カンナ「お!さくらじゃねーか!」
姿を確認して下手から走り寄ってくるカンナ。
あわてて裾で顔を整える。
さくら「カンナさん、今そこにお父様がい…」
カンナ「ええっ!??!
大変だ…!さくら、熱でもあるのか?
無理も無ぇよな、この暑さだもんな。
それに、お盆だしな。
きっとさくらの中でいろんな出来事がごっちゃになってるんだろうなぁ…かわいそうに」
さくらの「お父様がいた」発言を大仰に驚くカンナ。
さくらは、心配してくれているカンナに笑顔をこぼす。
さくら「カンナさん。」
カンナ「さくら、お前もう劇場に帰れ!で、帰って寝ろ!な?
お守りはあたいが必ず見つけてやるから!
だから…!」
さくら「いいんです!お守りの事は、もういいんです。」
カンナ「よかねーよ。大事な形見なんだろ?!」
さくら「あたし、お父様の形見は、あたしの心の中にあるって気がついたんです。」
さくらの顔を見て、何も言えなくなったカンナ。
カンナ「形見は心の中に…そっか…」
言いながら石段を上る。さくらも後に続く。
途中で止まり、座る。
カンナ「なぁ、さくら。」
さくら「はい。」
カンナ「あたいの親父は沖縄の武道家だってことは知ってるよな。」
さくら「はい。」
カンナ「毎日毎日、幼いあたいに稽古稽古で……
な〜んでこんな家に生まれちまったんだろうって、幼心に何度も思ったもんだ。
けどよ、試合に負けて…その傷が原因で親父が死んだ時
…あたいの中に親父がいたんだよ。
上手く言えねぇんだけどよ…親父だったらなんて言うかな?とか
親父だったらこんな時どうするだろうって……
今でも南の風が吹くと、親父の声が聞こえるような気がするんだよな……」
さくら「それがカンナさんの形見なんですね。」
拳と南風がカンナの親父さんの魂の形見。
剣と信念がさくらのお父さまの魂の形見。
……ってことでしょうか。
カンナ「そうか?
へへっ…そうかもしれねぇな。」
さくら「ですから…」
カンナ「わかってるよ。形じゃねぇって言いたいんだろ?」
さくら「はい。」
カンナ「でもよ、さくら。形があるモノは、そりゃあった方がいいんだよ。」
それに…上手くいえねぇけどさ、花組のみんなはさくらの親父さんを通して
それぞれの家族を思ってるんじゃないかな。」
さくら「…はい。」
いいお話じゃないですか〜!!
カンナ〜〜〜!!!!(T▽T)
で、ここで一新。話題変え。
カンナ「そう言えば今回の演目急に変更になったよなぁ…
なんて演目だっけ?」
さくら「マリアさん主演の、海神別荘です。」
カンナ「海神別荘…
海神で別荘…
怪人デベソ!?
ええーっ!???!!!」
いやぁー!!今回の妄想の生贄(爆)はマリアですかー!!(^^;;;;;;;;;;;;;
すし屋の部屋の障子にでっかいシルエットが……
くるりと壁が回転して出てきたのは…
「カンナの妄想3
「怪人デベン」(ンには×マークがついています。)
ソ 」
♪怪人デベソ
サイド「♪デ・デ・ベソ〜デ・デ・デベソ」
怪人デベソ「ウッ」
サイド「♪デ・デ・ベソ〜デ・デ・デベソ」
怪人デベソ「ハッ」
……い〜ーーやぁーーーー〜〜!!!(笑)
あ、もう歌詞聞き取れる状態じゃないので、飛ばさせて頂きます。(^^;;
マリアさんの恰好はというと…シルクハットにお笑い芸人が着てそうな青い上着に蝶ネクタイに黒いズボン。
ただし、いつものスマートなマリアじゃなくて……めちゃめちゃでっぷりして、もちろんデベソが強調されてました。(笑!)
もちろん、サイドダンサーの薔薇組もでっぷりにデベソ。(爆)
最後のコケには笑わせてもらいました。(^^)
いや、あの……いろんな意味でカンナさん最高です。(爆笑)
妄想終わって……こちらも爆笑なカンナとさくら。
カンナ「マリアがこんな…どすこいどすこいって張り手なんかしちゃってよ〜
あはははははははは……!!」
さくら「もう、カンナさんたら!
うふふふふ…!!」
カンナ「っておい!
何であたいの妄想なのに、さくらが笑ってんだよ!
おかしいだろ、それじゃあ。」
さくら「そ、それは……
カンナさん、妄想ばっかりしてると頭悪くなりますよ。」
カンナ「そりゃまずいな。これ以上悪くなったら大変だ。(笑)
あ!お守り探さないとな!」
はっと本題を思い出したカンナ。
カンナ「よし!じゃあ、さくらはあっち探せ!
あたいは、向こうを見てくるから!」
さくら「はい!」
カンナ「あーー!!!」
石段の上で何かを発見したのか、大声を出すカンナ。
さくら「見つかったんですか!?」
カンナ「ほれ!!」
さくら「い、いやだカンナさん……それ犬のうんち。」
カンナ「バカ言うなよ、いくらあたいでもうんちとお守り間違えたり…
…ってあれ?こりゃうんちか?」
くんくん、と匂いをかいで見る。
カンナ「…うんちだ。」
カンナさん〜〜〜(^^;;
カンナ「よかった〜踏まなくて……って、汚ねぇ!
えんがちょつ〜けた!!!」
と、うんちを投げて、さくらの裾へ手をこすりつける……
さくら「ちょっ…カンナさん!!」
カンナ「えんがちょ切った〜お天道様にあ〜ずけたっと〜〜!!」
頭の上で「えんがちょ」のポーズを取りながら石段上の上手方面へ走っていくカンナ。
それを追うはさくら。
さくら「カンナさん〜〜!!!」
二人が追いかけっこをはじめたと入れ違いで、紅蘭、アイリス、大神、織姫、レニが集団でやって来た。
大神の手には探しものが……
って言うか、なんで大神だけ着替えてんねん!(^^;;
モギリ服に変わってました。
大神「へぇ〜これがさくらくんのお守りかぁ……」
アイリス「うん!お兄ちゃんよく見つけたね。」
織姫「そんな事件になってたですか〜」
レニ「でも、見つかってよかった。」
紅蘭「お手柄やで、大神はん!」
大神「いや、偶然だよ。
ダンディ団の西村さんに貰ったんだ。」
紅蘭「それにしてもや!」
織姫「そういうめぐり合わせなんですね〜」
アイリス「お兄ちゃんらしいね!」
大神「いやぁ〜それほどでも〜〜」
一歩前に出て、大げさに照れる大神。
それにみんなは小さく。そう、小さく(笑)
「ほめてない、ほめてない。」
と手を横に振る。
みんなで歩いていこうとしたとき……
白狐「稲荷ずし食いた〜い〜〜〜!!!」
すみれさんと同じく、きょろきょろと辺りを見回していると…また暗くなってお社の上に白狐が!
白狐「稲荷ずし返せ〜〜〜!!!」
アイリス「あっタヌキだ!」
白狐「ちーがーうーーーー!!
狐だ!!」
全員「え〜〜〜〜っ!?」
全員で異論の声。どっからみてもタ……(自主規制)
…に見えてしまいますからねぇ…
その声に怒って白狐は
白狐「キーーーツーーーネーーーーー!!」
と、空に指で「キツネ」となぞる。
それでも「キツネ〜?」と顔を見合わせるみんなに…
白狐「ええい!
我を愚弄するか!!こうなったら……
変身ーーー!!!」
―――12日・夜――――――――
今回の白狐はここが笑い所!!
最初の「稲荷ずし食いたーい!」でみんな一斉にアイリスの方を見る。
アイリスじゃないよ、と手を横に振る。
次の言葉も同じ。
で、お社に姿を確認すると……
アイリス「あ〜!さっきの声は、アイリスじゃなくってあのおばちゃんだ〜!」
白狐「おばちゃんではなーーい!白狐様だ〜!!」
アイリス「…変な声。」
白狐「お前が言うなー!!」
……そりゃある意味ごもっとも。(^^;;
アイリス「お前が言うな〜!」
唐突に、白狐の真似をはじめるアイリス。
白狐「真似するなー!」
アイリス「マネするな〜!
アイリスちゃんはかわいい〜!!」
白狐「アイリスちゃんは可愛いー!」
アイリス「ちっちゃくってかわいい〜!!」
白狐「ちっちゃくってかわいいー!
ってなんでお前の真似をしてるんだー!!!」
いや、何度も繰り返すとどっかからか狂ってくるもので…(^^;;
白狐「白狐様は美しいー!!」
しーーーん………
白狐「真似をしろーーー!!!!」
……で、「変身ー!」のセリフにいきます。
あ〜おもしろかった(^^)
――――――――――――――――――――
白狐を登場時と同じく煙が包む。そして笑い声。
「おっほほほほほほ……」
お社の扉が開き、出てきたのは……
アイリス「なぁ〜んだ、すみれだぁ!」
織姫「すみれさ〜ん!
もう、何やってたですか〜
全員長命寺に来やがれなんて勝手に言って……」
そう、すみれ。けど、白銀の光沢の衣を羽織って頭には白い耳が…
大神「お、織姫くん!
こいつは…すみれくんじゃないぞ!」
ずんずんとすみれに詰め寄ろうとした織姫の腕をつかんで止める大神。
…OVAの時といい…織姫って実は一度信頼した人にはトコトン無防備な所があるのかも…(^^;;
妖力(霊力)の違いにすぐに気づかないのかな…??
紅蘭「あ、あれ……狐やで!」
レニ「狐が…すみれに化けてるんだ!」
―――12日・昼&17日―――
ここのレニのセリフ、ちょっと変わっていたみたいです。
レニ「すみれが…狐に化けてるんだ!」
……逆だー!!!(^^;;
でも、そう言われるとそう見えなくないかも…(爆)
―――――――――
大神、レニは両手を広げて、アイリス、織姫、紅蘭を守るようにするが……
すみれ(白狐)「では、みなさまに幸せな夢をお見せいたしましょう。
これは、白昼夢ですわ!
コーーーーンッ!!!」
♪幸せな夢
予想通りすみれさんが取り付かれた歌だった!
歌が始まると同時に、妖術にかかったのか、糸つり人形のような動きをしてしまう面々。
曲の前半はまだ意識はあったみたいですけど、曲が終わる頃には白狐の眷族も出てきて、もう、完全に取り付いていました。白昼夢。
そこへ、偶然通りかかった薔薇組が…!(上手客席前)
菊之丞「ああ!花組の皆さんが狐に…!!」
琴音「いけない、妖術だわ!
そうだ、さくらさんの…!!」
菊之丞「霊剣荒鷹!!」
琴音「知らせに行きましょう!」
菊之丞「はい!!」
薔薇組……今回なんてまともなの!!(爆)
曲も終わりそうな…そろそろ仕上げという所で銃声が。
マリア「みんなしっかりしなさい!」
銃を構えたマリアさんが、石段を下りてくる。
しかし、妖術は解けていなくて……
「こーーーーんっ!!」
マリア「みんな……
しっかりしなさい!!」
パンッと、もう一度空へ銃を撃つ。
すみれ(白狐)「稲荷ずしの恨みじゃあ〜〜〜!!!」
マリア「おのれ妖怪!!」
―――11日・夜―――――
マリアさんのセリフがちょっと変わっていたみたいです。
マリア「おのれタヌキ!!」
……マリアさんにまでタヌキと言われて…ちょっと哀れ?(^^;;
―――――――――
すみれ(白狐)「コーーーンッ」
それを合図に白狐立ちが動く!
白狐の眷族たちに囲まれて、ピンチだマリアさん!!
銃も取られ、危うし!!
が、そこは戦いなれた人。なんとか銃を拾うと、妖術の影響も受けつつも(自分のこめかみへ銃を向ける力に必死に逆らっていました。)白狐すみれの足元へ発砲。
それに、すみれの姿を保てなくなったのかお社に一旦避難して、元の姿に戻る。
白狐「お前たち、いけーー!!」
今度は眷族だけでなく、操られた花組の面々も!!
さすがにやたらに発砲できずに、腕をつかまれ、身動きが取れなくなってしまう。
足元にアイリス。織姫は最終的にはマリアにおぶさるような形で背中に。
レニは……どこだったっけ(^^;;
マリアの周りにまとわりつく前に、マリアの顔をむにって引っ張ったのが印象的で……
紅蘭と大神さんは後ろの方へ。
と、まぁ…動けなくなったマリアを見て……
白狐「どうだ!いかにお前らに霊力があろうが
400年もこの地に住まう我の力には適うまい!!」
カンナ「ちょっとまったぁぁぁーーー!!!」
下手からカンナが駆け出してくる。
ちょうど店の前にいた白狐と目が合う。
白狐「タヌキじゃないぞ!!」
散々言われたからって、自分から申告しなくても…(^^;;
カンナ「ああ、わかってるよ白狐さん!」
おおっカンナが一発で正解を!!(^^;;
白狐「ありがとうっ」
いや、そこで抱きつかれても……
はいはい、本題に戻りましょうね。
ちなみに、12日はこんなミニコントはなく、スムーズに次のセリフへ
カンナ「と、ところでよ、今稲荷ずしの恨みって聞こえたんだけどよ…
アレを食ったのはあたいなんだ!だから、みんなは関係ねぇんだよ!
さぁ、あたいを煮るなり焼くなり好きにしてくれい!!」
ドカッと座るカンナ。
まぁ…勇ましい。
白狐「ええい!真犯人はお前か!!
者ども、やれい!!」
狐の眷族達がカンナを囲み胴上げ(^^;;
いや、本当に胴上げ。しかもかなり高く上がってました。
カンナ「うひゃあああーーー!
うひゃあぁぁぁぁーー!!」
操られた面々も、マリアの傍を離れる。
マリアは今度はカンナに攻撃をする操られた面々の目を覚ます為、また空に発砲する。
マリア「みんな…!しっかりなさい!!」
パーーンッ
が、やはり一瞬ひるむだけで解けない。
そこに白狐の妖力波が!!
マリア「あうっ……!!」
飛ばされるマリア。
カンナ「マリア撃つな!これはあたいの事なんだ!マリアは……」
マリア「そういうわけには行かないわ…っ
つっ……」
苦し紛れに発砲するが、どうやらハズレ。
社の上からの白狐の妖術に倒れるマリア。
マリア「ああっ!!」
カンナ「やめろっ
やるならあたいをやれ!!」
マリアを庇うように、白狐との間に入るが、カンナも同様に飛ばされる。
カンナ「うわぁあぁぁぁっ!!」
いよいよ白狐の力は強まる。絶体絶命のピンチ!!
そこへ!!!
さくら「お待ちください!!」
マリア「さくら!」
石段の上から、荒鷹を持ったさくらが凛とした表情で石段を降りてくる。
さくら「実りをもたらし、地を統べる…
白狐様に申し上げます。
ここは人の住まう所です!どうか、お怒りをお鎮めください。」
丁寧に礼をするが、一度高まった怒りは早々に収まらない。
白狐「ええい!!
ここは我の土地じゃあ!!」
白狐の眷族たちが、組体操のように、壁を作る。
怪しげなライトに、暗い音楽…
マリア「怒りが……邪悪な念を呼び込んでいるわ!!」
さくら、ゆっくりと荒鷹を抜く。
さくら「静まれや異界の者!!
静まれや荒らぶる魂。
数多、天地(あめつち)の詔において、霊剣荒鷹を持ってその怒りを鎮める。
…お静まりあれ。」
白狐「ここは我の物じゃあぁぁぁぁーーーー!!!!」
手から、白い糸を飛ばす!
さくら「荒鷹ぁぁーーーー!!!!!!!!!!!」
さくらが荒鷹を横に一閃!!
すると、バンッと火花が散り、白狐が叫び声と共に消える。
同時に、眷族も社の中へ消える。操られていた面々もバタバタとその場に倒れる。(というか、座り込む)
(この騒動の間、ずっと上手方面でキツネの真似をしていたので……;;)
辺りの空気も元の空間の雰囲気を取り戻す。
さくら、荒鷹を鞘に収める。
―――14日―――――
この、さくらさんの「荒鷹ぁぁーーーー!!!!!!」の後…火花が鳥井に燃え移ってちょっと燃えていたらしいです;;
自然鎮火したようですが…危ない所でしたねぇ……
何事もなくって良かったです。
――――――――――
マリア「さくら…よくやったわ。」
マリアが安堵の声をかける。
さくら「はい。」
カンナ「あたい、あの白狐の気持ちがわかるような気がするよ。
何処もかしこも都会になっちまって、蒸気で溢れてて……」
さくら「昔の人は、食べ物や自然を守る異界の者を敬ってました…」
マリア「そういう心を忘れると、人の心は魔物になるわね。」
なんだか、今後のサクラ大戦の深いテーマに関わるかとも取れるセリフですね。
カンナ「バチ、当たっちゃったな。
今回の騒動は、あたいが稲荷ずし食っちまったのが原因なんだよなぁ……」
マリア「そうよ、カンナ……」
カンナの背後へ迫り、低く呟きながら、銃を出す動きをする……
カンナ「うひゃあぁぁぁっ!!
わ、悪かったよぉぉぉ!!
こ、今度たくさん稲荷ずしお供えするからさ!」
もちろん、マリアは冗談。
さくらと目を合わせ、微笑む。
カンナ「それに……感謝しなくちゃな。いろんなことに。」
マリア「そうね、それがいいわ。」
さくら「ふふっ……あ、皆さんを起こさないと。」
カンナ「あ、ああ!そうだな。
おい、みんな起きろ!大丈夫か?!」
ぺちぺちぺちっと頬を軽く叩いて起こす。
織姫「う〜〜ん……
ああっ!!小キツネーーー!!」
カンナ「小だけ余計だよ!!
あたいだよ!」
寝ぼけた織姫の声に、目覚めのカンナの一言。
みんなどうやら無事のようだ。
アイリス「あーさくら!!
あのね、あのね…さくらのお守り、見つかったよ!!」
気がつき、さくらの姿を見るなり駆け寄り、朗報を告げる
さくら「ええっ?」
他のみんなも起き上がり、さくらのもとへ。
大神がポケットの中を探る。
大神「はい。これだろ?さくらくん。」
大神の手から渡されたお守りは、まさしく一馬から貰ったもの。
さくら「ありがとうございます!」
マリア「これで、お守りの一件も白狐の一件も、解決したわね。」
笑いあう花組の面々
織姫「あれ?そーいえばすみれさんは?」
あっ!と、お社に捕まったままのすみれを思い出す。
するとお社の扉が開き……
すみれ「まったくもう…なんなんですの?
わたくし、稲荷ずしなんか食べてませんわよ。」
どうなってますの?と、態度で言いながら出てくるすみれを警戒する花組
カンナが恐る恐る近づき……
カンナ「おい……すみれだよな?
狐じゃねぇよな?」
すみれ「カンナさん!!何をおっしゃいますの!?
わたくしの、ど・こ・が!狐に見えますの!?」
カンナ「うわぁぁ〜〜〜ん怖〜〜〜いぃ…!!
間違いなくすみれだ。」
すみれの少々(?)甲高い声に、本人だと確信するカンナと他のメンバー達。
すみれはちょっと腑に落ちない顔をするが、何か言う前に、下手から松吉を捕まえた武田が花組の前を通って店の前へ!
武田「オラ、上がれっ
いいから上がれよ!!」
松吉「か、かんべんしてくれぇぇ〜〜〜」
無理矢理、家の中へ上げようとする武田をカンナが呼び止める!
カンナ「おい、武田!!
なにがあったかしらねぇけどよ、あやまってるじゃねぇか。
許してやれよ。」
武田「……そいつは出来ません。」
カンナ「あたいが頼んでもか?」
武田「………ええ。俺はこいつにね、50円貸したんですよ。
50円といえば大金でしょ?
10円あれば今日日背広が作れる時代だ。
そんな大金をお前に貸したのは、俺が世話になった先代にせめてものご恩返しにって思ったからだ!
それなのにこいつは…やれ酒だ博打だ?ちっとも商売に身を入れねぇ!
腕は上がらねぇ、すしは不味い、商売上がったり、金は返せねぇ……
バカ言ってんじゃねーよ!!オラぁ!!」
松吉を突き飛ばす。
武田「今日という今日は勘弁ならねぇ!!
隅田川に簀巻きにしてたたっこんでやるからな!!」
と、拳を振り上げる!!!
さくら「武田さん!」
武田「止めねぇでください!さくらさん!!」
さくら「止めません!!」
武田「いや、止めねぇで…って
ええっ?」
さくら「だってその拳は、この方のお父様の拳なんでしょ?」
カンナ「さくら…」
さくら「カンナさん、言わせてください。」
と、膝をついている松吉の顔を見て話を続ける。
さくら「あなた。どうして真面目に働こうとしないの!
どうして商売に身を入れようとしないの?!
なんでもそうだけど…形だけ整えたってダメなのよ。
そこには魂がなきゃ!!」
さくらの言葉に、松吉は顔を俯かす。
さくら「さぁ、武田さん。思いっきり殴りなさいな!」
カンナ「そうだ、殴ってやれよ、武田!!」
さくらの言葉と事の成り行きを聞いてカンナも賛同する。
が、武田の言葉は……
武田「いや…俺にはこいつ殴れません。
あの金…くれてやったんですよ。」
カンナ「な、なんだよ…そりゃ……?」
武田、少し間を置いてから、話をはじめる。
武田「おいら、数えて十の時、一家でブラジルに移民しましてね。
でも、過労が原因で両親ともおっ死んじゃいましてね。
それからずっとコーヒー農園の下働きしてやした。
十八の時に、やっとの思いで密航して日本に帰ってきたんですよ。
でも、外国暮らしが長かったおかげで、どうも馴染めなくてねぇ…
食うに困ってそこの言問橋の下で路上生活してたんですよ。」
織姫「それで……ヤクザになったですね……」
武田「……そんな俺に目をかけてくれたのが、ここの親父さんだったんですよ。
毎日毎日…上手ぇ稲荷ずし食わせてくれてよ。
俺がヤクザになるって言った時も…
「テメェこのやろう!体、大事(でぇじ)にしろよ!」って…
俺ヤクザになるって言ったのによぉ…はははっ」
織姫「武田……」
武田「…俺の体絞ると、汗の代わりに油が出てくるんですよ。
そんな俺が…どうして、親父さんの忘れ形見のこいつを殴れますか。」
武田の話に感動したのか、松吉…武田の足元にすがりつき…
松吉「アニキ……俺、働く!
一生懸命働いて、それで金返すよ!!」
……いい話じゃないですか。(><)
このとき、花組の面々はそれぞれ真面目に話を聞いていましたが、紅蘭と大神さんは、涙ぐんでいました。
カンナ「お前……いいアニキ持ったなぁ!!
あたいが毎日買いに来てやるよ!!
そうだ!すみれ!!」
すみれ「はいっ?!」
カンナ「お前も買え!
お前ん家お金もちなんだから千個も万個も買え!!」
すみれ「夏は桜餅ですわよ…!」
カンナ「いーから買え!!」
すみれ「んもぅ!わかりました。
買いますわよ。」
武田「よろしくお願いします!!!」
深々と頭を下げる武田。松吉もそれにならう。
とそこに、5時の鐘が……
松吉「あ、アニキ……俺、迎え火たくの忘れてた……」
武田「バカヤロウッさっさとたきやがれ!」
松吉「へい!」
二人で店の前に行き、迎え火の準備をはじめる。
それを見た花組は笑顔で稲荷神社の前へ。
さくら「なんだか、嬉しい気分ですね。」
アイリス「ねぇねぇ!みんなでいつものアレやろうよ!」
カンナ「そうだな!アレやろう、アレ!!」
マリア「そうね。さくらお願い!」
さくら「はい!それじゃあ……
勝利のポーズ……」
『キメッ』
御なじみの曲にそれぞれポーズを取る花組。
やっぱり最後は笑顔で!ですね。(^^)
幕が閉じて曲もフィニッシュ。
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