すると、今の会話の流れを汲んだような話題で話す二人の人物が下手から登場。
紅蘭「レニはいつから踊っとったん?」
レニ「3歳から。」
冬服の紅蘭を先頭に、もちろん冬服(笑)のレニが荷物をたくさん積んだお買い物カートを引きながら登場。
紅蘭が予想したよりもずっと幼い年齢が返って来て思わず振り向いて叫んでます。
紅蘭「3歳!?
すごいな〜…!それって、お金貰たってこと?」
レニ「ん〜…お金を貰ったのは、8歳から。」
紅蘭「8歳で木戸銭かいな!すごいな〜!」
感心する紅蘭。そんな紅蘭に、レニは今感じている小さな感動を伝えます。
レニ「このミニリアカーすごいね!重い荷物も運べてこんな路地(舞台と下手横のスペースを繋ぐ細い道)も入れるんだ!」
紅蘭「はこべるくん2号や。」(^^)
レニ「へぇ〜!重い荷物も運べてこんな狭い所も通れるなんて凄いや!!
!階段…(下手がわの階段通路)下りられるし…!
登れるし…!すごいね。すごい発明だね、紅蘭!」(^^)
紅蘭「おおきに。」(^^)
発明品を褒められて上機嫌の紅蘭。二人で笑顔になる。その笑顔が二人ともとっても可愛らしいです♪
レニ「紅蘭は、いつから発明してるの?」
紅蘭「4歳やったかな〜
あ、でもな!……お金を貰うたんは時計を修理した時やったから…14歳や。」
レニ「へぇ〜…!世の中の役に立ってお金を貰うなんて凄いや。」
紅蘭「あはっレニかてそうやろ〜!」
レニ「…踊りは、世の中の役には立たない。」
紅蘭「そんな事ないで!踊りかてすごいやないの!
世の中を幸せにできる力があるやない。」
ちょっと沈んだ口調のレニでしたが、紅蘭の真っ直ぐな希望のある言葉と目線に、ふっと笑うレニ。
レニ「…そうかもね。」
紅蘭「そうやで!レニは…すごいんやで。」(^^)
腕を広げて、足でリズムを取る紅蘭。可愛らしいです。微笑ましいです。(^^)
レニ「あはは…紅蘭はいいね。」
紅蘭「何が?」
レニ「いつも周りを明るくする。」
紅蘭「あ、あはははは…照れるわ!!」
照れ笑いを浮かべつつ、レニの肩へツッコミ。
照れるあまり、バシッと力いっぱい叩いてしまってますが。(笑)
レニ肩さすってますよ。(^^;;
レニ「ははは……あと何買うんだっけ?」
紅蘭「えーと、ブレーキとオイルとヤスリやね。」
レニ「じゃあ、早く買って帰ろう。台本読まなくちゃ。」
紅蘭「台本!ああ、ホンマや。はよ行こ!」
紅蘭、今回主演で大変ですものね。小走りで上手の方へと進んでいく二人ですが…
千葉助「え〜きび団子はいかが〜?」
紅蘭「あ、きび団子!」
レニ「えぇ?」
くるりと180度回転して下手から歩いてきた千葉助に、持っていた巾着の紐を解いて財布を取り出しながら近づく紅蘭。
早く行こうって言ったばっかりなのに。(笑)さすがなにげにマイペースな紅蘭。
紅蘭「おっちゃんなんぼ〜?」
千葉助「え〜おいしいおいしいきび団子…あ!」
レニ「千葉助さん?!」
千葉助「おお!レニさんに紅蘭さん!」
お互いに顔を見合わせて驚く三人。
紅蘭「わぁ!(会釈)」
レニ「こんにちは!」
千葉助「ああ、こんにちは!
どうしたんですか、こんな下町界隈に。なんか御用でも?」
紅蘭「下町は、腕のええ金型の職人はんが多いやろ。
せやから光武の部品をね……」
千葉助「え?」
レニ「!!工具とか!!(「あ!」と紅蘭も気付く)
…舞台、装置の部品とか買いに来たんです!小道具とか!!」
何とか誤魔化したレニに頷く紅蘭。それにしても、花組メンバーはぽろっと帝撃関係の言葉をこぼすことが多いですね〜(^^;;
レニが毎度きちんと誤魔化してますが。(笑)
千葉助「あ〜〜そりゃてぇへんだぁねぇ…(ほっと眼をあわす紅蘭とレニ)
しかしまぁ、大帝国劇場の女優さん自ら装置の買出しに歩く…
ん〜〜……っえらいっ!!!」
紅蘭「うわっ」
千葉助のあまりの声の大きさにビクッと肩を震わせる二人。
千葉助「偉いねぇ、偉い!」
レニ「どうも…」
千葉助「!そうだ、あのね…
こりゃあ、図々しいお願いなんですけどね……
また〜舞台に立ってみたいなぁ〜〜なんて…
今度のお芝居ね、なんか…役、ないですかね?」
突然のお願いに、顔を見合わせる紅蘭とレニ。急には、わからないですよね。
千葉助「あ、ええ!贅沢は申しませんよ!人間じゃなくてもいいんです。」
紅蘭「ん〜わからんけど、支配人に聞いてみてあげるわ。」(^^)
千葉助「ほんとに!?
ありがとうございます〜〜!!
…きび団子でしょ〜!」
あ、そうそう。元はきび団子が欲しくて立ち止まったんですよね。(笑)
…それにしても、この場合の支配人は……やっぱり大神さんなのかしら?
千葉助「差し上げましょう!」
紅蘭「ほんま!?」(^^)
千葉助「はいはい、どーぞ〜」
紅蘭「うわ〜!」
千葉助「はいはい、レニさんもね。」
レニ「ありがとうございます!」
紅蘭「おおきに〜」
千葉助「いえいえ。
それよりもね、どうか一つ、よろしくお願いしますね。」
千葉助の念押しに笑顔で頷く紅蘭とレニ。
千葉助「それじゃ!」
レニ「さよなら。」
紅蘭「さいなら〜」
挨拶をして千葉助さんは「え〜きび団子はいかが〜?」と売り込み声を上げながら張り出し舞台の階段を下りて、下手の客席通路へ。とちゅう、客席の方に「きび団子一つ!」と言われていましたが…
千葉助「今ので売り切れちまったよ〜」(^^;;
と箱を開けて残念そうに言って行きました。(笑)
さて、きび団子を貰った紅蘭は食べながら上機嫌で上手へと足を進めます。が、レニはふと足を止めて団子に口をつけずに千葉助の後姿を見つめる。
レニ「あれ?…千葉助さんって…紙芝居屋じゃなかったっけ?」
紅蘭「このきび団子美味しい。」
レニ「やめちゃったのかな?」
紅蘭「このやわらかさがええんやな。」
レニ「(はこべるくん2号を押して紅蘭に近づきながら)紅蘭は、そういう事は気にならない?」
紅蘭「いや!
きなこや。きなこがええんやわ!」
見事なまでに会話が成立していません。(笑)
レニ「……ははは…早く買って、帰ろうか。」
紅蘭「うん!」
団子を食べきった紅蘭は一足先に上手へと。(笑)
レニは紅蘭が見えなくなったあとにゆっくりと進みながら団子を一つ口へ。
レニ「ん!!
…美味しい。」(^^)
レニが物を食べるのは珍しいですね。
今年の新春大阪公演でも織姫やさくらを盾にしてカンナのあんプリン攻撃を逃げていたのに。(爆)
ちなみに、紅蘭は唯一あんプリン攻撃に積極的に口をあけて食べていました。(笑)意外と紅蘭、よく食べるようです。
まぁ、それはさておき…レニも上手へと消えると舞台の紗幕が上がり、またまた今戸三丁目の通りへ。もう時刻は夕方です。さすがに悩んでいた町の人々はもうくたくたで、全員座り込んでしまっています;;
ですが、そこに響いたのはうなぎ屋から出てきた織姫とアイリスの元気な声!
織姫「あ〜お腹い〜っぱい!!」(^^)
アイリス「きもすいボーノォ!!(^^)
フォアグラみたいだったね〜!」
織姫「でしょ〜!」
……フォアグラって、さりげに高級食材じゃ…さすが貴族の令嬢たち。(笑)
織姫「うわっなんだこりゃ!?」
織姫がふと周りを見回して、この状況に驚いていると、惣菜屋の前で寝そべっていた武田が起き上がり、舞台前へ出ながら一喝。
武田「おいおいお前ら!」
織姫「ベロ!」
武田「いつまで考えてるんだよ!
いったい子供はいつ大人になるの?!
っこの答えわかった奴!!」
琴音「ふぁ〜〜〜〜い……」
菊之丞
眠そうに挙手をする薔薇組の二人。わかったんですか!?
武田「はい!!
って欠伸かよおい!!」
あ、やっぱりそんな落ちですか。(^^;;
織姫「はい!」
こんどは織姫が挙手!!
武田「はい!って織姫さんかよ〜!」
織姫「(舞台中央前部分に出てきて)はい!パスタがちゃんと茹でられるようになったら大人で〜す!」
武田「はいはい!」(織姫の肩を叩いて、とんっと押す)
織姫「なんだよぉ〜〜!」
アイリス「はい!!」
武田「はい、アイリスちゃん!」
アイリス「アイリスは大人だよ!」
武田「あっそう〜いい子だねぇ〜〜」(頭をなでて子ども扱い)
アイリス「ふぇ〜〜ん!」(織姫に抱きつく)
武田「ったく、ちゃんと答えられる大人はいねぇのかよ、まったく…情けないねぇもう…」
織姫「これ何の集会ですか〜!?」
と織姫が顔なじみである薔薇組に目線を送る。
すると菊ちゃんがおどおどした声で説明。
菊之丞「あの、エアプレーンがもじゃ〜できびしい〜…って……」
アイリス「そうなんだ〜そんな難しいこと考えてたんだ〜!」
ってその説明で分かるんですかい!?(爆)
さすがアイリス…(笑)
と、そこに突如温和ではない曲が流れ、照明も真っ赤に。
半纏「おい、どけこの野郎!!」
乱暴な言葉を口にしながら下手から現れてきたのは手に大きな木槌を持った柄の悪そうな二人の男に、慇懃無礼な態度が似合いそうな眼鏡に黒い背広の男!
背広「はい!そこからそこ!やって!!」
と上手の方へ集まった町の人たちの目の前で乾物屋を指し示す背広の声にすぐさま返事をして木槌で破壊活動を始める男たち!!
全員が「ああっ!!?」と驚きの声を上げる!当然ですよね、イキナリこんな事が起こっては!
乾物屋「な、なにしやがんでぇ!!」
家を壊され始めた主人が抗議の声を上げると、背広の男は持っていたファイルから一枚の紙を突きつける。
背広「はいこれ。東京撤去許可局許可証ね。裁判所の。」
乾物屋「東京撤去許可局許可証?」
町衆「東京撤去許可局許可証!?」
織姫「ちょっと待ちーーー!!」
町の人々からずんずんと前に出る織姫。
織姫「イキナリ人様の家壊すのよくないでーーす!!」
アイリス「そうだよ!大人のする事じゃないよ!」
織姫に続いて、アイリスも前に出て抗議!
背広「…はい、やって。」
ですが、そんな二人の言葉に耳を貸す気はない背広の男は、手下の二人に破壊活動再開を指示!
織姫「こらー!!」
親方「あんたたち何とかしなさいよ!専門家でしょ!!」
と、親方たちに押されて西村と武田が前へ!そうですよね、目には目を。歯には歯を。ヤクザにはヤクザで対抗!!
西村「おい君たち!!やめなさい!」
背広「これはこれは、ダンディさんとこの子分衆じゃありませんか。」
背広の言葉に、効果ありとみた西村と武田。武田は後ろに下がった織姫たちと「よし!」と目を合わせています。
西村「おたくは?」
背広「わたくし、東京連合の環って者です。」
ですが、東京連合の言葉が出た途端…「まずい!」と顔を歪ませる二人……力関係では、あちらの方が上だったんですね;;
環「どうぞ、お控ぇなすって!!」
右手を前に、中腰姿勢で挨拶をする環に、武田と西村も思わず膝をついた挨拶で反応。
環「さっそくのお控ぇありがとうございやす!
手前ども、故あってこの土地の地上げを預かる事になりました。
どうぞよろしく、お願いいたします。」
西村「あい、わかりました。」
西村・武田「失礼します!!」
挨拶を終えた西村と武田はさっさと立ち上がり、下手の方の張り出し舞台通路へと下がってしまいました!「東京連合なめんじゃねぇぞ!」……手下たちの言葉にも、言葉を返せません;;
織姫「ちょっちょっとベロ!」
町の人たちもこれにはざわめきましたが…
環「いいぞー!」
半纏「へい!!」
三度の破壊活動を目の前にして、全員の目線はそちらへ!!
そしてとうとう…
乾物屋「お、オレの店がぁ〜〜〜!!!」
屋根が前倒しになり、全壊!!息を呑む町の人々に、環の声が無情に響きます。
環「商店街全部ぶっ壊せよ!!
ここらはでっかいビルになるんだ。地主さんからの承諾も得てるんだからな!」
織姫「…地主が承諾すれば、何をやってもいいって訳?」
我慢ならなくなった織姫は、環に詰め寄ります。
織姫「それなら地主の土地ってそもそも誰の物!?
ねぇ!!この地球は誰の物ですか!!?」
アイリスたち「そうだー!!」
織姫「今すぐやめなさい!このアンポンタン!!」
アイリス「アンポンタン!!」
半纏「なんだとこのアマ!!」
半纏「ぶっ殺すぞ!!」
織姫の啖呵に怒り心頭の手下たち!毅然とした態度と目線を突きつける織姫ですが、背中にアイリスもいるしピンチ!
しかしそこに!!
パーーンッ
一丁の拳銃の発砲音!そして…
べベベン!!
三味線の音と共に崩れた乾物屋の裏から颯爽と現れたのはさくらとマリア!そして雲国斎先生!!
マリア「お待ちなさい!」
西村「いよっ!」
武田「待ってました!!」
張り出し舞台横の通路から事態を見守っていた武田と西村が思わず掛け声をしてしまうほど、見栄も決まった二人!
マリア「(前へ出ながら)随分とあこぎな真似してくれるじゃないの。
お天道様が許しても、このマリアさまが許さないわよ。」
アイリス「マリアー!」
さくら「大丈夫?」
二人のもとへと駆け寄るアイリスと織姫。突然の乱入者に虚をつかれた環ですが、すぐに立ち直り
環「何だお前ら…(目で手下に合図)おい、やれ!」
半纏「へい!!」
さっと刀に持ち替えた手下たちと乱闘へと突入!!
テンポの速い三味線の音が響く中、花組有利に戦いは進みますが…
環「そこまでだ!!」
環の声が響き、全員がそちらを見ると…なんと、隠し持っていた銃を上手側に集まっていた人々の一人、江戸川先生の頭に突きつけています!!
江戸川「!!そ、そこまでよっ」
環「うるせぇ!」
江戸川「はわわっ」
震えて縮こまる江戸川先生。動くに動けないマリアとさくら…
環「おい。(マリアに向かって)その銃捨てろ。」
江戸川「捨ててっ」
環「さもないとこいつを…」
江戸川「やめてっ
捨ててっ
……す〜て〜てぇ〜〜〜っ」
必死な江戸川先生。しかたなく、マリアは静かに銃を起き、少し遠くへと滑らせます。
勝負に大手をかけた環はエンフィールド改を踏みつけ、銃口を江戸川先生ではなくマリアへと…マリアと背中合わせで手下たちと対峙するさくらも絶体絶命…!?
環「姉ちゃん…死ねや。」
カチッとハンマーを下げる音。息を呑む人々!!
…ですが、彼らが相手にしているのは花組です。
アイリス「ジャンポールッ!!」
アイリスが念じると、ジャンポールが空高く舞い上がり、環たちの頭上を通過していきます!!
全員の気がそれたその隙を見逃さず、マリアは素早くエンフィールド改を拾い、環の手元へ発砲!
環「っ!!」
見事に環の持っていた銃を弾き飛ばすと、今度はさくらが手下の二人の隙をつき二人を地面へと!
その最中に奪い取った刀を手に、手下の背中に片足を乗せて決めのセリフ!
さくら「やいやい!!
江戸の花火は厄払い!言わずとしれた花組が
向こう三軒両隣、合わせて守る桜花。
火花散らして切り結ぶ、野暮はおよしと何処吹く風が隅田の川を渡り来る。
どうせヤクザな博打打ち。賽の!川原を渡らせましょか
ここを冥土の今戸橋!!」
雲国斎先生の三味線が粋に響く中、足をどかし立ち上がってきた手下の首元に刀の峰を当てる!
さくら「ばっさり切ります!
こんこんちき!!」
ビシッと見栄を決めるさくらさん!!カッコイイ!!!!
武田・西村「さくら!!日本一!!」
親方「やったぁ!!」
花組の大逆転勝利!!
町の人たちが爽快感に包まれる中、マリアさんが銃をしまいながら上手で小さくなっている環へ静かに言葉をかけます。
マリア「…東京撤去許可局許可証。」
環「え?」
マリア「東京撤去許可局許可証を出しなさい。」
環「は、はは、は…ど、どこしまったかな…」
マリア「撃つわよ?」
環「はい!!」
マリアさん、大迫力;;
それにしても、東京撤去許可局許可証って言い回しにくい言葉ですよね;;
日によってはマリアさんもうまく言えず、無理矢理「早く出しなさいっ!!」と言ってる日もありましたよ。(^^;;
上着の内ポケットから出された東京撤去許可局許可証を受け取ると同時に、ビリビリと紙を裂くマリアさん!
マリア「もうこの界隈をうろつかないでね。」
顔が青くなる環の目の前にヒラヒラとただの紙切れになった許可証を落とす。
この時、しゃがんで様子を見ていた西村たちは「おいおい、裁判所の書類やぶっちゃったぞ。いいのかな。」武田「いいんじゃないっすか。よく解らないけど。」と会話していたそうです。細かいですね。
環「…はい。」
マリア「西村!」
西村「はい!!」
突然名前を呼ばれて立ち上がる西村。
マリア「あなたが証人よ。
(西村たちの方を向きながら)あなたたち、一度口にした約束は絶対に破らないのよね?」
西村「はいっ!」(通路から舞台へと上がってくる二人。しまった!と顔を背ける環。)
マリア「もし破ったら……どうなるの?」
西村「そりゃあ、大変でしょうねぇ。」
と、小指を掴みながら西村が言うと同時に、下手に膝をついていた手下二人の頭を武田が掴み…
武田「東京湾に、ぶくぶくぶくぶくぶく〜〜」
と鎮めました。(^^;;
ヤクザの世界は仁義こそ…
環「わかった!!約束するっ!!」
マリア「…さ、さっさと消えなさい。」
氷の微笑を浮かべながら環たちを見つめるマリア。
完全に負けた環たちがそこに意を唱えるわけもなく、素直に…
環「はい!
君たち〜帰るよ〜(^^;;
失礼します〜〜」
下手にいる子分たちに声をかけてそそくさと立ち去ろうとする環。
さくら「あ、忘れ物。」
舞台の真ん中を過ぎた地点でさくらに声をかけられ慌てて振り返る。ちなみに、忘れ物とは刀の事。
環「あ、どうもどうも…痛〜〜〜〜!!!!」
そりゃ、いくら何でも刃の部分持ったら!!(汗)
その拍子に転んでしまう環!ああ、もうボロボロですね;;
環「なに笑ってんだお前は!!」
手下の一人をファイルで小突くと、そのままドタバタと下手へと去って行く環たち。
やれやれ、一件落着ですね!ほっと胸をなでおろす面々の前を、奥のほうで三味線を弾いていた雲国斎先生が音色を響かせながら前方へ。
雲国斎「ああスッキリしましたよぉ〜!
ははは、ヤクザのルールにはヤクザのルールで対抗しようっていう
その根性が、あたしゃ好きですねぇ!」
マリア「それ褒めてます?」(汗)
雲国斎「ええ。」(^^)
無事に勝利をし、なんだか和やかな雰囲気が漂っていますね〜(^^)
……ですが、その中でも一人だけ沈んだ顔が…
織姫「でも!この壊れた家はどうするですか…?」
織姫の一言で、家の前で呆然としている乾物屋の主人に注目する面々…そうですよね、ヤクザは追い払えても、壊れてしまった家は……
マリア「そうね……」
乾物屋「…べらぼうめぇ!
家なんかなくったって商売ぐらいやっていけらぁこんちきしょう!
あーあ、家がなくなって清々したぜ。
これで涼しくていいじゃねぇか!なぁ!?」
ですが、その言葉には誰も同意の声を上げません。
だって……
乾物屋「…なんでぇっ……こちとら江戸っ子でぇ!!」
町の人たちに背を向けて座り込み、泣き声を我慢して精一杯の声を出す乾物屋の主人。
さくら「いくら夏でも家が無くちゃ…」
江戸川「ええええい!わかりました!!
この、江戸川夢声が一肌脱ぎましょう!!」
見るに見かねた江戸川先生がずんずんと舞台を進み、乾物屋の主人の前へ!そこで懐から取り出したのは茶色の財布。
江戸川「ここに、一千円あります!!
これを催促なしでお貸しいたします!!」
思いも寄らなかった発言に驚く一同!特に乾物屋の主人は目を丸くしています。
乾物屋「いや先生!滅相もねぇこんな大金!!」
江戸川「いえ!これはご贔屓筋から頂いた言わば泡銭です!!
誰かの役に立つのなら生き金になる!
さぁ、受け取っておくんねぇ!!さぁ!!」
ずい!ずずい!!と財布を乾物屋の主人の前へ差し出す江戸川先生!!
ここまでされては、無碍には出来ません。
乾物屋「あ、ありがとうございますっ!!!!」
江戸川「うむ!(立ち上がり)
あ!金は天下の回り!!ぐきっ…もの!!」
回り!の部分で首を回したら、なんかずれてしまったのでしょうか。(^^;;
首がそこから動かないまま見栄を切ってしまいました。(汗)
さくら「先生ご立派!!」
織姫「大人ですね〜!」
武田「いや〜大人だ!!大人
……あーーー!!!!」
江戸川先生の英断に、みんなが拍手喝采の最中に、武田がなぜここにこんなにも人が集まっていたかを思い出す!
あ、ちなみに、江戸川先生の首は、盛り上がっている最中に、織姫がぐきっぐきっと整体士の如く直していました。(笑)
マリア「なあに、まだ何かあるの?」
武田の叫び声に釣られて、織姫やアイリス、町衆も思い出しました!
アイリス「あ、あ、あのね!
子供は、いつ大人になるのかってみぃーーんなで考えてたの!」
武田「そうそうそう!その答えが見つからないんですよ〜
もう、大の大人がこんなに雁首並べてるってのに情けないったらありゃしませんね!」
親方「武田さんだってわかんないんでしょ!」
武田「面目ねぇ。」(礼)
さくら「あぁ、難しい問題ですね。
子供はいつ大人になるのか……」
マリア「…なんだそんなこと?」
静かに言い落としたマリアの言葉に、全員がその場で大反応!!(すでにマリアさんを囲む体勢だったので)まるで千葉助さんの二の舞ですね!(笑)
武田「教えて下さい!マリア様!!」
十字を切って祈るように膝をつき手を組む武田!!それにならってその場にいたほとんどの方が武田と同じ動きを!(さくらさんとかは立ったままですが、手は組んでいます。)
町衆「マリア様!!!!」
マリア「…それは……」
町衆「それは…!?」
マリアが口を開くと同時に、照明がマリアのスポットを除いてほの暗くなり、神々しいばかりにマリアを照らしています!
マリア「それは……愛の意味を知ったときかな。」
うわカッコイイマリアさん!!なんだかあまりにキザっぽくて客席からは薄笑いがこぼれていますが。(爆)
武田「愛の意味?」
マリア「そうよ。
恋に恋する時代を過ぎて、愛に悩み、苦しみ、傷つき、深い愛の意味を知ったとき…!
子供達は天使の翼を落として、大人になるの…!」
さくら「なんだか、ロマンチックですね…深い、愛…!!」
この答えには町の皆さんも今度こそ心の底から納得した様子で誰もが頷いています。
町衆「深い愛…!!」
武田「(立ち上がる)おいみんな聞いたか!愛だ!!深い、愛だぞー!!」
いや〜そうか、そうだったのか〜!と納得した様子で立ち上がり顔を見合わせる面々。そして嬉しいあまりに上手側にいた女性達が「どのくらいの深さなのかなぁ?」「これくらいじゃない?」
「あっそれ!深い川?浅い川?」
なんだか町の人全員ノリノリで踊りだしてしまいました。(笑)
「あっそれ!浅い川?深い川?」
武田「やめやめやめやめ!」
危うくそのまま盆踊りのようなのりになりそうな町衆を大きな声で収めると、再び武田はマリアに向けて膝をつきます。
武田「…わかりました、マリア様。
愛なんですね!深い愛を知ること!!」
マリア「…そうよ。」
町衆に囲まれて両手を軽く広げて答えるマリアの様子はまさに聖母!!
うーん、さすがマリアさん。すっかり腰砕けのメロメロに酔わせしまっています。(笑)
町衆「マリア様ぁ〜!!」
武田「(立ち上がり)そうだ!
この事を早速ボスに教えに行かなくちゃ!
じゃ、あっしはこれで!せりゃ〜〜!!」
飛脚の如く上手へと走り去る武田を、西村も慌てて追います。
西村「待て武田!
(舞台中央で少し立ち止まり、両手で髪を軽くかきあげる仕草)僕も行こうっ!
武田く〜〜ん!!」
ある意味微笑ましい眼差しでそれを見送る面々。
と、その最中に、菊ちゃんが今まで人や騒動で見えなかったタバコ屋とうなぎ屋の間にある細い隙間を覗くと…!
菊之丞「!!あったぁぁ〜〜〜〜!!!
琴音さん、ありましたよ!お狐様!!」
そう、そこには小さなお社があったのです!
琴音「あ!ホントだ、忘れてた!
あたしたち、お狐様に祈願に来たのよね!
お参りしましょう!」
二人でお社の前に立ち、手を合わせるその様子を、町の人々と花組の面々はすこし不思議そうに見つめますが、次の琴音さんの一言で花組の面々は納得。
琴音「えっと…今度の、あたくしの役、流木がうまくいって
花組さんのお役に立てますように!」
ぱん、ぱん!と柏手を叩いて祈願!
さくら「マリアさん、あたしたちも舞台の成功をお祈りしましょう!」(^^)
マリア「ええそうね。」
続いてさくらやマリア、アイリス、織姫。さらには親方や江戸川先生とその場にいた関係者全員がお社に向かって柏手を。
花組「「新宝島」が、大成功しますように!!」
親方
江戸川先生
お狐様に深々と礼をして成功祈願!
…と、ここらで町の人たち。特に若い女性の方々が顔を見合わせてさくらたちをまじまじと見ています。
祈願を終えた花組の面々は顔を上げて
マリア「さぁ、私たちも劇場に戻りましょう。」
アイリス「うん!(^^)
お稽古お稽古!」
下手の方へぞろぞろと歩き始めますが…
「やっぱり!!花組さんだぁ〜〜〜!!!!」
今の発言で確信をもった町の人々がマリアたちに突進!!って今まで気付かなかったんですかい!?(爆)
……ああでも、そういうものか?そういうものなのか?(^^;;
もみくちゃにされてまた違った騒動となりそうな雰囲気ですが、そこからするりと外れたさくらさんと雲国斎先生の間に紗幕が下りまして先ほどまでの騒がしさとは一変。
辺りを茜色に染めている夕日を静かに見つめている雲国斎先生を、見つめるさくら。張り出し舞台の奈落部分からはいつの間にか「夏の街角」で現れた腰掛が再び登場しています。
しばらくそんな静かな時間が流れ、ふと雲国斎先生が目線を落とすとさくらと目が合って会釈を交わしました。
雲国斎「はははは…見事な、夕日ですな。」
さくら「本当…キレイですねぇ…」
雲国斎「日本の情緒って言うんでしょうか。
いいもんですねぇ……」
しみじみと言いながら、腰掛へと腰を下ろす雲国斎先生。
そこに、さくらも並んで座ります。
さくら「…ねぇ先生。ほんとに9月に亜米利加に行っちゃうんですか?」
雲国斎「ああ、ははっ…まぁ、武者修行みたいなものですよ。」
さくら「どのくらい?」
雲国斎「一年間。」
さくら「日本が恋しくならないかなぁ…」
雲国斎「なるでしょうねぇ…
でも、子供の頃からの、夢だったんです。
その夢が、やっと実現できるんです。アメ〜リカの野郎どもに
この(三味線を指して)日本の古典芸能の良さを、聞かせてやりますよ。」
さくら「すごい!!
その心意気が凄いわ!」
素直に感心するさくらに、雲国斎先生は微笑。
雲国斎「あ、あの……一曲、歌ってもらえませんかね?」
さくら「え?」
雲国斎「日本の……思い出にしたいんですよ、さくらさんの歌を。」
さくら「……はい。」
さくらが笑顔で頷くと、先生は三味線をツィツツ…と鳴らしはじめました。
♪サンセットサマー
バックダンサーも、セットも、なにもない二人だけの静かな、しっとりとした歌。
そうか……この歌は、亜米利加へ行く先生への贈り物の歌だったんですね。さくらさんの日本舞踊風の踊りも素敵でした。
間奏部分での先生の三味線の音色も素晴らしかったです!!
歌謡ショウ史上で最も静かに心に残る歌ではないでしょうか。
二人「♪うーううううー サンセットサマー
うーううううー サンセットサマー」
最後は、さくらさんは腰掛に座りながら、その後ろに雲国斎先生が立ち、静かに奈落の舌へと下がりながら締め。
先生、亜米利加でも頑張ってください!!
さて、二人が下へ消えますと、紗幕が上がりまた別の場所へ。
上手の端に置かれた「更衣室」と書かれた大きな箱型のセットの中から登場したのは、テーマ曲に乗った稽古服のボス!
真っ黒な稽古服に上着を肩に引っ掛けてくるくると踊るボスはそれだけでもかっこいいですね!
曲が終わると同時に、舞台全体の照明もつき、下手には大きなテーブル。そしていたるとこにイスと人が…ここが大帝国劇場の稽古現場だということがわかりました。
ボス「…お待たせしました!」
ボスがポーズを決めながら集まっている皆さんへと声をかけます。
ちなみに、今居る方々は下手の方から数えまして、舞台の奥にいるのが男性ダンサーお二人、舞台手前のイスに座っている女性の方は新キャラ…ですね。梅染色のスーツの綺麗な方です。スカートには音符の柄が。そして机の端には大神さん。
舞台中央のイスにはカンナ。その横、一番ボスに近いところに、かえでさんが立っています。みんな手に持っているのは黒い表紙の台本。
かえで「(^^)気合い入ってますね〜」
ボス「はい!」
かえで「ええ、じゃあ揃った所で、台本の94ページ。
大神くんのセリフからよ。」
大神「はい!
(イスの上に立ち、片足を机の上に乗せると、持っていた剣を高々と掲げる)
…海賊王ビリーは、世界一だー!!」
かえで「さぁ!海賊王ビリー様に、乾杯だ〜!!」
どうやら、今は「新宝島」の海賊たちのシーンの練習中みたいですね。「かんぱーい!!」と声を上げるみんなに続いてイスの上に立ったカンナの歌声が…!
カンナ「♪おっれさっまは〜海賊王だ〜〜」
その歌声に盛大にこけたのは新キャラの女性。
カンナ「♪世っの中の〜嫌われ者〜だ〜」
女性「カンナさん!カンナさん!
そんなに小節を回さないでちょうだい!
それから、音程に気をつけて。」
カンナ「あー…横道それ子先生よ。(台本を指差し)この、最初の歌いだし
「俺様は〜」ってところ、イマイチよくわかんないんだがよ、歌い方が…」
またすごいネーミングですね。(笑)
横道「ん〜、わからないかしらねぇ…
それでは、わたくし横道それ子が歌ってお教えしましょうね!」
カンナ「ああ、頼むよ。」
歌唱指導のために喉を整える横道先生。
横道「♪お〜〜〜〜れさぁ〜〜〜まは〜〜〜〜
かぁ〜〜いぞぉ〜〜くおおだぁ〜〜〜〜
はぁ〜〜〜〜〜 あぁ〜〜〜〜〜 ああ〜〜〜〜〜〜!!」
私の表現力が乏しすぎますが(泣)横道先生はもの凄く澄んだ声でオペラで歌ってます!すっごい綺麗です!!!
もう、会場拍手拍手!!
カンナ「おい、おい、おい、おい!
そりゃあ…オペラだろう!あ、あたいにそんなもんできるわけねぇだろ!」
横道「(^^)
あのね、歌い方じゃないのよ。歌はまず、ハート。それから、音程ね。」
カンナ「なんだかなぁ…」
笑顔で座っていたイスへと戻る横道先生ですが、カンナは納得できてない、イマイチ理解できていない様子です。
かえで「さ、カンナ。もう一度やってみましょう。」
カンナ「はぁ〜い…」
かえで「…海賊王ビリー様に、乾杯だ〜!!」
再び全員が「かんぱーい!!」と声を上げてカンナの歌です!
カンナ「♪あ!おっれさっまは〜海賊王だ〜〜」
が、その歌声に今度は全員がこけてしまいました;;
横道「カンナさん!(カンナに近寄りつつ)
さっきと何にも変わってないじゃない…
あなたね、三連符ってご存知かしら?」
カンナ「いや、しらねぇ。」
横道「♪おれさぁまは…
言ってみて。」
横道先生が仰っている三連符は「俺様」の様の部分を「さ」で上がり「ぁ」でもう一つ上がり「ま」で下がり「は」でもう一つ下がると言う物です。
カンナ「♪俺様は〜」
うーん、でもカンナは今一つ違うんですよねー(汗)
横道「♪おれ、さぁまは!」
カンナ「♪俺様は〜」
横道「♪おれさぁまは!」
カンナ「♪俺様は〜」
横道「♪おれさぁまは!」
カンナ「♪俺様は〜!」
横道「♪おれさぁまは!」
カンナ「♪俺様は!」
横道「♪おれさぁまは!!」
カンナ「♪俺様は!」
最後はもうどちらがどちらか分からなくなり、とうとう横道先生は「どうしてわからないのよ〜!」と嘆きながらテーブルの方へと戻ってしまい、カンナは怒鳴るあまり台本を投げ出してしまいました。
大神「カンナダメだよ、物事を中途半端に投げ出すのは。」
そこに前に出てきたのは大神さん。さすが隊長、正論です。でもカンナは気がたってるので、イスの上から降りて座るとふいっとそっぽを向いてしまいます。
うーん…ちょっと険悪なムードかも…と思ったところで、上手から元気な声で紅蘭が登場!…あれ?一緒のはずのレニは??
紅蘭「ただいま〜!
あ!横道先生〜!お久しぶりです〜!(礼をする紅蘭に、疲れた会釈で返す先生)
歌の指導に来てくれはったん?」
歌の指導と聞いて今のやり取りを思い出してしまった横道先生は嘆きながらテーブルに体重を預けてしまいますが、すかさずかえでさんが前に出てフォロー
と、この間にボスが問題だった台本の場所をチェック中
かえで「今回の「新宝島」歌が多いでしょ。だから。」
紅蘭「ああ!」
ボス「♪俺さぁまは〜〜海賊王だぁ〜〜〜!!」
そしてイキナリ響き渡る完璧な三連符でのボスの美声!
思わず全員が注目!
ボス「海賊だ〜!」
海賊役「おー!」
ボス「海賊だ〜!」
海賊役「おー!」
その素晴らしさに全員が…いや、カンナ以外が拍手喝采!!
横道「まぁ〜〜素晴らしい!!」
大神「(カンナの肩に手を置きながら)すごいね、ダンディさん!」
ですが、歌えなかった当の本人、カンナはまだそっぽを向いています;;
紅蘭「って、なんでダンディはんがおるん?」
紅蘭、目の間を通過しておきながら気付かんかったんですかい。(^^;;
大神「またお願いしたんだよ。」
紅蘭「そうなん!?」(^^)
ボス「お世話になりやす!」
嬉しそうに礼を交わす紅蘭たちですが…まだいじけてるカンナはついつい…
カンナ「しかしさ…!
花組はよっぽど人手不足なのかねぇ…こんな奴入れてよ。」
かえで「そうじゃないわ、カンナ。
ダンディさんは才能があるじゃない。だからお願いしてるのよ。」
カンナ「かえでさん…なにもギャングにお願いしなくてもいいんじゃないか?」
紅蘭「カンナはん!!そりゃ言い過ぎや!!」
カンナの失言に、かえでさんが注意する前に紅蘭の怒りの声が飛びます。
たしかに今のは…
ボス「カンナさん…」
ボスが静かに紅蘭、かえでさんの前を通り過ぎ、カンナが座っているイスの傍で膝をつき、台本をカンナに差し出します。
ボス「申し訳ありやせんでした。(台本を受け取るカンナ)
…失礼しやす。」
深く礼をして上手へと立ち去ろうとするボスを呼び止めるかえでさんや紅蘭。
かえで「ダンディさん、待って…!」
ボス「(上着を羽織ながら)いやぁ、花組さんの芝居にまた出れると思うと嬉しくなっちまって…
原っぱで練習なんかしちゃいましてね!
はは……でしゃばり過ぎました。じゃあ…これで……!」
止めるに止められないかえでさんや紅蘭たち。そしてどうにも落ち着かないカンナ。
カンナ「ちょっと待ったダンディさん!!」
立ち上がって去ろうとするボスを呼び止めるカンナ!振り返ったボスの目の前に立って、バツが悪そうに頭をかいてます。
ボス「…へい!」
カンナ「いや…悪かったよ。すまねぇ謝るこの通りだ!(頭を下げる)
歌がわかんなくて、ちょっとくさくさしてた。で、あんたに八つ当たりだ
ホント、みっともねぇな。ごめんよ!」
ボス「いや滅相もねぇ!
……あっしは、ギャングですから。」
カンナ「関係ねぇよ!(舞台中央に戻りながら)
政治家にだって悪い奴はいる!ギャングにだっていい奴はいる!そういうこった。
ギャングが歌って何が悪い!なぁ、みんなそうだろ!な?な!」
ああ、よかった…いつものカンナですね。(^^)
みんなもちろん笑顔で頷いています。
カンナ「ほら!一緒に稽古しようぜ!!」
ボス「…ありがとうございやす!!」
手招きをするカンナに、深々と頭を下げるボス。
はぁ、良かった…