はい、休憩時間も終わりました。
十分に休めましたか?(^^)
それでは、第二幕に進みましょう!!
―――レポート本文―――――――
第二幕の幕開けは舞台両端に設置された客席から……
上手、下手にそれぞれ三つずつ座席が……そこに現れたのは一馬さん!!
上手の端の席に静かに腰をかける。
するとそこに、チケットを持ったダンディのボスと金田先生が……
ダンディ「え〜っと……へ列の…」
金田「あ!ダンディさんここですよ!!」
席を探し当てて、一馬の隣りにダンディが、ダンディの隣りに金田先生が座る。
ダンディの手には白い花の花束が……
ダンディ「綺麗でしょ?
さくらさんへの、プレゼントなんですよ。」
金田「そうでゲスなぁ!
あ、隣り空いてるみたいですから、そちらにおいて置いたらどうでしょう?」
ダンディ「そうですね。」
ばさっと一馬さんの膝の上に置くボス……やっぱりというか…どうやら見えてないようです。(^^;;
そぉか……歌謡ショウの空いている席には、一馬さんや他の皆さんが座っているんですね(違う)
と、そこに向かい側で席を発見した武田と西村が向こうに発見したボスに手を振る。
西村「あ、ボスー!!」
ダンディ「よぉ、お前ら!」
武田「ボス、ここ空いてますよ!」
と、隣りの席を指す。(あ、言い忘れましたけど、この座席、3席用意されているのです。上手には金田先生とボスと一馬さん。下手には、西村と武田)
ダンディ「もうすぐはじまるから、席についてろ。」
そこに、大神さんに案内された客が一人(ちゃんとモギリしてるんだ!!)武田の隣りへ。
大神「こちらです。」
白狐「はいはい、どうも……」
し、白狐ー!!(^^;;
案内した大神さんは、また戻っていく。
―――12日―――――
白狐の役が替われば、演出も変わる……清水よし子さんのときは、何か背中にしょってやってきました。
席につくと……
白狐「明日は〜晴れるね、ダンボール♪」
と、歌って背中に背負っていたダンボールで作った狐を見せる。(笑)
ダンボールとジャンポール……たしかに、良く似た音ですよね〜〜〜(^^)
白狐「どうも、すみませ〜ん」
と、狐をわきに置いて、席に座ると、西村から
西村「アイリスちゃんの知り合いですか?」
と。たしかに、そう思いたくなるトーンですよねぇ〜
――――――――――――――――
白狐「いやね、私お芝居を劇場で見るのは初めてなんですよ。」
武田「そうか。
今帝都の名物と言ったら帝国歌劇団の歌謡ショウなんだよ!
そうだよな、みんな!!」
客席に振る。そのとーーーーーり!!!(^^)
そこに、開演を告げるブザーが……
客席が暗くなり、アナウンスが…
マリア「本日は、大帝国劇場にご来場賜り、ありがとうございます。
さて、本日の出し物は、泉鏡花・原作「海神別荘」を
金田金四郎脚色で、お贈り致します。
どうぞ最後まで、ご観覧ください。」
公平先生も礼をして、音楽が……
そして、浪曲師が登場しまして……
ここからは、基本的に役名で通しますので、先に役を説明して置きますね。
公子(若様)……マリア・タチバナ
美女………………真宮寺さくら
女房………………神崎すみれ
博士………………李紅蘭
沖の僧都…………中嶋親方
腰元………………藤枝かえで
ソレッタ・織姫
イリス・シャトーブリアン
黒潮騎士…………レニ・ミルヒシュトラーセ
赤鮫………………桐島カンナ
赤鮫(子分)……清流院琴音
丘菊之丞
です。それでは、するりするりと幕開けです。
三味線の調子が聞こえます。浪花節。
雲国斉「時は太正、世は蒸気の時代!
ここは人の知らない海の底ぉぉ〜
海の世継ぎの別荘として、金銀珊瑚をちりばめた
その名も〜貴きぃ〜〜青玉殿〜〜〜
そして今日は!若様が待ちに待ったる恋人が
海に沈んで、そのお手元へやって来る日でございます。
これは人と魔物のぉ〜〜ものぉ〜がたりぃ〜〜〜
さて、本日の最終幕!
するりするぅりとぉ〜はじまりまするぅぅ〜〜〜〜」
ベベンッと三味線鳴らして、舞台袖へ。
幕が開けるとそこは華やかなりし青玉殿。腰元集の華麗なる舞
♪海の宴 花の宴
とても華やかなシーンでした!(^^)
海草を思わせる緑に色とりどりの鮮やかな着物に、水泡を思わせる薄白いリボン。
それと、大きな青緑色の扇。腰元集の舞、特とご覧あれ!!
そうそう…この歌で、途中ドラの音が入りますよね。
で、曲が一旦止まり、また新しく始まる……それが、舞台上ではアイリスがみんなが踊っている時に思いっきりドラを叩いて……
その音に、皆の踊りは中断。怒ったようにアイリスを見る。
全員の視線を浴びたアイリスは舞台中央で一歩出て……頭の上で手を合わせ「ごめん!!」とリアクション。
そのアイリスに再び笑顔を見せて歌い踊ってました。
扇を広げて、舞の最後を飾ると、上手の階段(セットで階段があるんですよ。)から、僧都が現れる。
僧都「おお、腰元集たち!
これまた、ずいぶんと賑やかであられますな。」
腰元(織姫)「今日は華やかな日であられますから。」
腰元(アイリス)「かねてより若様が御望みの、陸の女子のお輿入れの日でございます。」
僧都「おお、そうであったな!」
腰元(織姫)「陸の女子は、いかほどのものでございましょう?」
腰元、僧都を肩で突付く。
腰元(アイリス)「僧都様なら、ご存知でらっしゃいますでしょう?」
また別の腰元、反対側から僧都を突付く。
腰元(かえで)「たびたび海の上においでてすものねぇ。」
それまた別の腰元、扇でひと扇ぎして、僧都を煽る。
僧都、上手から下手へ移動して弁解の口を開く。
僧都「いやいやいや…荒波を切って頭を出しますのは嵐の夜ばかり
見えますのは闇ばかりで
女子の事など、まつげにもかかりませぬ!」
腰元(かえで)「またそのようなウソを!」
からかう調子で、腰元が相槌を打つ。
僧都「いえいえ、ウソではござらん!」
腰元(織姫、アイリス)「ウソウソ!」
腰元三人、くすくすと笑いながら僧都に返す。
僧都、思い出したかのように腰元集に声をかける。
僧都「忘れぬうちに若様の耳に入れたい儀がござりまする!
ささっ若様にお取次ぎください!」
腰元(かえで)「ただいま。」
腰元(アイリス)「すぐに。」
小さく笑い声を上げながら、三人の腰元がその場を後にする。
僧都、床に座り、公子のおいでを待つことしばし。
後ろの壁が上がり、そこには水に浮かびし公子が。
ゆっくりと下りてきて、腰元集を従えて僧都の下へ歩み寄る。
公子「爺、見えたか。」
僧都、立ち上がり公子の方へと体制を整える。
僧都「おお!これは若様。
お休みのところを、恐れ入りましてござりまする!」
公子「堅苦しい挨拶はよい。爺、何か用か。」
僧都「はっ
このたびの儀におきまして、先方へとお遣わせになりました品々を
念のために申し上げとうございます!」
公子「おお、あの女の親にやった
陸では結納ともうす物か。」
公子の言葉に、僧都、言いにくそうに次を告げる。
僧都「は、ご聡明なる若様……しかし、若様は覚え違いでござりまする。
結納というのは、親と親が手を結び、仲人を交え両家の間で品物を交換する事で…
しかし、この度は娘の父親が若様がご支配なさります海の財宝に望みをかけ
その願いを聞き入れてくだされば、見目器量たぐいまれなる我が娘を海へ捧げると申したもので
お贈りになった宝は結納と申すより、その女の身代というものでございます。」
公子「ふむ。
まぁ、なんにせよ海では少しばかりの事、別に知らせるには及ばん。」
僧都「いえいえ!若様。
この僧都が承りましたからには、うろこの一枚、貝殻一つでも、お耳に入れなくては気がすまないのでございます。」
腰元(かえで)「ささ、若様。お椅子へ…」
公子「うむ。」
公子、腰元に進められて座へ腰を下ろす。
腰元、その周りにつく。僧都、一息置いて「身代」の報告を。
僧都「真鯛大小八千枚
鰤(ぶり)、鮪(まぐろ)ともに二万匹
鰹(かつお)、真那鰹 各一万本
大比目魚(ひらめ)五千枚
鱚(きす)魴?(ほうぼう)鯒(こち)?身魚(あいなめ)目張魚(めばる)藻
魚
あわせて七百籠
若布のその幅六丈、長さ十五尋(ひろ)のもの百枚一巻九千連
鮟鱇(あんこう)五十袋
虎河豚(とらふぐ)一頭
大の鮹(たこ)一つがい……」
腰元(かえで)「もし、それは皆、女の身代というものにおつかわしで?」
僧都「まだまだござりますぞ。
月の灘の桃色の枝珊瑚一株、丈八尺
まわり三抱えの分にござりまして……」
公子「もうよい。」
僧都「しかし、若様……」
公子「なんにせよ、海では少しばかりの事だ。」
腰元(織姫)「海ではいかほどの事もございませんが
受け取りまする陸の人には少ない数ではございますまい。」
腰元の言葉を受け、僧都立ち上がる。
僧都「さよう!
人間が大海原から取り入れまする獲物というのは
貝に溜まった雫のようにいささかでございまして
入れ物網が小さくて望みを満たす事に手間の要ること、なんともまだるい。
なかには、針の先に虫をつけて雑魚を釣るという、仙人技もござりまする。」
網取りや釣りの動きを大きくする僧都を、腰元が微笑う。
公子「愉快な事を。」
腰元(アイリス)「またそのようなご冗談を。
針の先に虫をつけて雑魚を釣るなど、まぁ…」
僧都の肩で言う。その後ろで別の腰元(織姫)が魚釣りの動きを真似て腰元(アイリス)を釣ろうとする。
針が引っ掛かった真似をして、釣られる腰元(アイリス)を、横から糸を切る真似をしてまた別の腰元(かえで)が終える。
一通りの動作を終えた腰元は、笑いながら自分たちがいた場所へ戻る。
公子「笑うな、老人は真面目であるぞ。」
腰元(かえで)「それにしても、良くそれだけのものをおつかわしになりましたね。」
僧都「若様はご性急であられる。
よって黒潮の手勢をちょいと動かして、津波を起こさせ娘の家へ運び込みました儀であります!」
腰元(アイリス)「まぁ、お勇ましい!」
パチパチと手を叩く腰元(アイリス)を、公子が鋭い声で止める。
公子「勇ましいではない。
家畑を押し流して…村の者は迷惑をしたのではないか?」
僧都「いえいえ、黒潮が密(そ)とつまはじきましたばかり
人命を断つほどではございません。
もっとも、娘の父親は自分ばかり海の幸を手に入れましたからに
村人の迷惑など、いささかにも気には止めておりませぬ。
受け取りました父親は心底喜び
「あわれ龍神!一命も捧げ奉る」とご恩の程をありがたがります次第でございます。」
公子「親父の命など、ごめんだね。
そんな魂を引き取ったら海月が増えて迷惑するよ。」
腰元(織姫)「あんなことをおっしゃいます。」
くすくすと笑う腰元集。
僧都「ですから、海の御世継ぎであられる若様が
人間界の事を気に止める事はいささかもありませんでございます。」
公子「そんなら良し。
しかし、僧都。そんな物で満足した人間の欲は浅いものだね。」
僧都「はっ」
公子「恋しい人よ。
望めば命もやろうものを!」
腰元(織姫)「思われました娘御は、天地にかけて波かけて
御幸せでございます。」
腰元(アイリス)「お早く御着きになればよろしいですね。」
公子「うむ。
……おお、あれだ。」
公子、御座から立ち上がり前へ出て遥か海の、波の間を指す。
公子「あの一点の光がそうだ!」
腰元集、僧都も見つめる。
舞台暗転。幕。
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