組の面々の顔が浮んでいるのでしょう。
にこやかな表情で先に進もうとするかえでさんですが、それは金田先生の夏バテ気味の一言で止められてしまいます。

金田「ハイそうですげすな。と言いたいところなんですがね。
   あたしゃ喉が乾いてしかたないんでげすよ…」

かえで「そうですね、暑いですものね。」

首筋に手を当てて汗をふき取る動作をするかえでさん。そうそう、今年は本当に暑い…うだるような暑さとはまさにこのことですね。
となると、恋しくなるのは冷たくて甘いもの。そんなかえでさんの目には、丁度いい場所が映っていました。

かえで「じゃあ、(下手側の通路兼舞台を指差す)あそこの資生堂パーラーで
    クリームソーダなんていかがでしょう?」

金田「クリームソーダ!いいでげすなぁ!大正モダンですな。
   行きましょ行きましょ!」

さっきまでの芯の抜けた声はどこへやら。一転してウキウキした足取りでかえでさんの手を引っ張って進みだす金田先生にかえでさんも笑ってますよ。(^^)
二人が上手側に消えると、突然日常の空気を破るような甲高い笛の音が!!!
会場内がにわかに明るくなるとドタドタと警官が二階席一階席を「桃栗小僧!どこだ!」といいながら走り回っています!(大神さん以外の男性陣は大体出てるかも。)
どうやら、誰かを必死で探している様子…とそこへ上手から警官とは身なりの違う男がやって来ました。

川岡刑事「どうだ!いたか!?」

川岡刑事が舞台上でうろうろしていると、さらに上手から男が一人…それを見かけた川岡刑事が素早く敬礼するところを見ると、どうやら川岡よりも上の地位の人みたいですね。

川岡刑事「山田警部!ご苦労様です!」

山田警部「うむ。どうだ!桃栗小僧はいたか!?」

川岡刑事「いえ、それが…!
     (二階席を見ながら)上のほうどうだー!?」

警官「見つかりません!」

川岡刑事「下は!?」

警官「見当たりません!」

山田警部「三年前に後一歩で捕り逃がした
     ナリ潜めてやがったがとうとう姿をあらわしやがった!
     探せ!!」

警官たち「はっ!!!」

山田警部の指示で客席内を見渡す警官たちすると…

警官「山田警部!!いました!!!」

山田警部「何!?どいつだ!!」

警官「こいつです!!」

と警官が立ち上がらせたのは客席の一人!!(^^;;
どうやら、一階席の下手よりのSS席に座っていらっしゃる方(女性)が標的になるみたいですね。

山田警部「貴様!…可愛いな。幾つだ!?」

ここ、客席の方が言っていたことは聞き取れませんでした;;
うん、どっちにしろ誤認逮捕ってことですよね。ちなみに、この山田警部のセリフは日を追うごとにおかしくなってきました。(笑)
15日の夜公演なんて自宅の電話番号を渡してましたよ。(笑)妻が先に出たら築地警察署の者だと言ってくれってね。勤務中に堂々ナンパです。(爆)

山田警部「全然違うじゃないか!」

警官「すいません!」

山田警部「あまり軽々しく通行人を捕まえるな!
     警察規約第六条!誤認逮捕の場合は速やかに謝るべし!」

警部たち「ごめんなさい!!」

すごいハキハキした警官たちですね。(笑)

川岡刑事「あ!警部、あれ!(下手側を指差しながら)
     桃栗小僧ですよ!」

山田警部「だったら捕まえんか!」(ぺしっととなりにいる川岡刑事を小突く)

川岡刑事「は、はい!!桃栗〜〜〜!!!」

川岡刑事が遠目に発見したらしい桃栗小僧を追って川岡刑事ダッシュ!客席の警官は撤収!!(会場の明かりは再び元の暗さに)

山田警部「今夜こそ逃がさんぞ!!」

去る台詞のあと、山田警部も下手へダッシュ!
舞台上に誰もいなくなると、軽快な音楽と共に紗幕が下りたままの舞台に照明が。
帝都のある町の一角。後ろには大きな満月。その満月を背に舞台中央に設置された建物の屋根の上から影を映す人影1つ。紗幕が上がると人物がはっきりします。
長い黒髪に盗みの一仕事をするには都合が良さそうな黒装束……そう、彼女こそが桃栗小僧!

桃栗小僧「♪今泥棒してきましたよ 満月の晩にこんばんは
      今夜も盗みの大仕事 貧乏人からは盗まない
      極悪非道の金持ちから些少の金を頂戴します」

♪いまどろぼうしてきたよ

う〜ん…CD未収録ものって歌詞だけ並べるとイメージが伝わりにくいですよね;;
割と口の回りが速い曲で、姉御って雰囲気が出ていました。きっと桃栗小僧は気風がいい方なのでしょう。信念から言うと、白波物に近いといいますか、義賊といったかんじですかね。

桃栗小僧「♪金は天下の回りもの 盗みはすれど非道はせず
      桃栗三年 柿八年 お縄になりゃ十一年
      死んで花実が咲くものか」

桃栗小僧が自分を歌い上げる間に、先ほどの警官達が建物の周りを取り囲んでいます!

桃栗小僧「捕まるわけには、いかねぇんだよ!」

キッと警官たちを睨むと、屋根の上で対決!警官たちをひらりひらりとあしらう桃栗小僧。だが、少し多勢に無勢か。
危うし!というところで屋根の下から桃栗小僧の助っ人が!!頭に被った頭巾と黒装束は同業者であることを物語っています。

桃栗小僧「サブ!!」

疾風のサブ「桃栗の姉御!ここはあっしが!!」

桃栗小僧「でも!」

疾風のサブ「もう水臭ぇ!いいから、早く行ってくだせぇ!!」

桃栗小僧「すまない!」

警官たちの手をかわすと素早く建物の下へと消える桃栗小僧。それと同時に助っ人、疾風のサブ(塚田さん)が声を上げます。

疾風のサブ「やい!!よく見ろ、俺様が桃栗小僧だ!捕まえてみろ!!」

警官たちの注意をひきつけるために大声を出したサブに当然攻撃は集中!
それを鮮やかに捌いたサブは屋根から飛び降りて、受け身をとりながら見事地面に着地!!おおお…かなり高さがあるのに、すごい!!サブ(塚田さん)すごい!!素早く上手へと消えたサブを追って警官たちも走り出します。
そこへ……遅れに遅れてやってきた(汗)山田警部と川岡刑事がよたよたと屋根の上に現れました。…この二人、意外と肉体労働派ではないみたいですね。(^^;;

川岡「桃栗小僧っ…!ごよ、御用だ!御用だ…!!」

ってもういませんから。(爆)
あれ?とキョロキョロと辺りを見渡す川岡刑事に、息が上がり気味の山田警部が一言。

山田警部「おい、川岡…!」

川岡刑事「はい。」

山田警部「お前、現代の警察が「御用だ!」はないだろ…!」

川岡刑事「じゃあ、なんて言えばいいんですか?」

ああ、至極まともなツッコミですね。(笑)
でも確かになんて言うんでしょう?フリーズ!じゃないし。(爆)

山田警部「そ、それは……
     …ご、御用ぅだよぉ〜〜!!だよぉ〜!」

御用ぅだよぉ〜〜〜!!って……あ、ちなみに、さいごの「よぉ〜〜〜!」は上がり調子でお願いします。全体的に巻き舌でお願いします。(笑)
実は何にも考えてなかった警部!!(^^;;
あまり自分でも名案だと思ってないからか、それともここに桃栗小僧がいないからかは判別がつきにくいですが、すたこらと屋根を降りて下手へと消える山田警部の後を追う川岡刑事。
再び舞台に静寂が戻ると、下手側の建物の影からひょっこりと桃栗小僧が登場。でも、なにやら右手を顎の下に当てて思案顔。

桃栗小僧「三年ぶりの東京で仕事始めの夜働き。押し入る先でしこたま稼いで
     さて後2つや3つ金持ち屋敷に押し入ってスッパリ足洗おうと思った矢先の厳しい取り締まり。
     …ここらであたしの運も尽きたってことか?
     さてさてこいつは思案のしどころだ…」

首を傾げて悩む桃栗小僧。
だが、そこに抜き足差し足で忍び寄る一人の人物が…上手側の建物の影からカメラのフラッシュと共に現れたのは、なんと新聞記者!

記者「やった!!桃栗小僧を撮ったぞ!!」

桃栗小僧「!?待て!!」

油断しましたね、桃栗小僧。
脱兎の如く上手に向かって走り出す記者を追おうとしますが、その声を聞いた警官が集まってくるのが見えた桃栗小僧はとっさに張り出し舞台の少し低くなっていた奈落部分に飛び込み、身を隠します。
警官達が通り過ぎると、逆方向…上手側へと走り去ります。
さぁ、記者にスクープをもたらしてしまった桃栗小僧の運命は…!?
舞台が暗転して紗幕が降りると、再び警官たちの会話。

警官「桃栗ー!!」
警官「いたか!?」
警官「いや…」

上手から、下手からやって来た三人の警官たちが舞台の中央で合流。
そこへ、「御用ぅだよぉ〜〜!!御用ぅだよぉ〜〜〜!!」と言いながら川岡刑事と黙ってその後ろを歩いてくる山田警部が上手から登場、合流。

川岡刑事「御用…」

山田警部「川岡!見苦しいぞ。」

あんたが言ったんでしょ。というツッコミはさておいて。(爆)言われたとおりやめる川岡刑事。

山田警部「どうだ、いたか?」

警官「いえ、それが…」
警官「この辺りに逃げ込んだと思ったんですが…」

山田警部「絶対に捕まえてやるぞ…!この捜査にどれだけの時間を費やしたと思ってる。
     お前たちも、この三年間でなくしたものがあるだろう。(警官たち男泣き)
     どうだ岩本、言ってみろ!」

岩本、と呼ばれた警官は「はっ」と返事をすると

警官「わたしは、嫁に逃げられました!」
警官「祖父の死に目に会えませんでした!」
警官「わたしも!わたしもです!!」

……みんな、いろいろ大変だったんだなぁ;;

―――15日・夜―――――

えーと、なぜか各人の無くしたものが変わってました。DVDにはこちらで残りそうですね。

警官「わたしは息子におじちゃんと呼ばれます!」
警官「わたしは家に帰ると嫁が先に寝てるんです!」
警官「わたしもです!わたしもです!!」

変更前よりも平和な(でも致命的な)大事なものをなくしてますね。(^^;;

―――――

山田警部「川岡、お前はどうだ。」

川岡刑事「いや、私は特に何も。」

かと思えばこういう人もいるんだ。(爆)えらい淡白に言い放ってます。(^^;;

山田警部「川岡……!!」

何か言いた気な山田警部ですが、それは上手からやって来た警官に阻まれてしまいました。
……あ、さっきの記者もいる。

警官「警部!怪しいヤツがうろついてました。」

そう、上手からやって来た警察官が連れて来たんです、あの記者を!

川岡刑事「貴様、桃栗小僧か!?」

記者「ち、違います!わたしは毎朝グラフの記者で皆川と申します。」

山田警部「怪しいな…連れて来い!」

いきなり連行決定!( ̄□ ̄;;
スタスタと下手へと歩き出す一行。

記者「ちょっ…わたし、桃栗小僧の写真とったんですよ〜!」

山田警部「本庁で聞こう!」

うう〜ん、強引ですが記者の言ってることは本当ですから、これで警察は重大な情報を手に入れたことになりますね。
ここで暗転。紗幕が上がるとそこは一転してミカサのテーマが流れる中、大帝国劇場の稽古場。
只今全員台本片手に「新西遊記」に向けて稽古の真っ最中。
今回の建物セットはすごい立体的です。去年の「新宝島」で舞台左右に組まれた高台が壁やテラスの装飾をつけてそのままあるような雰囲気です。
文章で説明するのは難しいのですが…このシーンは舞台中央を基点にほぼシンメトリーになった感じですね。奥まった所に入り口が左右に二つ。下手側の出入り口付近ではさくら(冬服)が台本を目で追っています。
セット中央部分には半円形の一段高くなったところがあり、その上手側は机を並べてかえでさん、金田先生、大神さんが座っています。(どうやらこの部分、両方とも回転式のようです。)
さらに左右には二階部分へ続く階段があり、下手側の階段には織姫(夏服)がいます。上手側は階段上ではないですが、二階の部分にアイリス(夏服)がいます。
(階段の下にはそれぞれに出入り口あり。)そして開けた舞台中央は…稽古場ってところですね。台本片手にマリア(夏服)が立ち、紅蘭(冬服)とレニ(夏服…あっさり書きますが、とうとう夏服で登場ですよ!!)が跪きながらもセリフを読んでいます。

マリア「千里眼に順風耳。下界が騒がしいようだが。」

紅蘭・レニ「天界を統べる玉帝陛下に申し上げます。
      先ほど、海に浮ぶ花果山の岩が割れ、中から全身金色に輝く猿が生まれました!」

マリア「なんと、石から猿が生まれたと!」

レニ「御意。」

紅蘭「陛下、その石猿退治いたしましょうか。」

マリア「放っておけ。所詮下界で生まれた者、この天界が騒ぐほどではあるまい。」

三人のセリフが終わると、かえでさんが打ったドラの音と共に金田先生のナレーションで次の場面へ。

金田「さて、ところ変わってここは花果山。
   生まれたばかりの石猿は喉が渇いたと見えて大きな滝がある水簾洞へとやって来ました。」

マリア達は奥の出入り口前に下がって、入れ替わりに入ってきたのは上手階段下の出入り口からカンナ!(冬服)

カンナ「ウッキキキのウッキキキのウッケケケの、みょんみょ〜ん!」

猿だー!(笑)最後はさくらの前で面白い顔をするカンナに、堪らず声を上げて笑ってしまうさくら。

かえで「カンナ、さくらふざけないで。」

さすがかえでさん、まとめ役ですものね。ここで、大神さんは効果音のスタンバイ。うーんと、あれです。笊の上で小豆をたくさん転がすとさざなみの音になるあれ!正式名称がわからなくて御免なさい;;

さくら「あ、あたしもですか?」

カンナ「や〜い、怒られた〜お前笑いすぎなんだよ。」

さくら「カンナさんだって!」

マリア「カンナ、さくら。」

カンナ・さくら「は〜い…」

マリアにもたしなめられたカンナは今度こそ台本に戻ってきましたよ。さくらは一歩下がり、カンナは舞台中央の張り出し舞台の部分へ。
んん?カンナだけは台本片手じゃありませんね。もしかしたら、もう覚えたのかしら?

金田「この水簾洞は古来からこの花果山の聖なる場所として崇められてきたのです。
   しかし、そんなことは知らない石猿は滝の水をがぶがぶ飲みはじめます。」

アイリス「おいおまえ、かってにかわのみずをのむな。
     おまえはだれじゃ。」

うわ、やる気の無い棒読みですよ、アイリス。(^^;;
手すりにもたれかかって、完全に脱力してますね。

カンナ「おいらか?おいらはまだ生まれたばっかりで自分が誰だか自分でもわからねぇ。
    あんたは何者だい?」

アイリス「わしは水をまもるようかい沙悟浄じゃ。
     ……ねぇ!アイリスやっぱりカッパなの!?カッパじゃなきゃダメなの!?」

どうにも納得がいかないのか、いきなり叫びだすアイリス。なるほど、さっきからの棒読みはこのせいか。(^^;;
頬を膨らませながら階段を下りて舞台中央へと出てくるアイリス。

カンナ「しょうがねぇだろ、くじ引きで決めたんだからよ。」

アイリス「けど、前やったときは…!」

織姫「前はすみれさんがいたでしょー!今はいませーん。」

立ち上がって、下手側の階段の上から舞台上へと降りてくる織姫。
なるほど、ゲーム本編とドラマCDをつなげて考えると確かに当時(ドラマCD)の沙悟浄はすみれさんでしたものね。配役ズレは当然か…
アイリスも頭ではそれをわかっているようですが、気持ちがついてこないらしくまだ「でもぉ…」と目線を泳がせています。
そんなアイリスに織姫がそのままフォローに入ります。

織姫「ねぇ、アイリス。カッパだってアイリスがやればすっごく可愛くなると思いまーす。」

カンナ「そうだよ、アイリスの河童は絶対うけると思うぜ!」

カンナも乗っかり、二人でヨイショ。張り出し舞台の手前で俯いていたアイリスでしたが、ちらっと二人を見て…

アイリス「絶対?」

「ええ!」「ああ!」と頷く二人。

アイリス「絶対!?」

後ろのレニたちも「絶対!」と頷く。ここまでヨイショされちゃったら…

アイリス「じゃあアイリス、カッパやるー!」(^^)

両手を勢いよく上げて満面の笑み。さすがにアイリス、立ち直りが早い。(笑)

アイリス「あ!ジャンポールにも教えてあげなくっちゃ。」

あ、そう言えば今日は夏服なのにジャンポール背負ってませんね。お部屋でお留守番なのでしょうか。
ルンルン気分で下手側の奥の出入り口へと向かったアイリスを「おお、報告してこーい!」とカンナが見送ると、残った面々は稽古の続きを…

レニ「はい。(挙手をして前へ出てくる)
   この台本、悟空誕生からやってたら、一体いつになったら牛魔王登場のシーンに行くんだろう?
   上演時間はどれくらいになるんだろう?」

カンナ「そうだよ、あたいも気になってたんだよ!」

…かと思いきや、そのままディスカッションタイムの様子。
確かに分厚い台本ですものね…カンナとレニ以外も「そうそう。」と台本を見ています。
すると、金田先生の隣に座っていた大神が立ち上がり、提言。

大神「この台本は、素晴らしいと思います。ですが。この台本どおりに上演すると5時間ぐらいになってしまいます。」

紅蘭「五時間!?」

カンナ「そんなにかよ!?」

かえで「(台本をめくりながら)そうね…演出にもよると思うけど…」

困ったような顔で台本をめくるかえでさん。でも、演出でどう頑張っても4時間強にはなってしまいますね;;
本格的に話し合いになってきたので、花組の面々もかえでさん、金田先生、大神さんがいる場所に台本片手に集まってきます。

マリア「たしかに長いかもしれませんね。」

カンナ「なぁかえでさん、金田先生。カットしようぜ。」

紅蘭「ん〜近頃ラジヲドラマでも長い話やりまへんもんなぁ」

カンナ「そうなんだよ、ラジヲでもやらねぇんだよ。」

うんうん、と頷きながらカンナはみんなのところをちょっと離れて舞台の前のほうへ。

かえで「でも…カットするとなると、これは大層な事よ。」

カンナ「そう、大層な事だよな。ラジオでもやらないたいそうな……
    あ?ラジオでもやらない体操?そりゃ一体どんなんだぁ〜?」

あああ!!このネタ振りは!!(笑)予想通り暗転し、下手側の壁がくるりと回転し、小さなステージが!
そしてこの場にいなかったキャラはただ一人……そう、今年の犠牲者はアイリス!!でも、今だかつて無いくらい普通で可愛いですよ!?(爆)

アイリス「全員、集合〜〜〜!!」

チャーンチャカチャンチャンチャチャン♪…ってどこかで聞いたようなメロディーですね。(笑)
体操…ってことで、ホントに典型的な体操服。でも今ちょうちんブルマなんて…見ないか。(^^;;
引き連れてるメンバーがなぜか多いです。(笑)薔薇組以外にもダンディ団の三名を連れています。全員、もちろん体操服ですよ。深呼吸をして妄想ステージを飛び出して張り出し舞台の上で妄想炸裂です。

アイリス「♪ラジオでもやらない体操」

じゃんけんぽんっとメンバーとジャンケン。すると、アイリスだけがチョキで後はグー!ってことでアイリスが要の体操です。(笑)

アイリス「ジャンケン体操、はじめ〜!
     グーチョキパーでグーチョキパーで何作ろう〜何作ろう〜♪
     グーとグー!な〜んだ?」
男性陣「牡牛の歯!」(両手を口元に当てる)
アイリス「ブー!!ジャンポール!」(両手を頭の上に乗せて耳を再現)

なんだか昔懐かしい手遊びですね。この手遊びの結果は日替わりでしたね。
14日・夜は「チョキ」で“マリアの銃”アイリスが「死にたいなら前に出なさい」と言うと、全員いいお返事をして前に出てきました。(笑)もちろん「ばーん!!」と撃たれてそりゃ幸せな最後をってホントか?(^^;;
15日・昼はパーとパーで‘ちょうちょ’!けれど、アイリスは“十(じゅう)”と意表をついてきました。意表をつきすぎて「あぁ!?」と不評そうでしたが。(爆)
15日・夜はチョキとチョキで‘カニ’!でもアイリスは“オマール海老”「足がポイント。」と足を交差させてくねくね動くアイリス「かわいい〜〜!」と今度は大好評!
アイリスを囲んでいた面々が再び隊形を整えると、次の体操へ。

アイリス「♪それは大層かわいい体操
     ジャンケンポン!」

今度はアイリスが勝って、主導権確保!ってことでみんなに指令。

アイリス「かえる逆立ち〜!はい!」

アイリスが指示を出すと、薔薇組・ダンディ団ともかえる逆立ち!ですが、薔薇組は失敗でした。(^^;;
ダンディ団は綺麗に決まりましたよ!
その周りを周るアイリス。

アイリス「♪1、2。1、2。1、2。1、2の3、4。
      胸をはって背筋を伸ばして
      (妄想ステージに戻り始める。それに気づいた薔薇組も慌てて後につく。ダンディ団は逆立ちのまま気づかず。)
      はい!ごくろうさん♪」

ちゃんちゃん♪
ってことでステージが回転して、カンナの妄想タイム終了!
照明が戻ってくるんですが……そう、今回は置いていかれてしまった人たちがいます。(笑)
慌てて回転ステージに向かいますが間に合わず、締め出し。(笑)そそくさと下手へと下がっていきましたよ。

カンナ「あっはっはっはっは!!
    ラジオでもやらない大層かわいい体操って!あっはっはっは…」

一人で妄想に大笑いするカンナ。
ですが、他のメンバーは台本を広げ、頭をつき合わせて相談中。(^^;;

カンナ「あれ?みんななにやってるの?」

マリア「何って、みんなでどこを削れるか話し合ってるんじゃない。」

カンナ「じゃあ、今の妄想みんな見なかったの?」

全員に「みてな〜い」と首を縦に触れられてしまうカンナさん。残念。(笑)
でも、こちらはしっかりと見てましたから。(^^)
が、なんだかさっきの妄想が気になるカンナは、ダンディ団がかえる逆立ちをしていたところにいくと、自分もチャレンジ。
そして、そのカンナを余所に台本直しの話は進みます。(^^;;

かえで「金田先生、どうしましょう?」

金田「もちろん、皆さんにこうして準備稿を読んで頂いて、議論してもらおう思ってるわけですから…」

真面目な話は続いていますが、ちょっとカンナさんに注目!!
なんと、カンナさんかえる逆立ち成功しています!!(拍手!)

かえで「……カンナ、何やってるの?」

カンナ「いや、かえる逆立ちを…
    ごめんなさい;;」

ああ、カンナ言われてしまいましたね。(^^;;

金田「えー、よろしいですかな?(立ち上がる)
   おほん!演劇の三カ条というのがありましてね。
   まず座元にやさしく。
   興行を打つ劇場に優しく。
   役者にやさしく。
   役者さんがやりやすいように、よく見えるように。
   お客様にやさしく。
   難しいことは噛み砕いて伝える。
   これは、黙阿弥の言葉ですな。」

金田先生の言葉に「へぇ〜!」と感心しきりな帝劇メンバー。
私も全然知りませんでした。結構高い頻度で出てくる金田先生の文学知識講座ってところですね。

金田「(座りながら)いや〜それにしても花組の皆さんは良いでげすな〜
   結束力がある!」

身近で花組を見つづけてきた金田先生も感心するほど、花組の絆は強い。
いや、身近で見つづけてきたからこそ。ですかね。そう言われて照れる花組の面々。

紅蘭「せやな…ウチ、孤児(みなしご)やからね。
   花組のみんなが家族やわ。」

マリア「私も。」

レニ「ボクも。」

ああ…そうですね。この三人は血の繋がった身内の存在が無いんですよね。
レニの同意あたりで、下手奥の出入り口からアイリスがジャンポールを抱えて戻ってきてそのまま話題に参加。

アイリス「アイリスも!花組の、みんなが家族だよ。(^^)」(レニの隣りに座りながら)

織姫「わたしはパパもママもいますけど、もう歩いてる道が違いますしね。
   花組のみんなといるときが落ちつきまーす。」

カンナ「お前は落ち着いてねぇだろが。」

織姫「(ムッとして立ち上がる織姫)落ち着いてまーす!おしとやかでーす!清楚でーす!!」

かえで「織姫、落ち着いて。」

織姫「…は〜い。」

かえでさん、絶妙なツッコミでした。(笑)

さくら「あたしも落ち着くなぁ。仙台に祖母も母もいるけど、こんなにみんなと一緒にいるんですもの
    花組が家族って思ってます。
    カンナさんはどうですか?」

カンナ「あたいか?あたいは、まぁ天涯孤独だしよ。
    (周りを見渡して)帰る所って言ったらここしかないしよ。
    この劇場が我が家ってとこだな。」

嬉しそうに言うカンナ。そう、カンナも肉親はいないんですよね…
だからこそ、よりお互いが大事。
そんな花組の姿に金田先生はますます好感を持ったようです。

金田「なるほど、花組が家族、劇場が我が家ですか。
   いいでげすな〜あたくしますます皆さんが好きになりましたよ。」

かえで「あら、先生だって家族のようなものですわ。」

カンナ「まぁ、家族って言うより親戚のおいちゃんって感じかな。」

カンナの的を得た発言に、みんな笑顔に。そう、まさにそんな感じですね。(^^)

金田「ははは、そうでげすか。」(^^)

カンナ「親戚のおいちゃん、それはそうとちゃんと台本上げてくださいよ。」

金田「ええ、もう。それじゃ、可愛い姪っ子たちのために
   もう一働きしますか。(^^)
   ぽてと。(ん?となる帝劇の面々)
   じゃなかったさてと。」

カンナ「そりゃ、あたいのギャグじゃねぇか。」

金田「すいません、一度言ってみたかったんですよ。(笑)
   (立ち上がり、台本を持つ)それじゃ、直しは明後日って事で。」

かえで「お願いしますわ。」

さぁ、金田先生。もう一頑張りですよ。下手側に向かって歩き出す金田先生をみんなで立ち上がってお見送り。

金田「ああ、織姫さん!」

が、思い出したように足を止めると振り向いて織姫を見る。

金田「今回織姫さんは馬に乗ることになりますからね。(了解!と笑う織姫)
   体重を一貫目ほど減らしといてくださいね。」

織姫「!!乙女に向かって失礼でーーす!!」

言うだけ言ってすたこらと帰る金田先生の背中に怒鳴る織姫。みんなには笑われてますけどね。
…頑張れダイエット?(^^;;

カンナ「あっはっは!
    よーし、じゃあ飯でも食って頑張るか!」

レニ「さっき太巻き3本食べてたじゃない。」

「あんなの、飯のうちにはいらねぇよ。」と言い放つカンナ。すっごくらしいですね。ちなみに、カンナの食べたメニューは日替わりのようで
14日・夜はチキンライス。15日・昼はハヤシライス。15日・夜はオムライス。16日・夜はカレーおかわりしてたじゃない、でした。しっかり一食じゃないか。(笑)
和やかなムードですが、それを打ち破る声が…したかと思ったそのとき、上手奥の出入り口から親方が転がり込んできましたよ!?

親方「困ります!今皆さんお稽古中だと言ってるじゃないですか!!」

川岡刑事「やかましい!!」

どんっと押された親方。驚いた花組は舞台全体に散って様子を見ます。
上手側にはかえで、大神、マリア、織姫、さくら。
下手側には紅蘭、アイリス、カンナ、レニ。紅蘭とカンナが転がった親方に近寄って手を取ってます。
入ってきた川岡刑事と山田警部を囲むように立っています。

カンナ「なんだてめぇらは!?」

川岡刑事「真宮寺さくらはいるか?」

さくら「あ、はい。あたしです。」

言われるままに手を上げるさくら。

川岡刑事「!こいつだ、間違いねぇ!!」

その顔を見た川岡刑事は確信めいた顔でつかつかとさくらに近寄って乱暴に手を掴みますが…

さくら「はっ」

逆にその手を取られて投げられてしまいます。

川岡刑事「っ…公務執行妨害!!」

山田警部「川岡。」

川岡刑事「…はい。」

カンナ「何者だてめぇら!」

山田警部「(警察手帳を取り出して)築地警察署の山田という者です。
     あっちは川岡。」

大神「警察が、いったい何の御用です?」

ずいっと花組を守るように一歩前に出る大神。

山田警部「あなたここの責任者?」

大神「はい。」

山田警部「(手帳を取り出して)名前は。」

大神「大神一郎です。ここの支配人見習いをしています。」

山田警部「大神、一郎ね…(メモをする)
     いやちょっと事件でしてね。今、世間を騒がせてる桃栗小僧。
     どんな錠前でも瞬時にあけてしまう天才泥棒だ。」

大神「ええ…名前は新聞で。」

山田警部「(手帳をしまいながら)いやね、その桃栗小僧とそこにいる真宮寺さくらさんが非常〜によく似ているのですよ。」

寝耳に水とはこのこと。とばかりに驚く花組の面々。
それでも、口が動く方が何人か花組にはいます。

マリア「似ているって…さくらは帝国歌劇団の役者です。」

川岡刑事「警察柔道三段の俺を投げたのがその証拠!
     桃栗小僧!覚悟しろ!!」

カンナ「なにしやがんでぇ!!」

再びさくらに掴みかかろうとした川岡刑事が動くと同時にカンナが後ろから止め、投げる。
再び見事に投げられてしまう川岡刑事。(^^;;
それでもめげずに立ち上がる。

川岡刑事「はい、これ公務執行妨害。逮捕する!」

山田警部「川岡。下がってろ。」

川岡刑事「…はい。」

たしなめられ、言われるままに下手奥の出入り口付近まで下がる川岡刑事。
そして気を取り直して話を続ける山田警部。

山田警部「ま、泥棒が役者を隠れ蓑にしてても不思議じゃないでしょう。
     一応、任意同行ということで。」

織姫「なんだとー!?」
アイリス「ひどいよ!」
カンナ「もういっぺん言ってみろ!!」
紅蘭「いてもうたろか!」

仲間を、家族を侮辱されて怒りを露にする感情派のメンバー。それぞれマリア、かえで、親方、レニに止められてます。
そして、かえでさんが山田警部の前に笑顔で乗り出します。

かえで「お話は、それだけですか?
    ならばどうぞ、お引取りを。」

やんわりと、でも有無を言わせない様子で出口へと腕を差し向けるかえでさんですが、相手もさすがに現場で鍛えられた警察。
そんなことじゃ引きません。

山田警部「そうも行かないでしょう。わざわざこうして出向いてきてるんですからね。
     ここに、写真もありますしね。」

ぴっと懐から取り出した一枚のモノクロ写真。そこに写ってたのは…

紅蘭「!?」
レニ「さくら…!?」

次々と驚きの声を上げる花組の面々。当のさくらも驚きを隠せません。
それほどに似ている。

山田警部「どうです、お仲間のあなた方も似ていると感じた。いやぁ瓜二つだ。
     こうも似ていちゃ、疑いたくもなるでしょ。(写真をしまう)
     ま、警察ってのは疑うのが仕事ですからね。
     ……真宮寺さくら。任意同行を求める!!」

川岡刑事「任意同行を求める!!」

びしっと指を指されてしまうさくら。
そ、そんなこと言われても…とうろたえていると、川岡刑事とカンナがにらみ合い!

カンナ「なんだと!?やれるもんならやってみやがれ!!」

すかさず大神さんが山田警部の前に立ってフォローに。
この間に、かえでさんがそっとさくらの肩に手を当てて先ほどまで金田先生が座っていた椅子に座らせます。

大神「カンナ!!
   刑事さん…どうしても、さくらくんを連れて行きますか。」

山田警部「ふっ……連れて行きますかって
     いいですか、オオカミさん。
     アオーーーーンッ!!!」

いきなり遠吠えですか、警部さん。(笑)ちなみに、うけてるのはもちろん川岡刑事だけです。(爆)
衿を正して続き、続き。(^^;;

山田警部「…いいですか、大神さん。
     連れて行くからこうしてあたしたちが出張ってきてるんですよ!
     手ぶらじゃ帰れないでしょう!!!!」

そう言い放つ山田警部に大神は強い目線だけを残して押し黙る。
続いてマリアが前に出てきてフォロー役を引き継ぎます。

マリア「任意同行なんでしょ。あくまでも任意でしょう?」

レニ「任意。自由な意志に任せること。」

レニも一歩前に出てフォローの補足。
ですが…

山田警部「ふっ…これだから素人さんは困っちゃうんだよな。」

川岡刑事「困っちゃうんだよな〜」

山田警部「みなさんね、国家権力をなめてもらっちゃ困りますよ。
     任意同行を断れば、即刻家宅捜査に切り換えます。
     みなさんもグルだってことでね!」

紅蘭「なんやて!?」
織姫「マリアさんバーン!!」

山田警部の二回目の失礼な発言にまたまた憤怒する感情派のみなさま。
まぁ、当然ながら理性派のメンバーに止められてますが;;

山田警部「これは長年刑事をやって来た勘なんですけどね。
     なんだか皆さんが普通の役者には見えないんですよね。(花組を見渡す)
     何か隠してる。嫌な臭いがぷんぷんします!
     この劇場もね、家宅捜査をすれば…爆弾とか拳銃とか刀とかでてくるかもしれませんなぁ!!」

ドキドキドキッ!!…心当たりがありすぎますね。(爆)
さくらを渡すわけにはいかないけど、家宅捜査なんてされたら一体どうすれば…!!うろたえる花組を余所に、警部は着々と話を進めます。

山田警部「ははは…まぁ、冗談ですがね。
     でも何か出るでしょ。いや必ず出る!出るまでやりますよ警察は!!!
     ………じゃ、やりましょうか。家宅捜査。(大神の顔を覗き込む)
     (くるりと背を向ける)川岡!!本庁に連絡して家宅捜査の令状を取れ!!」

川岡刑事「はい!!本庁に連絡!」

スタスタと出入り口に向かって歩く警部たち。花組ピンチ!!

さくら「待ってください!!」

たまらず立ち上がって叫ぶさくら。全員の視線が一斉に注ぎこまれる中、意を決して顔を上げます。

さくら「…あたし、行きます。」

静かな声のさくらとは対照的にそれを聞いた花組の面々はざわついて大騒ぎ!!

カンナ「さくら!行くこたぁねぇ!
    刑事さん、あたいが身代わりだ、あたいが代わりに行く!!」

親方「カンナさん!ややこしくなりますから…!」

気持ちのまま言葉を発するカンナですが、親方に抑えられる始末。
カンナは本当にストレートな性格ですよね…

カンナ「ややこしくなんかねぇよ!さくらはあたいの家族なんだからよ!!」

さくら「カンナさん!…あたし大丈夫。」

カンナ「さくら……」

にっこりと笑うさくらに、さすがのカンナもそれ以上言えなくなってしまいます…

山田警部「川岡、連れてこい。」

川岡刑事「はい。」

先に出口に向かって歩き出す山田警部。そして、さくらの手を掴んでひっぱる川岡刑事。

マリア「さくら!!」

黙って出ていこうとするさくらを呼び止めるマリア。さくらは足を止めてゆっくりとマリアを見る。

マリア「……大丈夫ね?」

あなたは無実なんだから。そんな目線のマリアにさくらはゆっくりと微笑みながら頷く。

川岡刑事「ほら!行くぞ。」

ぐいっとさくらの腕を引っ張る川岡刑事。形式のみの礼をして去っていきました。
残された花組はなんとも言えない、憤りに近い感情を抱えて立ちすくんでいます…ただ、カンナは本当に感情がストレートです。

カンナ「さくら…!!
    こんなっ…ちっくしょう…!」

膝をついてこぶしを床に叩きつけるカンナにそっと歩み寄るかえでさん。立ちすくむ花組の面々。そのまま暗転。
これは…本当に、今までに無い展開です。
舞台は暗転のまま、下手側の通路兼舞台にスポットが。そこには、かえでさんが一人電話中です。話はもちろん、さくらのこと。

かえで「どうしましょう、米田さん…」

米田「そうか…まぁ劇場を家宅捜査されちゃ堪らねぇからな。
   うん!さくらの判断は正しい。正しい!」

かえで「はい。」

米田「帝国華撃団は舞台はやっちゃいるが、この帝都の平和を守る秘密部隊だ。
   その正体は政府首脳、及び軍上層部以外に知られちゃならねぇ。
   特に警察関係者に知られるのはマズイ。」

かえで「はい…承知しています。
    あの!……米田さんの方で、上に手を回してもらえませんか?」

米田「おいおい、考えてみろよ。
   帝国華撃団ってのは、そもそも夢想のシロモノだ。そんなもの、現実に存在しちゃならねぇんだよ。
   特に、権力を持つような輩にはな。」

かえで「……はい。」

米田「だからこそ、帝国華撃団は設立した時から社会や、組織や、制度とは無縁の集団なんだ!
   だから、あいつらは自由なんだよ。」

かえで「自由…ですか……(微笑む)そうですわね。」

米田「それによ、あいつらなら自分たちで何とかするだろうよ。
   随分成長したじゃねぇか。な!」

かえで「…はい。」(^^)

米田「へへっ…じゃあ、みんなによろしくな。」

かえで「わかりました。あ、米田さん!…あまり、飲みすぎないで下さいね。」

米田「ああ。わかってるって。」

かえで「それでは、失礼します。」

チンッ…と受話器を置くと、スポットが消え、場面転換。
米田さんは本当に隠居というか…すっかり現場から足を遠のけているのですね。でも信頼はしている。

夜の帝劇のテーマが流れる中、再び舞台に物語りは移ります。ここは…おそらく帝劇の二階ロビー。(もしかしたら帝劇のテラス付近かも)先ほどは稽古場の壁として使われていたセットが前面に移動され、両側の距離が縮まり、簡易通路が設けられ繋がっているように見えます。
大神を先頭に、カンナ、アイリス、マリア、レニ、織姫、紅蘭と上手側の手前の出入り口から花組の面々が登場。ぞろぞろと階段を上って二階へ移動。

アイリス「ねぇ…なんで?
     なんでさくらは、警察に連れてかれちゃったの!?」

前に後ろにいるメンバーに疑問をぶつけるアイリス。
そのアイリスに、先頭を歩いていて、突き当たりに到達した大神が答える。

大神「間違いさ。」

カンナ「そうだよ、間違いなんだよ!!」

アイリス「怖いよカンナぁ…」

カンナ「ああ、ごめんごめん。もう…どうにも腹の虫が収まらねぇんだよ!」

苛立たしく二階部分をうろうろするカンナ。他のメンバーも全員二階に並び、織姫はさらに三階へ上がってます。
(紅蘭が階段前に立ってます。)

マリア「なんとかしなくちゃね…」

カンナ「なぁ、殴りこみかけようぜ!」

レニ「どこに!?」

カンナ「決まってんだろ、築地警察署だよ!」

マリア「あなた自分の言ってることがわかってる?
    相手は警察なのよ!そこらのヤクザの事務所とは訳が違うのよ。」

マリアの周りをうろうろしながら頭に血が上っている様子のカンナ;;

カンナ「ああ、わかってますよ。
    あそこには拳銃とかたくさん武器があるんでしょ。
    だからよ、こっちも光武を出してさ、ドカーンッバリバリーッて
    さくらー助けにきたぞー!!!って。
    どうよ、いいアイディアでしょ!」

得意満面のカンナ。ですが、他のメンバーは冷静です。(^^;;
いや、カンナが騒いでるからこそ冷静なのかな…はぁ…と全員で思わず溜息。

カンナ「なんだよ、みんなさくらが捕まったってのに冷たいぞ!薄情だぞ!」

織姫「わたしカンナさんの気持ちわかりまーす。
   わたしだって出来ることならドカッバリバリって警察殴りこみに行きたいでーす!」

そんなカンナの言葉に乗ったのは織姫。もちろん、本気じゃないですがね;;
ですが、カンナはそうは思わなかったようで…

カンナ「だろ!そうだよな!なぁ、紅蘭そう思うよな!?」

紅蘭「え〜え、思います!最新のバズーカくん4号でドカーンッと吹き飛ばしてやりますわ〜!」

紅蘭に近づきながら同意を求めると、紅蘭も話に乗ります。
彼女の場合「サクラ2」の第四話で暴走の片鱗を見せてますから妙にはまってました。(^^;;
そしてカンナはますますヒートアップ。(汗)

カンナ「よし!紅蘭は築地警察署の屋上を吹き飛ばせ!(「えっ?」とうろたえる紅蘭)
    (階段を上って)で翔鯨丸を屋上につけて光武で殴りこんでよ、織姫!お前は後方援護だ。
    (下を見て)ああ、アイリス!アイリスは先に瞬間移動な!さくらの居場所を突き止めるんだ。
    (階段を下りて)で、マリアとあたいがおとりだ!マリアが銃ぶっ放して
    あたいが暴れて(元の位置に戻ってくる)
    帝都の平和を警察と帝国華撃団が……って、あれ?」

おお、やっと暴走ストップ。(^^;;

マリア「カンナ!あなた方法論は間違ってるけど気持ちはみんな同じよ。」

手すり部分に体重を預けながらそう言ったマリアの頭の中は、きっと様々な救出方法が浮んでは消えているのでしょう。
どうすれば…と全員が再び黙ったところに、大神が一言。

大神「取り戻そう。さくらくんを!」

カンナ「さっすが隊長!やっぱ殴り込みだよな!」

大神「警察と戦うんじゃない。
   本物の桃栗小僧を捕まえるんだ。」

一番単純明快な、けれどもこれしかない提案にみんな「!!」

レニ「そうか…本物を警察に連れて行けば、さくらは無罪釈放だ!」

織姫「でも、桃栗小僧って警察も捕まえられない大泥棒なんでしょ〜?」

カンナ「何言ってんだよ、あたいたちは帝国歌劇団花組だぜ?」

紅蘭「せや!みんなで力を合わせれば、必ず捕まえられるで!」

アイリス「やろう!」

レニ「うん!」

そう今までだってそうやってたくさん乗り越えてきた!
心を一つにして頷きあう花組。

カンナ「よし!そうと決まれば善は急げだ!あたいひとっ走り行ってくらぁ!!
    さくらー!今助けにいくぜー!!」

うりゃあぁぁ!とテラスを越えて隣りの建物に渡るかと思いきや。なんとそのまま下手へと飛んで消えていってしまいました!!下を歩いていた警官の頭の上も踏んづけて。(笑)
さりげないフライング?(^^;;
そんなカンナの勢いに花組はしばし呆然。

レニ「…どこに行ったんだろう?」

レニ、絶妙の間でのツッコミ、ナイス!(笑)

織姫「さぁ…きっとカンナさんのことですから通行人一人一人捕まえて
   「あんた桃栗小僧ですか?」「あんた桃栗小僧ですか?!」って聞いて周るんじゃないですかね!?」

マリア「まさか。」

そんな無茶な!(^^;;

アイリス「帝都ってどれ位人がすんでるの?」

マリア「600万人。」

紅蘭「一日6000人に聞いたとしても約1000日
   3年はかかりますなぁ。
   あ!こりゃ、桃栗三年や!」

あはっと笑う紅蘭。隣りにいたレニも「うまい。」と相槌。

織姫「でも、どこにいるかわからない人間をどうやって捕まえるですか〜?」

レニ「そうだね…情報が欲しいな。」

大神「情報か…」

うーん、と再び唸る花組。そんな中でいち早く顔を上げたのはレニ。

レニ「!…裏社会の情報は、裏社会で。」

マリア「裏社会と言えば、あの人ね。」

マリアとレニはどうやら同じ人物が浮んだ様子。さすがその手の場数を踏んできただけはありますね。二人は頷きあい

マリア「私たち行ってきます。」

大神「よろしく頼むよ。」

大神にそう言うと、階段を下って手前の出入り口から外に向かっていきました。
続いて、織姫と紅蘭の顔が冴えます。

織姫「あ!わたし情報持ってそうな人知ってまーす!!」

紅蘭「ウチも知ってる…ってたぶんおんなじ人たちやな。」

織姫「そう!身近な人!」

紅蘭「行ってくるわ〜!」

お互い指差しあい「よし」と頷く二人。人もまた階段を下り手前の出入り口から外に向かって走っていきました。残ったのは、アイリスと大神。

アイリス「お、お兄ちゃんアイリスは何をすればいいの!?ねぇねぇ!
     …瞬間移動する?」

何かしたい気持ちはみんなと同じ。焦るアイリスに、大神は優しく諭します。

大神「アイリスは、さくらくんのことを考えてごらん。」

アイリス「さくらのこと…?」

そう。頷く大神にアイリスは目を閉じて想います。さくらの事。

アイリス「さくらは、いつも優しい…
     寝るときにいろんなお話してくれる。
     !……さくら、今…警察に一人ぼっち…
     緊張してる…それで……
     !!…花組のみんなのこと、思ってる…」

ジャンポールを抱えたアイリスが空を仰ぎ見ながらさくらを感じていると、大神は優しく頷く。
ここで、暗転。紗幕が降りると、下手から親方が風呂敷包みを大切そうに抱えながら登場。

親方「ちくしょう…ちきしょう!!なんだってさくらさんが警察なんかに…!
   待っててくだせぇさくらさん。今、お着替えをお持ちいたしますからね。
   それから、花組の皆さんが必ずお助けしますから!
   決して…無茶はなさらねぇで下さい…!!」

口惜しそうに舞台中央で立ち止まり、そう言うと再び走り出します。
親方が舞台から見えなくなると、紗幕が上がり次の場面。上手の階段下、一段高くなった周る部分には簡素な机と二つのパイプ椅子、そしてスタンドライトがありパイプ椅子の1つにはさくらが黙って座っています。ここは警察所内のようです。
そこに、ファイルを持った川岡刑事と山田警部が登場

川岡刑事「警部、桃栗小僧を捕まえたとなったら警視総監賞ものですね。」

山田「そうだな。
   じゃあ、取り調べ始めるぞ。」

いや、それ誤認逮捕だから。(汗)まぁ、この段階ではさくら=桃栗小僧だと信じて疑わない警察陣ですから無理ないか…
取調室に入ってきた二人は、カチッとスタンドライトのスイッチをいれてファイルを持った川岡刑事がさくらの前に座ります。山田警部はその後ろで待機。
眩しそうにライトに目を瞬かせたさくらは黙って言葉を待ちます。

川岡刑事「真宮寺さくら。明冶33年7月28日仙台生まれ
     現在は大帝国劇場の女優。
     間違いないな。」

さくら「はい。」

川岡刑事「夜の公演は何時に終わる?」

さくら「だいたい、九時半くらいに…」

川岡刑事「公演が終わった後は?」

さくら「…お化粧を落として、お風呂に入って、軽い食事などしてから翌日の準備を…」

川岡刑事「夜は比較的自由な時間があるということだな。」

さくら「!……はい。」

責めるような口調の川岡刑事に、怯えたような、心細い声で答えるさくら。

川岡刑事「先月の1日と15日!それから今月の3日の十一時ごろ何をしていた!」

さくら「えぇ…何してたかな?
    月初めは大体見回りの当番なので…」

川岡刑事「見回り?」

さくら「夜の劇場内を見回りするんです。」

川岡刑事「見回りって…強盗とか入ってきたらどうするんだ?」

さくら「やっつけます。」

川岡刑事「あのな、強盗ってのは一人とは限らないんだぞ?大概の場合複数だ。」

さくら「やっつけます。」

川岡刑事「あのな、強盗ってのは刃物とか持ってるんだぞ!?」

川岡刑事の頭には、さくらでは到底そのような輩に太刀打ちできないと思っているのでしょう。
立ち上がって怒鳴り声でファイルを振り上げて刃物を持つ強盗の真似をしていますよ;;

山田警部「川岡。(さくらの後ろにある小さな机の上にあるお茶を入れながら)
     真宮寺さくらさんはほれ、北辰一刀流免許皆伝だ。(さくらにもお茶を渡す)
     (驚いて自分を見るさくらに)いえ、ちょっと調べさせてもらいましたよ。」

慌てて手にしたファイルを広げて読む川岡刑事。
…あなた、さっきさくらに投げられてたでしょうて。(^^;;

川岡刑事「……!
     さすが山田警部…!続けます!
     …1日日本橋、四菱財閥邸では複数の錠前を瞬時に開け
     15日九段下、日野伯爵邸では高い壁を難なく乗り越えている。
     この鮮やかな身のこなし、北辰一刀流免許皆伝のお前が犯人だろう
     っておい!聞いてるのか!!」

さくら「あ、はい。」

つらつらと読み上げる川岡刑事でしたが、当のさくらは上の空。
さくらは、今別のことで頭がいっぱいなんです。

川岡刑事「お前何考えてるんだ?!」

さくら「お芝居のこと。
    今度の新西遊記はカンナさんが楽しみにしていたんです、だから…!」

川岡刑事「今、お前は尋問を受けてるんだぞ!
     観念しろ、桃栗小僧!!」

さくら「桃栗小僧じゃありません!間違いです!!」

川岡「何だと…!!」

山田警部「川岡!一応、任意同行だ。
     替わろう。」

川岡からファイルを受け取ると、席も交代する山田警部。
うーん、この落ち着き。これが経験の差ってことでしょうか。

山田警部「えーそれで…(ファイルを見ながら)父親は陸軍大佐・真宮寺一馬…ほぉ職業軍人さんか。
     没年太正7年、享年36歳…若くして亡くなってるな。(ファイルを閉じる)
     大佐といえば、相当な位だ。
     軍人ってのは戦争で人を殺せば殺すほど、偉くなるんだよな。
     ま、平和なうちは仕事がないって言う点では我々と同じようなものですがな。はっはっは。」

川岡刑事「でも、どんなに位が高くても死んでしまったら元も子もないわな。」

山田警部「死んで花実は咲かねぇしな。
     ま、家族のことを思ったら軍人なんてやるもんじゃねぇな。」

さくら「…無礼ですよ、刑事さん!」

堪らず声を上げてしまうさくら。

川岡刑事「あぁ?貴様、警察をなんだと思ってるんだ!?」

さくら「警察警察ってさっきからなんです!
    警察官だって人の子でしょ?
    戦争の是非はともかく、国を思って命をかけた人たちをそんな風に言うのは無いと思います。」

川岡刑事「貴様、何様のつもりだ!」

さくら「あたしは、真宮寺さくら!陸軍大佐・真宮寺一馬の娘です!!」

きっぱりと言い放つさくら。その眼は強く、とても美しいもの…

さくら「…父は軍人でした。ですから、任務の為家族との時間をもてませんでした…
    けど、家族を愛していました。
    そして家族を愛したように父はこの国の山や川や故郷に住む人の慎ましやかな暮らしを愛していました。
    だからこそ、父はそれを守る為命をかける覚悟をしたんです。あたしは、父の娘であることを誇りに思います!
    …そしてあたしは、父を愛してます。」

山田警部「…父を愛していただと?故郷を愛していただと?
     ……ッはははははっ……!」

さくらの澄んだ強さを見た山田警部は立ち上がり語りだします。自分のことを…

山田警部「…オレは東北の山ん中で育った。そりゃあヒデェ貧乏な農家だった。
     冬は凍えるほど寒くてよ。夜中に寒さで目がさめると布団の衿が凍ってやがった。
     そんな故郷も今はダムの下になくなっちまった。
     故郷の思い出なんか忘れちまった。
     縁日で綿菓子を買ってくれた親父の手、スイカを切ってくれた親父の優しさ。
     肩車してくれた親父の力強さなんてものは、みんな忘れちまった…!
     生活に追われて、みんな忘れちまったんだ!!」

吐き捨てるように言った言葉は、誰に向けたものだったのか…
山田警部が椅子に座り込み舞台がほの暗くなると同時に、どこか切なさが漂うメロディーが。

♪わたしはいま…

どんな場面で歌うのか今一つ予想がつかなかったんですが、取調べ中とは…離れても想い合う気持ちと、二度と会うことが出来ない人への気持ちが折り重なる歌ですね。CDではさくらさんのソロでしたが、舞台上では全員にスポットが当てられてしっとりとした良いシーンでした。
さくらは取り調べ場所から立ち上がり、舞台の上手側の前面へ。舞台下手側の階段には静かにレニが座り込んでスタンバイ中。

さくら「♪わたしはいま あなたを思い出す
     あの懐かしい情景を あなたの姿と共に
     わたしはいま あなたを思い出す
     肩の上に乗せられて 仰ぎ見たあの夕焼け」

レニ「♪風の色も 季節の匂いも この胸にわき上がる」

歌うパートになると各人にスポットが当たりますね。

マリア「♪なんて切ない なんて悲しい いまならわかるのに」

マリアは下手側の二階部分から登場しての歌。
間奏部分ではスポットがあたら無くなったレニとマリアがそれぞれ移動して、レニが二階の手すり部分へ、マリアが三階のバルコニー部分へ移動。
さくらの方は話が進まない故に、取調べは一時中断。歌謡ショウだと長い間奏では台詞が入るのが常ですが、今回は台詞は一切無しの動作のみでしたね。スタンドライトを消して、書類を持って山田警部と川岡刑事は上手手前の出入り口へと進みました。一人取り残され、不安げに仰ぐさくら。
その上の部分、上手の二階部分から織姫が登場。

織姫「♪わたしはいま あなたを感じてる
    時が過ぎて思い出の 時間に近づいて行く」

アイリスが上手側奥の出入り口一階から登場。歌は階段の上でした。

アイリス「♪わたしはいま あなたを感じてる
      忘れていたごめんなさい あなたがくれた愛情を」

紅蘭がアイリスとは反対側の下手側奥の出入り口一階より登場。

紅蘭「♪風の色も 季節の匂いも この胸にわき上がる」

最後にカンナが上手側の三階バルコニー部分より登場

カンナ「♪なんて切ない なんて悲しい いまならわかるのに」

さくら「♪ふたりだけの 思い出の数を つなぎ合せて 抱きしめよう」

全員「♪あなたの姿 わたしの中に 生きてる輝いてる」

最後のコーラスでは全員にスポットがあたり、すっとした一体感が一瞬包み込みます。

さくら「♪でも触れることの出来ない あなた…」

最後はさくらのみのピンスポットで、消えるように終曲。



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