第二幕・ダンディ団編

……さて、休憩も終わり。
二幕の開幕のベルは…マサオちゃんでした!!(笑)
よくわからない大人気です!(爆)
下手から登場して「べし!」と挨拶をしてにこやかに手を振って戻っていきました。

会場内が暗くなり、さて誰のどんな場面から二幕は始まるのか…と思っていると上手から響く三味線の音色!
拍手の中、雲国際先生の登場です!!

雲国斎「絵の無いところに絵をすえて〜〜!!
    …皆様方。お楽しみいただけてますでしょうか?
    一幕からの掛け声どうもありがとうございます。
    しかしよく耳を澄ますと、大きな声を出してる人と
    気持ちはあるんだけどどうしたらいいのかわからない方と居ると思います。
    それじゃいけません!ここは歌謡ショウです。
    音響さんも、裏方さんも、もう外を歩く人も全員!!全員で!
    もう一回出ますから!」

雲国斎先生、相変わらずですね〜
一旦上手へと帰る先生。一拍ほどでしょうか。再び登場してきましたので…

雲国斎「…はい!!」

待ってました!!!(>▽<)

雲国斎「待っていてくれてありがとう。(笑)
    では、一曲…
    絵の無いところに絵をすえて〜!
    …皆様方。三味線が三回鳴った所で「たっぷり!」と
    もう、思いっきり「たっっぷり!!と!
    多少前の方に唾がかかっても構いません!(笑)
    で、あたしが一節唸ったところで…「名調子!」
    あたしがすっと息を吸いますから、そのタイミングでお願いします。
    で、なにがなにとでなにとやら〜で唄が終わりましたら「日本一!!」
    …腹でどう思っていようと、そういう決まりでございます!(笑)
    じゃ、行きますよ。メモしておかなくて大丈夫ですか?」

大丈夫です!(笑)

雲国斎「それでは…(ベンベンベン…と鳴ったところで「たっぷり!!」)
    絵の無いところに絵をすえて〜!(「名調子!」)
    今更帝都をどうこうしようと 根来忍者の横車
    引いてみたところで仇花散らす そこは上野の寛永寺
    未来永劫 帝都の平和を守り抜きたい願いたい
    それが花組 戦う乙女」

いよっ日本一!!

雲国斎「ありがとうございました。」

惜しみない拍手の中、先生は下手へと下がっていきました。
うーん、浪曲もいいですねぇ
一幕と二幕を繋ぐ唄、ありがとうございました。
ここから、二幕の始まりです!

舞台の幕が上がると、そこは夜の寛永寺…鬼火が漂う異様な雰囲気を心地よさそうに受ける幻夜斎が下手に立っています。

幻夜斎「…悪を倒す帝国華撃団だと?笑わせるじゃないか。
    力を持つ者に善も悪も無い。ただ力があるだけさ。
    さて…どっちが強いか、やってみたいものだね。」

ゆっくりと歩きながらの呟きには、薄ら笑いを浮かべて。
辺りを見渡してさらにその笑みは深まります。

幻夜斎「ああ、そうか…そこにいるのか。
    天海の恨みがこびり付いているね!
    じゃあ甦らせてやろう。我が秘術をもって…!!」

じゃらっと懐から数珠を取り出すと、念じるために目を閉じて手を合わせます。
数珠がこすれあう独特の音に真言が重なり、辺りに残骸として散っていた破片が寄り集まり徐々に形作っていきます。
その形とは……

幻夜斎「甦れ…甦れ、脇侍ーー!!!」

そう、かつて何度と無く戦ったあの魔操機兵!!!
幻夜斎の力で、再び力を得た脇侍が怪しく光ります。
幻夜斎の高笑いが響く中、紗幕が下りて暗転。

場面は変わりまして、張り出し舞台の奈落から現れたのは貧相としか言いようの無い布団。小さな部屋…なんでしょううね。
それにシャツ一枚で横たわる一人の男…そして、その男を訪ねるべく上手から現れたのは西村です。

西村「(手元の手紙を確認して)山谷一丁目六番……ここだ。
   ごめんよ!優作はいるか?俺だ、西村だ。」

優作「おう…!ちょっと、待ってろ……」

少々気だるそうに起き上がった優作は、壁にかけてあった上着を羽織り、トレードマークの帽子を被ってから応えます。

優作「…上がれ。」

すっと家の中に入った西村に「よぉ」と片手を上げて挨拶をする優作……その痩せこけた頬…
どこか調子でも悪いのでしょうか…と、心配しているとごほごほと咳き込みます。

西村「…大丈夫か?」

西村も声をかけますが、優作は自嘲の笑みを浮かべて

優作「ちょっと、胸悪くしちまってよ。
   へっ…死神の優作に、死神がとり憑きやがった。」

それだけ言い、遠くを見つめています。
……そんな、悲観的な。

西村「…医者呼ぼう。」

優作「よせよ!!(去ろうとした西村をその声で呼び止める)
   …なに、今日あんたを呼んだのはちょっとした罪滅ぼしのつもりでね。
   ちょっと、嫌な仕事に関わっちまってよ。」

西村「殺しか…」

優作「米田ってジジイ殺せってよぉ!」

西村「なんだと!?」

布団の上に座ったままの優作に、思わず食って掛かろうとする西村。
それを片手を上げて制する優作…けど、西村。そんなこと言われて心中おだやかではないですよね。

優作「まぁ最後まで聞けよ。
   で、この前殺ろうとそいつの家に行ったと思いな
   そこにあんたが出入りしててよ…どうにも殺る気無くしちまった。
   (背広から一枚の紙を取り出す)これはよ、俺に米田殺れっていった奴の手紙だ。」

無造作に出された手紙を広げる西村。そこには「ヨネダヲコロセ」と書かれていて・・・

優作「宇佐見とかいってたぜ。」

西村「宇佐見…!!(手紙を持つ手に力がこもる)
   …すまん。」

頭を下げる西村に、片手を上げて応える優作。
ですが、そのままむせこんでしまい…とっさに背中を撫でる西村の腕を軽く押して距離をとる。

優作「大丈夫だよ。……なにやってるんだろうな。
   (天を仰ぎながら)俺、なにやってんだろ……
   ホントはよ、音楽やりたくて東京出てきたんだ。」

ピアノを弾く手の動きをする優作…それがまた切なそうなんですよ。
優作の思わぬ告白に驚く西村。

西村「お前もか!…いや…俺も、歌手になりたくて東京にきたんだ。」

優作「お前もか!?……西村ーー!!!
   ははは…東京ってのは、迷子になっちまうな。夢が迷子になっちまう。」

腕を広げて天を仰ぎ続ける優作。こんなつもりじゃなかったのに、気がついたら
こんな所にたどり着いていた…さらに苦しそうに咳をする優作の肩を掴んで励ます西村。

西村「お、おい!しっかりしろ!!」

優作「いいから行け…早く行け!!(腕を振りほどいく)早く行ってなんとかしろ!
   奴らが次の殺し屋雇う前に…!!」

西村「……わかった。」

優作の心を受け取った西村は、静かに礼をして立ち去ろうとしますが…
振り向こうとした西村に、優作はただただ「行け…!」と。
預かった手紙を懐にしまおうとして、落とす西村。それをゆっくりと拾うと、駆け足で上手へ。
…西村が今まで立っていた場所には財布が。手紙は、わざと落としたんですね…これを受け取らせるために。

優作「…バカヤロウ……」

さすがに、これは受け取らないわけにはいかないですよね。
ゆっくりと立ち上がって財布の中身を見て止まる西村…そこにはお札がぎっしり!

優作「な、な…なんじゃあ、こりゃあ!!」

思わず出てしまったこの台詞。(^^;;
感謝するようにお札を広げたまま頭を下げた優作は、そのまま奈落の下へと下がっていきました。

さて、舞台は変わりまして。ここは銀座のカフェタイガー
ミラーボールが舞う店内には下手のテーブルにマカオの虎とその子分とお店の女給さん。
真ん中のテーブルには…なんだかもう泥酔している雲国際先生。(^^;;
そして上手側のテーブルには西村と米田さん。女給さんもいますが、揃った理由は…手紙ですよね。

マカオの虎「おう、ヨシコちゃん。ちょっと見ない間に綺麗になったじゃねぇか。」

ヨシコ「まぁ、ありがとう、マカオの親分。」

雲国斎「リサちゃぁ〜〜ん…」

女給「(西村たちのテーブルから立ち上がって)もう、先生。
   リサちゃん今日はお休みですって。
   今日は飲みすぎですよ。ほら、もうお帰りになった方が…
   (立ち上がらせて出入り口へ)今度、リサちゃんがいるときに
   またいらしてくださいね。お気をつけて〜!」

女給さんが入口まで連れて行って見送ると、下手の奥にあるカウンターの影からひょっこり顔を出すリサちゃん…っていたんですか;;

リサ「…やっと帰ってくれた?(フロアに出ながら)」

女給「もう、リサちゃん。あんた罪作りよ?」

リサ「いいのよ、あの先生しつこいんだから!」

マカオの虎「おお、リサちゃん。」

うーん、先生言われてますよ。(^^;;
と、ここでリサちゃん的には雲国斎先生よりも上客のマカオの親分が声をかけてきたので
ころっと声のトーンを上げて近づいていきます。

リサ「あ〜〜ら、マカオの親分〜
   お久しぶり、会いたかったぁ〜!」

女給「いらっしゃいませ。」

リサちゃんとマカオの親分が熱い抱擁を交わしていたちょうどそのとき。
店の扉を開けてすみれさんが現れたのですが…思いも寄らなかった光景に、二の足を踏んでます。

米田「おう、すみれ!ここだここだ!!」

そんなすみれをいち早く見かけた米田さんは「こっちに来い」と手招きをしてすみれさんを呼びます。
呼ばれたすみれは店を間違えたわけでは無いことと普段ならば寄り付かないでろう店の雰囲気にきょろきょろしながらも米田さんの居るテーブルへ移動します。

すみれ「まぁ…こんな場所で待ち合わせなんて
    米田さんも随分とお変わりになられましたわね。」

米田「いやさ、ここなら密談にはもってこいだろ。」

すみれ「密談?
    …で、西村さんはなぜここに?」

米田「ああ、西村君は情報を持ってきてくれたんだ。
   ……こいつを見な。」

気を使って、席を立ち女給さんから受け取った盆を受け取りすみれのドリンクを運ぶ西村さん。
その間に、すみれさんは席に腰を下ろして米田さんが取り出だした書面を読みます。はっと目を見開かせるすみれさん。

すみれ「……!!
    まさか、これは軍の謀略!?」

米田「しっ!軍は関係ねぇ!一部の馬鹿の仕業だ。
   花組には関わらせたくねぇ。」

米田さんの心情を的確に掴んだすみれさんは、鋭い顔で頷きます。
確かに、華撃団は辞めた二人ですが…その心は常に華撃団に向いているのですよね。
最低限の言葉のやりとりで話をまとめた二人のもとに、入口から通りの様子を伺っていた西村さんが慌てて駆け寄ってきます。

西村「!ウチのボスが来ます!」

米田「お、そりゃ厄介だな…出るか。」

立ち上がる米田さんに、すみれさんも西村さんも続いて…とりあえずは植木の陰に。
隠れたと同時にボスが明るい顔つきで店に入ってきます。

女給「いらっしゃいませ…あら、ダンディさん!」

ボス「よぉ、久しぶり。」

挨拶するなり、女給さんたちに囲まれるボス。
その間に、席に置いたままのお盆で顔を隠した西村さんと、さらにその後ろに隠れたすみれさんと米田さんはこっそりと店の入口へ。(笑)
囲まれたボスの間を掻き分けて、リサが隣の座をゲット。

リサ「どいてよ、ダンディさんはあたしのお客さんなの!
   (中央の席に腰掛けるボスに)…今日はお一人?」

ボス「ああ、最近どうも西村も武田も忙しいらしくてな。」

リサ「じゃあ…浮気しない?(ボスに抱きつくリサ)あたしと。」

ボス「ああ、リサちゃんとならそれもいいかもな。」

大人の会話、を繰り広げている二人の背をギリギリまで見ていた西村さんですが、流石に限界だったのか、この辺りで店を後にしました。(^^;;
(すみれさんと米田さんはとうに脱出済)
そんな様子には気づかず、話を続ける二人。

リサ「ねぇ明後日暇なの。どこか連れてって?」

ボス「明後日…ああ、そいつは無理だ。
   明後日は北九州の草刈親分に挨拶しにいかなきゃならねぇんだ。」

この台詞は初日から言っていたので、ボスが2日間しか出れないという理由みたいですね。
うぅ、頑張ってくださいボス!!

リサ「ええー?残念…
   じゃあ、歌ってください!」

ボス「歌?…わかった、じゃあ…リサちゃんの為に一曲、歌うか。」

立ち上がって、ボトルを片手にそう呟くと音楽スタート!

♪カフェタイガー

これも、隠し曲ですがタイトルは不明なので、とりあえず仮ってことで…

ボス「♪飲んで歌え カフェタイガー」
女給たち「カフェタイガー!」
ボス「♪みんな大トラだ そして陽気に
    ぐるぐる回るよ 世界が」
女給たち「世界が!」

ボス「♪いくら飲んでも 呑まれちゃダメだ とことん飲もうぜ」
ボス「店中の酒持って来い!」
ボス「♪金が無ければ 奢りだ 飲んでけ!」

最後は、奢りだ!ということで店の女給さんとマカオの虎の連れがジョッキを持ってボスを囲むところで暗転。紗幕が下りてきます。
さっすが、ボス!言うことが違いますね。
……さて、ボスがカッコよく銀座の夜を堪能している一方でこちらは…再び独特の羽音で登場のハエの二人です。(^^;;

川岡「ううううう……」

武田「あー、カワちゃん泣くなよ。」

川岡「だって…二幕に入ってもハエのままなんですもの。」

紗幕に止まって会話を繰り広げる二人…ええ、たしかにハエのままですねぇ…本当にこのまま正月だったらどうしよう;;
嘆く川岡に対して、武田は前向きです。

武田「大丈夫!カワちゃん、二枚目だから!」

川岡「でもぉ〜…」

武田「あーもう!男ってのはよ、やたらに泣くもんじゃねぇんだ!!
   二人で力を合わせたら何とかなるさ!わかったか!」

川岡「はい…!」

ほら、武田の男前度がかなり高いですよ!そんな武田に応えるべく頷く川岡。

武田「よし、じゃあ行くぞ!」

川岡「ちょっと待った。
   (先に上手側に歩いて)…ついて来い。」

武田「お前先かよ!?」

そして、会話の主導権を握る川岡。(笑…ここの台詞も日替わりでしたね。ヘッドスピンと言ってハエをくるくる回してるときもありました。)
武田、川岡…頑張れ!!
上手へと飛んで行く二人と入れ違いに下手から木製の背もたれの無い椅子を抱えた岩本が忙しそうに走ってきます。
場面は帝劇へと移動したみたいですね。夜中から、朝にもなったみたいです。

岩本「は〜忙しい忙しい!!」

中央で一旦椅子を下ろし、立ち止まって汗をぬぐう岩本。
が。それを追ってすぐに親方が下手から登場。

親方「おい、岩本!!」

岩本「おー!中嶋!」

親方「呼び捨てかよ!!
   いいか、お前(手にした図面を広げて)誰が図面に無いもの作れって言ったよ!」

岩本「あ〜でもこっちの方が絶対良いと思うんだよね〜
   絶対、絶対良いと…」

図面を見て一人頷く岩本に、図面を丸めて頭を一発!
実際そんなに痛くは無いけれど、いきなり丸め込んで殴られる岩本。

親方「言い訳するんじゃねぇ!
   いいか?新人のうちは、言われたことを言われたとおりにやるもんなんだよ!」

岩本「え〜〜〜?」

親方「え〜〜じゃねぇ!確かに、納得のいかねぇこともあるかもしれねぇ。
   理不尽だと思うこともあるかもしれねぇ。
   けどよ、それを全部受け入れるんだ!」

さすが親方、言うときは言います!
感銘をうけたらしい岩本は胸ポケットからメモと鉛筆を取り出して、親方の言葉を留めます。

岩本「受け入れる…!」

親方「それが、お前ぇの器を作る!」

岩本「器…!」

親方「器が無きゃ、中身を入れられねぇだろうが…って聞いてんのか!!」

…留めてたはずなんですが、途中から鉛筆の先をなめることに集中しだす岩本。(笑)
あまいんですかね?鉛筆の芯って…気がついた親方がすかさずつっこむとすぐにやめましたが。(^^;;

岩本「す、すんません!つい…」

親方「ったく…いいか?俺たち舞台部はよ、こうやって…
   (舞台に四つんばいになる)毎日本番前に舞台を撫で回すんだ。
   なんでかわかるか?」

岩本「掃除なら、箒を使えばいいんですよね?
   こうやって直接……あ痛っ!
   あっぶねぇここ釘出てるじゃねぇかよ!
   (トンカチで打ちながら)誰か怪我でもしたらどうすんだ
   ……!!」

はっとなった岩本に、親方が満足そうに頷きます。
そうか、つまり…

親方「…わかったな。」

岩本「さっぱりわかんねぇ!」

わかんないんですか!(爆)流石の親方もこれにはずるっとこけるしかありません;;

親方「わかんねぇのかよ!!っていうか、今のがまさに…
   もう、いいからとっとと直して来い!」

岩本「何を?」

親方「お前が作ったセットだよ!!」

岩本「ああ、そうか!よし、行って来い!」

親方「よーし、行ってきま〜す!……って違、う、だ、ろ!!!(図面で頭を一発)
   早く行ってこい!!」

いやぁ、見事な乗りツッコミで。(大笑)
調子に乗って遊んでいる岩本に、親方はターンまで入れながら図面で頭を一喝。
今までに無くノリのいいツッコミです。うーん、岩本相手だからなせる業でしょうか。

岩本「はいぃ!!」

さすがに、ちょっと気迫まで混じってきたツッコミに岩本は椅子を抱え一目散に下手へと走っていきました。
その後姿を「やれやれ」と見送る親方。

親方「ったく…大体、あいつは広井が面倒見るって言うから俺は
   !?…広井の奴何処行きやがった!おい、広井ーー!!!」

ああ、あっちいけばこっちにも問題が。(^^;;
親方も大変ですね〜…親方が上手へと駆け去っていくと、舞台に照明が入り、紗幕が上がります。
一幕の稽古場と同じ配置で、妄想部屋があったところが衣裳部屋になっていて、そこにレニとアイリスが。


アイリス「きゃはっ…親方、ま〜た怒鳴ってるね。」

レニ「そうだね。」

アイリスが床に座りあたりに散らばっている衣装を、レニが脚立の上に立ちながら奥の小道具を整理整頓。
二人で衣裳部屋の掃除をしているのでしょうか。

アイリス「楽しいね、毎日!」

レニ「そう?」

アイリス「うん。歌ったり、踊ったり、みんなでお喋りしたり…楽しい!
     お稽古とか、ケンカしたり辛いこともあるけど…楽しい♪」

その衣装を自分に当てながらのアイリスは本当に楽しそうで。(ここで当てる衣装はアイリスの気分みたいです。タイガーチェリーだったり少年レッド、猿のツナギだったりしました。(笑))
それを見たレニは、青い鳥で使っていたであろう鳥かごを棚に入れると、微笑みます。

レニ「そうだね。ここは、みんなの関わりが濃いから。
   前は、それが苦手だった…一人で何でもできるって思ってた。
   でも、それは間違いだったって気づいたんだ。
   ううん、気づかせてもらった。(アイリスを見て、脚立を降りる)
   お互いを認め合って、お互いを必要としている…それって、いいよね。」

微笑むレニに、アイリスも立ち上がって首を傾げます。

アイリス「アイリスも、必要?」

レニ「とっても必要。(アイリスの手をとって)
   今度のお芝居は、二人の息を合わせないとね。」

アイリス「お芝居って、相手の息や表情を…受け取るんだよね。」

レニ「うん。
   自分勝手のお芝居は、舞台を孤独にしてしまうんだ。
   それじゃダメなんだ。」

ああ、なんか…本当にゲームとの壁が薄いですね、今回。
「サクラ2」の様々な場面を思い起こさせる台詞に、アイリスはにっこりとレニに笑いかけます。

アイリス「チルチルの大好きな、ミチルになるね!」

レニ「うん。仲良しの兄妹になろう!」

すっと右手を前に差し出すレニ。それに嬉しそうに笑ってアイリスが手を重ねようとしますが…
アイリスが手を出したところでレニは一度手を引っ込めてその手をアイリスの頭へ!

アイリス「むっ」

レニ「あはは…残念でした。」

不意をつかれたアイリスは一瞬ふくれっ顔を見せますが、すぐに笑うと再び二人で衣裳部屋の整理を始めました。
本当に、この二人のやりとりは可愛いです。(^^)
それを、下手の階段上から眺めていたかえでさん。その隣にはマリアさんも。

かえで「…心配かけたわね。」

マリア「いえ…」

かえで「あまりに近すぎて見えなくなってた…
    危うく、こんな素晴らしい仲間たちとお別れするところだった。」

マリア「…みんな、迷うこともあります。」

かえで「花組は、強いわね。」

自分なりの決断を出したのですね…バルコニーに体重を預けていた姿勢から数歩前に歩いて静かにマリアを見つめます。
マリアもバルコニーに寄りかかっていた姿勢をただし、かえでさんを真っ直ぐに見つめ返します。

マリア「かえでさんは…副指令です。
    難しい立場だというのは、よく理解しています。
    でも、花組にはかえでさんが必要なんです。
    だから、かえでさんも…花組を必要としてください。」

かえで「マリア……ありがとう。」

うん…と頷いたかえでさんは、万感をこめてマリアに握手を求めます。
それに微笑みながら応えるマリア。二人で笑い合って抱き合ってると…下手舞台奥からカンナが登場して…現場目撃。(笑)

カンナ「うわっすっげぇのはっけーん!
    マリアとかえでさんらぶらぶ〜」

らぶらぶ〜ってカンナさん。(笑)
言われて慌てて離れた二人はカンナの居る舞台上へと降りていきます。

かえで「もう、バカ言わないの。」

マリア「バカねぇ。」

カンナ「バカ言うな。」

かえで「…さっマリア、敵の動向を探らないとね。」

階段を降りきったと同時に、真面目な話に戻るかえでさんにマリアさんも頷きます。

カンナ「よし!」

あれ?カンナも?(^^;;

マリア「手伝います。今度こそ突き止めて次はこっちから攻めましょう。」

カンナ「よし!」

かえで「そうしましょ!」

カンナ「よし!…よし!」

カンナの話を聞いているのか聞いていないのかわからない合いの手をするりとかわして下手舞台奥へとかけていくかえでさんを追うマリア。
かえでさんはそのまま行ってしまいましたが、マリアは一度立ち止まってカンナを見つめます。

マリア「………」

カンナ「よし!」

マリア「……バカ。」

あいも変わらず頷き続けていたカンナにマリアは改めてそれだけ呟くとかえでさんの後を追っていきました。(^^;;
残されたカンナは舞台中央へと移動しながら

カンナ「…よし!
    へへ、なんでぇ…仲いいじゃねぇかよ。」

微笑むその顔は、どこか嬉しそうです。カンナはカンナなりにいろいろ考え花組が好きなんですよね。
そこに、下手からさくらがひょっこりと顔を出します。

さくら「カンナさん!どうしたんですか?」

カンナ「ん?なんかよ、マリアに怒られた〜」

さくら「マリアさんはカンナさんを頼りにしてるんですよ。」

カンナ「そうかねぇ?」

さくら「だってマリアさんとカンナさん花組で一番古い仲間じゃないですか。」

カンナ「でもよ、あたいは古いだけだぁ
    花組の役には全然立ってないんだよな。」

さくら「そんなことないですよ!
    あたし、カンナさんがいたからここまでやってこれたんです。」

カンナのぼやきに、さくらは声を鋭くして叫びます。
突然の真剣な声に、カンナは少し面食らったようで、へ?と笑ってしまっています。

カンナ「何だよ、お前突然…バカだなぁ」

さくら「本当です!
    あたし、ドジだから…
    すみれさんに睨まれたり、マリアさんに無視されたりして…
    でも、それは仕方の無いことなんです。
    あたしがいけないから、あたしが出来ないから…
    でも……すごく、落ち込みます…」

カンナ「さくら…」

さくら「けど!カンナさんは…いつもニコニコしながら
    さくら、お前ならできるよって…
    なんだか、カンナさんの暖かい風を感じたから、あたしはなんとか頑張れたんです。
    だから、すごく感謝しています!」

深々と頭を下げるさくら。
その改まった態度がくすぐったくも嬉しいのか、カンナは照れたように笑うとさくらの肩をちょいと押します。

カンナ「へへっ…さくら…さくらぁ…さくらぁ!」

最後の一撃はちょいと、と言うには強すぎましたけどね。(笑)

さくら「うふふ…痛いです、カンナさん。」

カンナ「な、飯食いに行くか!おごるからよ!」

さくら「はい!」

カンナ「付いて来い!」

楽しそうに上手へと駆けて行く二人。さくらとカンナもいいコンビですよね。(^^)
それに次いで現れたのは…キネマトロン映像の紅蘭とその紅蘭と会話をしている織姫が下手奥から登場。
こっちも和やかな雰囲気みたいですね。紅蘭の話をうんうんと聞いている織姫。
ちゃんと紅蘭の背景の紐育が暗いのが良いですね。こっちが朝なら向こうは夜ですからね。

紅蘭「…ホンマや〜、紐育のショーもごついで〜!
   こっちでは今、チャールストンが流行(はやり)なんやで。
   それからな、新しいジャズな、あれはテンポが速い!」

織姫「時代のスピードが速くなってるんですね〜!
   (紅蘭を見て)そっちのメカが触れて嬉しかったでしょ!」

紅蘭「そらもう、嬉しゅうて嬉しゅうて〜!
   ええなぁ、新しいもんちゅうのは。」

織姫「新しいもの、新しいこと、そこには未来への可能性がありまーす!
   何事もチャレンジですね〜!」

両手を一杯に広げての織姫の台詞に、紅蘭もうんうんと頷いています。
この二人は思いっきり前向きコンビですよね。

紅蘭「そうやね。失敗を恐れずに!や。(笑いあう二人)
   ああ、そっちは大丈夫かいな?」

織姫「大丈夫でーす!紅蘭の分までみんなで頑張ってますからね〜
   失敗を恐れずに!」

新青い鳥の舞台を気遣う紅蘭に、織姫はにっこりと笑いかけて紅蘭を安心させます。

紅蘭「はは、おおきに織姫はん。
   ほな、またな。」

織姫「チャオ!(紅蘭との通信終了。舞台に向き直る)
   …さーて、紅蘭の分まで。頑張るでーす。」

よし!とガッツポーズを入れる織姫。
ここで再び耳慣れないメロディーが…花組の隠し曲です!
まずは、衣裳部屋に居るレニとアイリスにスポットが。

アイリス「♪ララララ 今ここにわたしは生きている」
レニ

カンナ「♪たくさんの人と関わりを持ちながら」
織姫

さくら「♪ララララ 今ここにわたしは生きている」

マリア「♪たくさんのことに 影響されながら」

カンナは上手の奥から。さくらは上手から。マリアは下手奥からそれぞれ登場して、舞台中央に集まりだします。
それにあわせて、上手の階段上に登場したかえでさんが内示の紙を破ります。

花組「♪この世界はわたしから見えるもの
    やわらかく私を包む優しさ
    わたしが歩く道 それが未来だ」

かえで「♪わたしが居ないと みんな見えない」

花組「♪ララララ 今ここにわたしは生きている
    そのことが奇跡 全てにありがとう
    わたしはここにいる」

…しみじみと、沁みるような歌でした。
歌い終わった花組はみんな良い笑顔です。惜しみない拍手の中余韻に浸っていると…
独特の羽音と共に二匹の大きなハエが飛来!(下手から川岡刑事、上手から武田)
きゃああ!と驚きの声を上げる花組の面々。大きなハエですものね〜;;

カンナ「このやろ〜…今、いいところだったのに〜!潰してやる!」

がしっと武田ハエを掴むと、カンナは上手側の階段にハエを追いやるとずかずかと足を進めます。
が、下手から登場した川岡ハエはアイリスの腕に止まり…

アイリス「潰しちゃダメ!!」

何かを感じ取ったアイリスが大きな声で制止をかけますが…

カンナ「え?なんで?」

織姫「ハエ汚いでーす、潰すがいいでーす!」

カンナ「だよな。えい!」

むぎゅっ
…そんな音が聞こえてきそうな見事な潰し具合でした。(^^;;

アイリス「あーーーー!!!!!!
     …それ、ベロだよぉ……」

アイリスの震えるような声に、驚く面々。
ちなみに潰された武田は…黒子になっている武田は、手足を縮めてばたばたともがいています。
ひ、瀕死の重症?(滝汗)

カンナ「ええっ!?(武田ハエを掴んで)
    こ、このハエがか!?」

アイリス「うん!で、こっちは川岡刑事!」

川岡ハエは、その存在を誇張するために粘り腰ウォークをしてみせると
その近くにいたさくら、マリア、レニが「…あぁ〜〜…!」と納得の声を上げます。
つ、つうじんるんですねやっぱり。(^^;;

アイリス「そうだ…あのとき、二人も一緒だったんだ!
     で、ハエにされちゃったんだ!思い出したぁ〜!!」

そうか、医療ポットから出てきたアイリスが忘れてたことってこれだったのか!

織姫「とすると……ベロ!しっかりするでーす!!」

カンナ「死ぬなー!」

声をかける織姫に、慌てて心臓マッサージ(?)を始めるカンナですが、駆け寄ってきたマリアがぼそっと一言。

マリア「ああ、大分潰れちゃってるわね。」

そんな冷静な。(^^;;

レニ「アイリス、治せる?」

アイリス「わかんない、ハエ治したことないもん!」

カンナ「アイリス、なんとかしてやってくれよ!頼むよ!」

アイリス「う〜〜…やってみる!(武田を手のひらに乗せてしゃがみ、目をつぶる)
     …アイリスちゃんはかわいい。ちっちゃくてかわいい。
     でっかく見えるのは気のせいだ〜〜!!えい!!」

これまた懐かしい呪文で。(笑)
キラリン☆と効果音が鳴ると、見事に回復した武田の羽が高く飛び上がり〜〜〜…り?
あーすぐに減速してしまった;;

マリア「やっぱりダメみたい…」

織姫「潰したから〜〜!」(カンナに向かって)

レニ「やっぱりハエだとあんまり霊力効かないんじゃない?」

さくら「そうだ!…幻夜斎を倒せば二人も元に戻るんじゃないかしら?」

そうですよね、術を解くにはその術士を狙うのが一番手っ取り早い!
さくらの提案に全員が頷きます。

カンナ「それだ!!」

アイリス「え?なになに…
     ……敵の居場所を知らせに来てくれたの!?」

頼もしい花組に、ハエ二人も安心したのか、アイリスの周りにあつまります。
(武田ハエは疲れているのか、アイリスの頭の上に止まってます。)
思いがけない手がかりに、湧く花組。

織姫「これって虫の知らせ!?」

レニ「…使い方間違ってる。」

レニ、冷静なツッコミをありがとう。マリアさんは頷きかけてましたけどね!(笑9

織姫「ハエの知らせ?」

レニ「ん、三角。」

アイリス「二人が案内してくれるって!」

飛び立つ二人を追って下手へと駆け出す花組一同。

マリア「今度は逃がさないわ。行きましょう!」

織姫「ハエに続けーー!!」

レニ「それは正解。」

最後に言葉を捜していた織姫がそういうと、レニもOKくれました。(大笑)
意外な答え(?)に「えっ・」と声を上げる織姫ですが、まぁここはこれです良しですよね!
さぁ、希望の光が見えてきましたよ。
ここで舞台には紗幕が降り、舞台は陸軍省へ。

将校「なんだと!?冗談じゃないぞ!!」

暗転の中、聞こえた軍人の声。
舞台に照明が戻ると、奈落からどっかりと椅子に座った一人の男が刀を片手に眉間にしわを寄せています。
それに続いて、上手から二人の、こちらも陸軍の軍服に身を包んだ男が登場。

将校「宇佐見さん!!ダメとはどういうことですか!!」

座っている男に疑問をぶつける一人の軍人…そうか、この男が宇佐見…!

宇佐見「いやすまん!
    腕が立つというから雇ったのに、いざとなったら断ってきやがった!!」

軍人「藤枝中尉はどうした?」

宇佐見「内示を出した。こっちに取り込めば必ず役に立つ!」

将校「根来は?」

宇佐見「一度華撃団とやりあったらしいが、それ以降連絡が無い!」

将校「それも見込み違いじゃなかろうな!」

宇佐見「いや!あの幻夜斎は恐ろしい奴だ。
    必ずや帝都を大混乱に陥れる!」

軍人「…そのときこそ、我々が!!」

宇佐見「そうだな…
    くく…はははははっ!!」

……防衛の気持ちは、無いですよね。この人たち。
あるかもしれないけれど最優先ではない。最優先は、自分たちの力を知らしめること…
笑い声を抑えられない宇佐見たち。そこに下手から静かに現れたのは杖を片手に持った米田と、日傘と手提げカバンを持ったすみれ。
訪問者に気づいた宇佐見は、席を立ち上がり、他の二人を並べて舞台中央へとやってきた米田に敬礼。

宇佐見「これは、米田中将閣下!!」

米田「俺はもう陸軍中将じゃねぇよ。」

宇佐見「しかし閣下は、我が陸軍の尊敬すべきお方であります!」

米田「見え透いたことを。(椅子に座りながら)
   あのな宇佐見…いや、宇佐見少佐。」

宇佐見「はっ!」

米田「おめぇ、大帝国劇場の藤枝中尉に内示を出したって?」

宇佐見「はっ藤枝中尉は我が陸軍にとって必要な人材かと。」

米田「おめぇまさか、帝都防衛構想を陸軍主体で進めようって腹じゃねぇだろうな。」

険しい顔を崩さない米田さん。
宇佐見は白を切り通そうとしますが…

宇佐見「…なんのことでありましょうか?」

米田「とぼけるな!!
   …いいか、帝都防衛構想の基本は華撃団だ。
   それに軍を介入させないというのは設立当初からの決まりごとだ!
   お前ら軍人が華撃団を嫌ってるのは知っている。
   けどな、これ以上軍を大きくすると駐留軍だ派兵だとか
   ロクでもねぇ事考えるだろうよ。
   いいか、これからの軍は抑止力だ。
   これは決して使っちゃいけねぇ力だ。」

宇佐見の後ろに控えていた二人が、米田の意見に賛同できず切り掛かる!

将校「っこのおいぼれがぁー!!」

すみれ「はっ」

それをすかさず裁くすみれ。米田さんも椅子から立ち上がって臨戦態勢へ。
そこに、下手から西村もドスを片手に駆けつけますが…

西村「米田さん!!」

米田「引っ込んでいなさい。…すみれ。」

すみれ「はい。…この程度の三下、ちょろいもんですわ。」

すみれさんが二人の軍人を一睨みすると、再び戦いの火蓋が!
米田さんは宇佐見と対峙。

米田「西村君!君は表を見張っていなさい。行け!!」

西村「は、はい!」

米田の指示を受けた西村さんは再び下手へ。
三人相手に二人で立ち回ります。すみれさん…霊力は弱まったとはいえ、その強さは健在!
日傘だというのに軽くあしらっています。

米田「宇佐見、お前俺に刺客を送ったな。
   影でこそこそしやがって。
   軍人らしくねぇじゃねぇか。え?どうだ腹切るか。
   それとも俺がその首落とそうか。」

宇佐見「…くそぉー!!」

宇佐見の剣を裁いた米田さんは、杖を強く引いて振り向いた宇佐見にその切っ先を突きつけます。
…仕込杖だったんですか……圧倒的な実力差に、宇佐見は動けません。

米田「お前一人の絵図じゃねぇだろ。誰の指図だ。言ってみろ。」

宇佐見「っ………」

米田「おい!!」

器が違いますね。声と共に切っ先をさらに突き立てる米田さんに、宇佐見は一気に口を割ります。

宇佐見「!!…っ郷田少将です!!
    郷田少将が、女子供の華撃団を潰して陸軍内で再組織せよと!
    それで、閣下を葬り去れと…
    かつ、一度帝都を大混乱に陥れよと!
    そして、軍の力を国民の前に知らしめろと…!!」

すみれ「…はい!録音できましたわ。」

すっと歩み出るすみれさん。その手には、米田さんが宇佐見と対峙している隙にカバンの中から取った小さな機械が。

宇佐見「それは…」

すみれ「小型音声録音機です。
    あなたの声を全て肉声で記録しましたわ。」

カチッと再生ボタンを押すと、先ほどの宇佐見の声がそっくりそのまま流れます。
すっとカバンに録音機を戻すすみれ。
言い逃れが出来ない証拠を掴まれてしまった宇佐見たちはがっくりと膝を付きます。
その宇佐見のすぐ横に、杖を元に戻した米田が立ちふさがります。

米田「…郷田に伝えろ。これ以上余計な真似をすると
   この米田が陸軍と刺し違えるとな!」

宇佐見「……わかった。
    御免!!」

腰に携えていた短剣を抜いて自ら命を絶とうとした宇佐見の手を、見通していたのか、突き刺すよりも早く米田の手刀が短剣を叩き落します。

宇佐見「ぐっ」

米田「…馬鹿野郎、命を粗末にするな。
   お前にも、家族があるんだろ。
   ……行こう、すみれ。」

すみれ「はい。」

釘をさすことに成功した米田さんとすみれさんは、静かにその場を去っていきました。
二人が下手へと消えると、悔しそうにこぶしを震わせながら立ち上がる宇佐見。
ですが、あなたの負けですよ。
一言も話さないまま、他の軍人たちと一緒に奈落へと下がって行きました。

舞台暗転。
そこに響くのは電話の鳴る音。
上手の舞台通路にスポットが当たると、その電話を受けたのはかえでさん。

かえで「…はい。」

米田「おう、かえでか。
   あのな、事は緊急だ。この帝都を大混乱に陥れようとする―――」

かえで「根来衆のことですか。」

米田「あれ?なんでぇ…知ってたのかよ。」

かえで「今、花組が事態の収拾に向かっています。
    その件は、こちらにお任せ下さい。帝都に被害は出させません!」

米田「わかった。よろしく頼むな。」

かえで「はい。あ、それから…あの……」

米田「わかってるよ。…しっかり頼んだぜ、副指令さん。」

かえで「…はい!お電話、ありがとうございました!」

嬉しそうなかえでさんの顔…吹っ切れてくれて、本当に良かったです。
電話終了と共に、スポットも消えて…次いで現れたのは、奈落から幻夜斎!!
いよいよ、決戦…ですかね。紗幕も上がるのですが舞台上には薄い布が前面にかけられていて、それがまだ紗幕の役目を果たしています。

幻夜斎「…月も朧に 煽りイカ
    夕立上がる夏の空 ぬるい風とてほろ酔いに
    心持良くうかうかと 浮かれ幻夜の、せり上がり
    帝都を襲う川端で竿の雫か 濡れ手に粟
    思いがけなく…手に入れるわけぇ!
    くっくっく……ぅわっはっはっは!!!
    いでよ!!」

ごうっ…と風が巻き起こる音と共に幻夜斎の左右に根来忍者が控えます!

幻夜斎「あの橋を渡り、一気に日本橋…銀座を制圧する!!」

大神「お待ちなさい!!」

刀を突き出し、高らかに宣言する幻夜斎ですが、そこに響く待ったの声!!

幻夜斎「何者だ!」

チョンッと拍子木が一つなると、舞台を覆っていた布が一瞬のうちに落ちて、中から現れたのは
土手の上に勢ぞろいした七つの傘!!
下手から、黒、青、黄、桜、赤、真紅……そして、白!
さらに拍子木が一つなると、白の傘…戦闘服姿の大神さんが振り返ります!!

大神「花の帝都のその中で
   闇に蠢く者たちを懲らしめようと駆けつけた!
   正義を信じる!大神一郎!!」

マリア「心がどんなに寒くとも
    必ず暖かいお日様を 昇らせて見ようこの手をもって!
    ロシア生まれの、マリア・タチバナ!!」

織姫「この世に悪の栄えたためし無し
   勧善懲悪、五穀豊穣!
   あ!イタリア生まれの、ソレッタ・織姫!!」

レニ「人は誰でも優しい心を持っている
   だから信じあえるんだ!
   レニです!!」

カンナ「あ〜南の風はいつも気持ちをほっとさせる
    なぁ、辛いこともあるけどゆっくりいこうぜ!
    南国育ちの、桐島カンナ!!」

アイリス「誰かを傷つけたり、弱いものイジメしちゃダメだよ
     みんな仲良くね!
     アイリスです!!」

さくら「さてどん尻に控えしは!
    青葉茂れる仙台に、志も荒鷹く、帝都を守る花となろう!
    あたしが、真宮寺さくら!!」

それぞれに見得を切る花組…やっと、大神さんも口上に参加できましたね!

大神「ここに!!」

花組「帝国華撃団、参上!!」

最後の揃っての見得もばっちり!決まりましたね!!

幻夜斎「やかましい!!やれ!!」

幻夜斎の声と共に、戦闘…開始!!織姫以外は傘を後ろに置くと、それぞれの武器を持って構えます。
(レニだけランスじゃなくてフェンシングですが。アイリスとカンナは素手です。)

大神「隊長コマンド、風林火山の火だ!!」

花組「了解!!」

二刀を構えた大神さんの指示通りに土手の中心に陣形を取る花組。
攻撃中心のこの作戦、カンナとさくらが最前に立って敵を睨みます。

カンナ「攻撃は最大の防御なり!でやぁ!!」

二人が動くと同時に、他の花組隊員たちも動き出します。
主に遠距離攻撃のマリアと織姫が最初土手の上に居るのは、らしい陣形だと思いました。
攻撃が得意ではないアイリスの側には大神さんが付いています。
土手の下、舞台上に花組が揃ったところで、逆に土手の上に移動した幻夜斎の声が高らかに響きます。

幻夜斎「飛んで火にいる夏の虫だ。これを見よ!!」

おどろおどろしい音楽と共に、土手の奥からせり上がってきたのは…

マリア「…脇侍!?」

大神「まだいたのか!?」

重機の足音を響かせて動く脇侍を満足げに見る幻夜斎を、アイリスがびしっと指をさします。

アイリス「あいつが…あいつが動かしてるんだ!!」

幻夜斎「行け!!」

幻夜斎の声と共に刀を振り上げる脇侍!!それに対応すべく、大神さんはレニに指示を出します。

大神「レニ、アイリスを!」

レニ「はい!」

大神「うおぉぉーっ!!」

脇侍に切り掛かる大神さん!それを援護すべく、カンナも土手の上に駆けつけますが…

カンナ「うわぁっ!!」

脇侍から強烈な一撃を食らってしまったカンナが土手を転げるように舞台の前面へ。

織姫「カンナさん!」

大神も、脇侍から幻夜斎へと攻撃を仕掛けますが、致命傷は与えられずカンナをかばうように一時後退。

さくら「大神さん、脇侍はあたしが!」

大神「わかった。マリア、援護を!織姫くん、後方守備!
   風林火山の林だ!」

林…本来の力を出す、バランス重視の作戦。
作戦変更に対応した花組は上手側レニ、織姫、アイリス。下手側さくら、マリアでそれぞれに敵を捌く。
肩を抑えて舞台中央で膝を付くカンナの隣に立った大神さんはさらに指示を。

大神「アイリス、カンナの回復だ!」

アイリス「うん!イリス・グラン・ジャンポール!!」

カンナの側で人差し指を頭上に掲げてそうアイリスが叫ぶと……上手から可愛い足音を響かせながらジャンポールが!!
い、いや本物のジャンポールが出てくるとは思ってなかった(しかも、あのまんまなナース服)のでビックリしました。
なんてかわいいんだ!(爆)

アイリス「チチンのプイ!」

アイリスの声と共にカンナの頭を撫でるジャンポール。すると、キラリン☆という音と共ににこやかに立ち上がるカンナ。(笑)

カンナ「よっしゃ〜あ!回復したぜー!」

見事に役目を果たしたジャンポールは「センキュー!」とお礼をいうアイリスとハイタッチをして再び上手へとぽてぽて走っていきました。
ああ、戦闘中なのになごめるなんて、ジャンポール凄い。(笑)

大神「カンナ、前方を開け!」

カンナ「おう!…仲間がいるなら別れを言いな。
    いくぜ!!
    一、二、三、四!五撃!!」

さぁ、回復したカンナの見せ場ですよ!次々に襲い来る根来忍者を見事粉砕!
台詞は2の必殺技なのに、動きは…ARMSなんですかね?この五撃!のあたりは。
得意げなカンナの一方で上手で二人の忍者に同時に攻撃を受けるレニ。アイリスもピンチ!

レニ「くっ」

織姫「危ない!友情カウンター!!」

それを助けるのは、織姫!張り出し舞台の上から「えいっ」とレニたちがいるほうに指先を向けると…見事に二人の忍者の行動を阻止!
やっぱり、システムとしてはARMSなんですね。

織姫「うまく出ました〜!うっふ〜ん(投げキッス)」

レニ「ありがとう!」

アイリスも織姫に「ありがとう!」とお礼を言うと、今度は下手からマシンガンを構えたマリアさんが!

マリア「スネグーラチカ!!!」

必殺技が脇侍を直撃!!一瞬動きは止まりましたが、まだまだ致命傷ではないようで…
次いで、いつもの愛銃で幻夜斎にも一発叩き込むのですが、こちらも…

幻夜斎「無駄だ、無駄だ!わたしに銃弾は効かない!!」

大神「さくらくん!」

さくら「はい!」

大神の声を受けて、土手に上がる二人。
乱闘の中に、一瞬の静寂。

大神「でぇぇやぁーー!!」

それを破ったのは幻夜斎に攻撃を仕掛ける大神さんの気迫の声!
その奥でさくらが脇侍と戦い、他のメンバーは忍者たちを追いかけて舞台の袖へ。
それぞれ一対一の対決が続きますが…

大神「ぐわっ」

幻夜斎の一撃を受けた大神さんがよろめいて張り出し舞台の上で膝を付かされます。

さくら「大神さん…!!はあぁぁーー!!」

大神に助太刀するべく、さくらも幻夜斎に切り掛かりますが、上野の寛永寺の時とは違い、幻夜斎の容赦の無い攻撃にさくらも膝をついてしまいます。

さくら「きゃっ!!」

大神「さくらくん!
   (刀を十字に構えて)…行くも地獄、行かぬも地獄。ままよ……
   我が一刀を持って、帝都を…花組を救う、風となる!
   うおおぉぉぉーーー!!!!」

土手の上で余裕の表情で立っていた幻夜斎に再び切り掛かる大神さんですが、大神の攻撃を見切っているのか顔をゆがめることなく、大神を再び掃う幻夜斎。
再び張り出し舞台の上へと戻された大神は、肩で息をしています。それを心配そうに見つめるさくら。

さくら「大神さんっ!!」

大神「くそっ…負けるものか!
   さくらくん……やるぞ!!」

さくら「…はい!!」

見つめあう二人。それぞれに頷き立ち上がると、刀の重なり合う音共にあわせてゲキテイの音楽が…!

大神「瞳に映る、輝く星は!」

さくら「みんなの明日を、導く光!」

二人「今、その光を大いなる力に変えて!
   破邪剣征・桜花…乱舞ーーー!!!」

大神の二刀とさくらの荒鷹が合わさり、振り下ろされると桜吹雪が旋風となり幻夜斎と脇侍を苦しめます!
このチャンスを、逃すわけにはいかない!

大神「今だ、さくらくん!行くぞ!!」

さくら「はい!!」

幻夜斎「貴様っ…!!」

同時に駆け出し、大神さんが幻夜斎、さくらが脇侍にそれぞれ攻撃を仕掛けます!
さくらの攻撃が止めとなり、火花を散らしながら脇侍が動きを止めて土手の後ろへと消えていきます。

幻夜斎「脇侍ーーー!!!!
    このっ…!!」

屈辱感から、すでに手負いとなった幻夜斎が感情に任せて刀を振り回しますが、今度は一撃も当たらず…
他の忍者たちを片付けてきた花組も舞台上に合流し、形勢逆転。

幻夜斎「おのれぇ!!ことごとく邪魔立てしおって!!!」

土手を降り、舞台上に集まった花組に次々と切り掛かりますが
上手から織姫、レニ、アイリス、さくら、大神、カンナ、マリアと次々にかわされもはや勝負は明白となり…

幻夜斎「貴様ぁぁぁーー!!!」

ならばせめて、相打ちにと大神さんに切り掛かる幻夜斎ですが、大神さんの一刀が幻夜斎を貫き、さらに一撃を叩き込む!

大神「とどめだ!!」

振り向きざまに十字に刀を振り下ろした大神さんの攻撃は見事命中!

幻夜斎「…悔しいぃぃーーー!!!!」

全ての力を砕かれた幻夜斎は断末魔の声を上げて奈落へと沈んでいきました。
二刀を振り下ろし、真っ直ぐに前を見つめる大神さん…帝国華撃団花組の、大勝利です!!

さくら「勝ちましたね、大神さん。」

大神「ああ。」

ほっとした笑みを見せる花組の面々。みんな無事でよかったです。

カンナ「いや〜〜…やっぱ、すげぇな、合体攻撃って!」

いや、あははは…と照れ笑いを浮かべる大神さんとさくらさん。
確かに強力ですよね〜あれで一発逆転したり、戦闘をはるかに有利に進められたりとありますものね。
さて、花組の勝利を飾るものはもちろん…

大神「じゃあ、みんな。いつものやつ、やろうよ!
   …勝利のポーズ……!!」

花組「きめっ!!」

これですよ!!(^^)
大拍手の中、幕……になるかと思いきや。
何処からとも無く響く独特の羽音…

アイリス「あ〜!ベロと川岡刑事だ!!」

織姫「元に戻らなかったのかなぁ?」

そう、ハエにされた二人!(二人が現れたのと同時に、大神さんはさくらが持っていた荒鷹も預かって上手に駆けていきました。)
ハエ二人は奈落へと姿を消すと……ドンッという爆発音と共に人間二人が這い上がってきました!!

アイリス「良かったぁぁ〜〜!!」

心底安堵した声を上げるアイリスに、見守る花組も表情が和らぎます。

川岡「…お、俺どうしてたんだ?」

武田「いててててて…なんだよ、体中痛いな、どうしたんだ?」

あ〜潰したから〜〜と織姫に指をさされてしまうカンナですが、そこは頭をごまかすカンナです。(笑)

カンナ「よ、良かったな、武田!」

武田「へ!?(後ろを向いて)みなさん、おそろいで…」

川岡「あれ!?(後ろを向いて)お前たちは花組…ってなんでこんなことに?」

お互い首をひねる二人…ん?もしかしてハエにされた記憶って残ってな―――

武田「確か、地下に入って……ハエにされたんだ!!」

川岡「!!ああ!ハエの記憶が甦る…なんだか、花組の秘密を見てしまった気がする…」

武田「そうだ!たしか、秘密基地みたいなところがあってよ!」

……思い出しちゃいましたね!!(汗)
それぞれの記憶を確認するように身を寄せ合って話す二人の後ろで、和やかに見守っていた花組も
これはちょっとまずいかも、と集まって目線をきょろきょろ。

カンナ「ちょっと、まずいんじゃねぇか?」

レニ「…これは、緊急事態だよね?
   アイリス、あの二人の記憶消せる?」

アイリス「う、うん。たぶんできる。
     けど、そういう霊力って使っていいの?」

念のため、マリアに確認を取るアイリス。マリアはしばし考え込みますが…

マリア「……これは花組の緊急事態なの!
    アイリス、やって!お願い!」

両手を合わせてお願いしちゃいました。(^^;;
普段、アイリスは人の心を読んだり聞いたりしちゃうような力は使ってない(使わないようにしている)のですが
今回は現状を守るための最終手段として許可が下りちゃいました。

アイリス「わかった!
     ……ねぇねぇ!」

一歩前に出たアイリスが振り向いた二人手のひらを向けると黄色い光が二人の目を眩ませます。
(これ、SS席の前の方で見てたら本当に眩しいんですよ。まともに目が開けられないくらい。)

武田・川岡「ん?うわっ眩しい!!」

アイリス「…二人が見た花組の秘密よ、消え去れ!」

キラリン☆と光の明滅と共に手を上に上げたアイリス。
ちなみに、後ろに居る花組は力の影響を受けないようにそれぞれ自分たちで目を覆ってました。(カンナだけはぼ〜っとしてたのか、マリアが目を覆ってましたが。(笑)
さぁ、どうだ?

武田「うぉ〜〜…今、なんか光ったよな?」

川岡「雷ですかね?夕立でも降るんでしょうか…」

きょろきょろと辺りを見渡す二人…どうやら、成功のようですね。
そこだけ綺麗に消せたようでほっと胸をなでおろすアイリス。

川岡「ああーーー!!!僕のっ風水羅針盤がっないーー!!
   どこかで落としたのかな…探しに行かないと!!」

あ、それでそこからなんですね川岡刑事は。(^^;;
慌てて上手へと駆け出しますが、去り際に花組に敬礼をしてから行きました。(笑)
それに次いで武田も…

武田「あ!俺もアニキにタバコ買ってこいって言われてたんだ!!
   (慌てて下手にかけようとするが、一度花組を振り返る)
   …新青い鳥の公演、頑張ってくださいね!楽しみにしていますから!」

そりゃー!と駆け足で下手へと去っていく武田を笑顔で見送る花組。

織姫「見に来るがいいで〜す!」

舞台上に花組しかいなくなったところで、カンナがぽろりと一言…

カンナ「いや〜…アイリスの霊力って強力だな!」

ええ、帝都花組1ですからね。現在登場している花組、星組の中でもかなり強力な方だと思いますよ。
これで本当に一件落着…と笑顔をかわす花組の耳に届くのは祭り太鼓。

さくら「深川のお祭ですね。」

カンナ「なぁなぁ、今日はもうどうせ稽古にならねぇからよ、お祭行こうぜ?な!」

マリア「そうねぇ」

アイリス「ねぇ〜行こうよ、マリアぁ〜!」

マリア「……行きましょうか。」

腕を組んで悩んでいたマリアの許可を得た花組の面々はわっと湧きます。

織姫「お祭行くでーす!」

一斉に土手を上がろうと駆け出したそのとき…空に打ちあがる色とりどりの花火!

アイリス「うわぁ〜花火だぁ〜!!」

思わず歓声を上げて見入った花組は張り出し舞台の前に集合。
ここで、いつものモギリ服に着替えた大神さんも合流。全員でお祭りに向かえますね。(^^)
さくらが階段の真ん中に座り、歌いだします。

♪恋をしませう

短縮バージョンでしたね。歌いだしは、全員で張り出し部分の階段集まってからだったのですごく客席と花組が近かったです。
最初のフレーズが終わったあたりで上手から団扇屋さんが現れて、大神とさくらを残して全員そちらの方へ。
大神さんも、それから一拍ほどの間でみんなのもとへ……団扇、全員にプレゼント(奢って)ました。(笑…さりげなく「あ、こちらの方が払います」といった感じのマリアさんが素敵。)
さくらの側に向かったアイリスとカンナ以外の三人がちゃんと大神さんにお礼を言ってるところがまた地味に好きです。
中央で歌い続けてるさくらさんの分は、サビに入るところでアイリスが手渡してました。

土手の上から米田さんとかえでさんも登場。やや遅れて別方向からきたすみれさんも、移動した団扇屋から団扇を三つ買って米田さんとかえでさんのもとへ。
土手の上に移動した大神さんが見守る中、すみれさんがかえでさんに団扇を渡して、こちらも仲直り。ですね。
最後は花組全員での歌と踊り。

花組「♪恋をしませう 恋をしませう
    あなたの夢に 恋をしませう」

ターンしたところで、土手の上に四名を見つけた花組。(アイリスだけそのままターンしきっちゃってさくらに誘われて気づいてました。)
最後は、中央の階段に集まっての大団円。
惜しみない拍手の中、幕が下ります。これにて二幕終了です!
久々の長い日常編…5年ぶりですか。よりゲームの世界に近い花組の日常、楽しませていただきました!!

幕の余韻に浸っていると、会場内が少し明るくなりますが、休憩ではありません。
上手の舞台すぐ下の通路からボスが鼻歌を歌いながら登場。
そのままゆっくりと歌いながら舞台に上がります。

ボス「みなさん、盛り上がってますかー!?」

もちろんです!!
ここでボスは、近くの人たちにどこからいらしたんですか?と聞いて回ります。
全国津々浦々から、たくさんの人がこの劇場に集まってきています。中にはダンディさんに「顔覚えちゃった」と言われてる方も。(笑)

ボス「さすが、大帝国劇場!素敵なお客様ばかりですね。
   (下手側の人たちに)愛してるよ。
   (上手側の人たちに)愛してるぜ。
   (客席全体に向かって)愛してるよーー!!」

こちらも、大好きです!(^^)
ボスが笑顔で扇子を仰いでいると、下手から団扇片手の米田さんが駆け寄ってきます。

米田「ああ、こらこら!舞台の上に上っちゃいけねぇよ
   …ってダンディさんじゃないですか。」

ボス「ああ、米田さん。こんにちは。すいません、つい興奮しちゃって
   皆様に、ご挨拶をしたくなっちゃって…」

米田「本来なら一般の方は舞台に上がっちゃいけないんだが
   君はまぁ、特別だ。大目に見よう。」

二人で舞台の中央に並んで立ち話。
まぁ、ボスはきっともう名物なファンなんでしょうね。

ボス「ありがとうございます。(礼)
   …ところで、ウチの連中がお世話になったみたいで…」

米田「いやいや、世話になってるのはこっちの方でよ。
   特にほら…西村君!」

ボス「ああ、あいつは頼りになる男ですよ。
   あー…武田は、ダメですか?」

米田「あ〜…あの男は頓珍漢だな。
   この前もよ、ナスもいでくれって言ったらトマトもぐし
   酒いれてくれって言ったらお茶いれるしよ。
   …あいつは、バカか?」

ボス「はい、バカです。」(笑)

武田、言われてますよ。(^^;;
でも嫌がられてる感じじゃないので、愛されてますね。ほら。

米田「まぁ、バカな子ほどかわいいって言うけどな!」

ボス「いやすいません、あいつブラジルにいるとき熱射病にやられたらしく
   その後遺症じゃないかと思うんですよ。
   サクラ大戦を愛する気持ちは、誰にも負けないと思うんですけどね。」

米田「その一生懸命さは伝わって来るんだがよ。
   けどよ、台詞を噛むのはどうにかならんかね?」

ボス「ああ、あれね。他の人にも移るんですよね。(笑)
   でも、米田さん…あいつだけなんですよ。
   花組さん以外で、正月も夏公演も出続けてるの。」

米田「そりゃすげぇな!」

そう!そうなんですよね。変な話、織姫、レニ、紅蘭より出席率が良い。(笑)
是非是非、武田には皆勤賞を狙っていただかないと!

ボス「どうか、来年10周年まで使ってやってくださいよ。」

米田「おお、劇作家によく言っとくぜ。」

ボス「ありがとうございます。
   といったところで…どうです、芝居がはねたあとに一杯?」

米田「お、いいねぇ!このあたりだと、カフェタイガーかい?」

米田の口から出た店の名前に、目を丸くするボス。

ボス「あれ?米田さん、ああいう店にも行くんですか。
   お目当ては…リサちゃん?ユキちゃん?ヨシコちゃん?」

米田「いやいや、そんなんじゃねぇよ。ちょいと寄っただけだよ。」

ボス「あの辺りはウチの縄張りですからね。
   今夜は、ぱーっといきますか!」

片足を上げて扇子を広げるボス。ボスがぱーっといくと言うと、本当に派手そうですね。(^^)
もちろん、米田さんもノリノリです。(笑)

米田「いいなぁ、ぱーといくか!」

大神「米田さん、何やってるんですか。
   もう舞台の幕開きますよ!」

そこに、下手からひょっこり現れた真面目な大神さん。
それだけ告げるとすぐに戻ってしまったんですが…やっぱり忙しいんでしょうか。

米田「おう!
   …新青い鳥の続きだ。」

ボス「みなさん、本日はご来場いただき、まことにありがとうございました。」

客席に向かって一礼。
丁寧に頭を上げると、ボスは心持ち早足で舞台から降ります。

米田「じゃあ、後で楽屋で待ってるからよ!」

ボス「ええ、楽屋伺います!」

米田「おう!!」

ボスは下手側の客席通路、米田さんは舞台通路、それぞれに下がると
開幕を知らせるためのベルを鳴らす……ジャ、ジャンポール!!(笑)
下手からベルを持って登場したジャンポールは「かわいい!」「がんばれ!」等の掛け声を受けつつゆっくりと舞台を横断。
最後はカランカランッとベルを思いっきり鳴らしながら上手へ行きました。(^^;;
ジャンポール、意外(妥当?)な大人気。(大笑)

ジャンポールも居なくなると、ようやく会場内が暗くなり始めます。
ここで劇中劇のアナウンスが。

マリア「みなさん、ご休憩中楽しんでいただけましたか?
    それでは、新青い鳥の最終幕を始めさせていただきます。」

→第三幕へ続く

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