新春歌謡ショウ2006
「跳んでる花組」
皆様、新年明けましておめでとうございます!
舞浜と帝都と紐育の子(やや巴里っ子)と化している如月紫水です。(爆)
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
さぁ、年の初めの恒例となっていた新春歌謡ショウも今回でとうとうファイナルということで…
寂しい限りですが、目一杯追いかけていきます!
今年の目標は全公演観劇!一部チケットが取れず当日券狙いだったのもあったのでどうなることかと思ったんですが、何とか達成できました!
ということで、今年のレポは全日程織り交ぜてのものとなります!(笑)
大喜利がえらい長さになりました。(^^;;
なので、前置きは短く、さっくりと始めさせていただきたいと思います。
―――――レポート本文―――――
大帝国青山劇場(笑)の様子はファイナルと言ってもいつもと同じ。
恒例の挨拶回りは初日〜6日までは親方、西村、武田、塚田さん、高橋さん、公平先生、政、優作、川岡刑事でした。
7日からは帝劇のどてら半纏を羽織った大神さんも加わり、豪華男性陣勢揃いでした♪
今回は異様に長いのでチラシチェックは省略。あ、紐育公演のチラシだけは要チェックですね!!
チケットの発売が今月……が、がんばろう…!!!!
1ベルが鳴り、皆さんが席に着き始めたところで
広井「明けましておめでとうございます!」
いつもの下手客席通路から掃除人、広井さん登場!!新年の御挨拶をしながら舞台へと上がっていきます。
って……あら?法被がいつもと違って、なんだかすごいきらびやかな生地なんですけど!!新調したんでしょうか?
広井「どうも〜…改めまして、明けましておめでとうございます!
いいお正月をお過ごしになりましたか?」
日によって「はい!」だったり「仕事!」だったりの掛け声がかかります。
みなさんそれぞれのお正月。
広井「なんだか、最近やっと景気が良くなってきたらしいですね。
言われていれば銀座もやっとカラオケ屋が減って、良いお店が並ぶようになって
銀座が大人の街に戻りつつあるなと思いましたが、どんな年になるんでしょうね。」
ここで、恒例となりました諸注意…携帯電話の電源や拍手、声援についてですね。が入りました。
ちらほらいらっしゃる初めての方に「こういうことになっておりますが、ついてきてくださいね!」と向けた後
再び台詞へ。
広井「この十年は変化の年だって言われてますけど、あたしは十年経っても…掃除人のまま。
いや!愚痴言ってるんじゃないんです。けっして嫌じゃないんです。十年間掃除やってて
こうして一番最初にお客さんの顔を見れて、楽しゅうございます。」
うんうんと上手側で話していると、下手から親方が登場!
お約束なので掛け声もバッチリですね。
親方「広井!なにやってるんだ?」
広井「いや、お客さんと話してたんですよ。」
親方「ちゃんと掃除したのか?」
広井「しましたよ、さっき!ちょっと。」
親方「ちょっとじゃねぇよ。いろいろ掃き残しがあるじゃねぇか!
ったく、お前は十年経っても進歩がねぇな。」
広井「懐かしいですね、たしか…最初の「愛ゆえに」の2ステージ目からこういうことやりはじめたんですよね!
1ステージ目はなんで出なかったんでしょうね?」
親方「い、いろいろ事情があったんだよ!」
そうらしいですね。ええと、後から聞いた話だと観劇マナーが出来てない人が多かったので2ステージ目から急遽前説という形で始まったと聞いてますが…
今は、ある程度できてきましたよね?<観劇マナー
親方「まったく、普通はな十年やってりゃ一人前になるんだよ。
かっこばっかり派手になりやがって…ってお前なんだよその法被は!」
広井「かっこいいでしょ。」
親方、よくぞ聞いてくれた!(笑)
親方「(法被に触りながら)いいな〜これ、どうしたんだ?」
広井「いや、俺がディナーショウの前説やるもんだと思った衣装部さんが作ってくれたんですよ。
でも俺前説やらなかったから、もったいないから今着てるの。」
ああ、なるほど。今回のディナーショウは帝都がメインストーリーの場所でしたからね。
でも武田が登場したため、出番がなくなってしまったと。
この説明、後日になるにしたがってはぐらかされていきました。曰く「衣装さん俺に惚れてるんだと思います。」と。(笑)
親方のがないのは「惚れてないからじゃないですか?」と(^^;;
そしたら親方、「いいよ、俺も惚れさせるよ!」と強気発言!がんばれ!(爆)
親方「まぁ、それはそうと…お前この後どうするんだ?
夏で終わりじゃねぇか。今幾つだ?」
広井「それは、マジで答えるの?(^^;;
52だよ!52歳で掃除人やめてどうってのは…困るなぁ。」
親方「どうするんだ、おい。」
広井「いや、続ければいいじゃないですか!ウルトラ歌謡ショウとか!
なんちゃって歌謡ショウとか!ミニミニ歌謡ショウとか!続けられる気がします。」
おお〜…そうなって欲しいですね。終わりはやっぱり寂しすぎますもの。
他にも出張歌謡ショウとかの案がありましたね。(笑)
親方「いやいやいや!そりゃそうしたいけどプロデューサーが終わりって言ってんだよ。」
広井「あ、プロデューサーがそう言ったんじゃ終わりですね。」
親方「花組さんも大変なんだから。」
広井「そーですよね!じゃあ、夏で終わりです。」
あ、そんなあっさりとまた寂しいことを。(^^;;
うーん、本当にどうなるかは夏にならないと分からないですね。
親方「ということで、新春歌謡ショウも今年がファイナルとなります。
みなさま、盛り上がってまいりましょう!!」
広井さんも一緒に礼をして、二人が下手に下がったところで前説終了!
―――7日・昼夜
この日はDVD収録日ということでカメラが入ってるという説明が加わりましたね。
今日掛け声をすれば自分の声が入りますよと。(笑)
広井「十周年でございます!本当に、お疲れ様でしたお客様!!」
そんな感じで挨拶から前説を始められた広井さんですが、いつもと決定的に違うものがあります。
それは…
広井「十年間掃除やっててって…あれ?ホウキは?」
そう、いつもなら手に持って出てくるはずのホウキが無いのです!!キョロキョロと自分が通ってきた通路を見たりしていると
親方「広井!!お前、これ商売道具だろ!」
親方がホウキを持って登場してきました!(笑)
広井「ああ!どこにあったんですか?」
親方「楽屋だよ!お前そんなんでどこ掃除してたんだよ!」
広井「…見回りしてました!!」
これは昼夜とも一緒だったのでDVD収録日仕様といったところでしょうか。
同じく昼夜同じで連日と違ったことがもう一つ。
いつもは広井さんのきらびやかな法被を見てるだけなんですが。
(昼公演では法被と同時に広井さんがしている腕時計にも注目していました。「いい時計してるじゃないか」と。
でも、広井さん曰く「これ浅草で買ったパチモンですよ。」と返していました。)
今日はちょっと違いましたよ!
親方「(法被を見て)お前、それ脱げ!裏方がそんなちゃらちゃらしちゃいけねぇだろ!脱げ!」
広井「は、はい!!(法被を脱ぐ)」
親方「ほらよこせ!(自分の法被を脱ぎながら手を出す。)」
広井「はい…(渡す代わりに親方の法被を受け取る)
…あれっ!?」
親方「お、これいいな。その気になる!この名前後でとってもらおう!」
なんと、親方が着てしまって法被が取替えっこ状態に!(笑)
広井さんの法被には「大帝国劇場 広井」と名前が入ってるんですがそれ以外は気に入ったそうです。(^^;;
「台本に無いことするなよ!ビビルだろっ!?」と広井さんが叫ぶ中、親方は「台本ってなんだよ。前説に台本は無いだろ!」と
ツッコミを入れてからご挨拶をしてそのまま下手へと下がってしまいました。
慌ててその後を追う広井さんは「ってホントにもって行くなよ〜〜!!」と叫んでおりました。(笑)
夜公演では、名前の部分解消のために、裏っかえして着ていました!
このきらびやかな法被、裏地も一味違って真っ赤なサテン生地なんです。(笑)
親方「これちょっと待てよ、こっちで着たら派手じゃないか?」
広井「還暦だよそれ!還暦!!」
親方「これいいな、これでいこう!!」
そしてやっぱり持ち去られてしまいました。(大笑)
親方が普通に着て去っていけばそれは昼公演の映像。裏地で着て去っていけば夜公演の映像ですよ〜
―――――
さぁ、いよいよ幕が上がります。暗転していく中、ドキドキしながら開演アナウンスを聞くために耳を傾けていると、静かに幕が上がった舞台の中央に一筋のスポットライトが。
さくら「はっ!!!」
さくらさんの気合の声と共に、手にしたバチで太鼓のふちを叩き、それをきっかけに照明が舞台中に広がり、他のメンバーも演奏を始めます!
なんと、今年はアナウンス無しのイキナリの始まり!いつもの黒い法被の花組と白法被の武田と西村による太鼓演奏!
基本的な立ち位置は正面からみるとこんな感じでしょうか。
かえで 紅蘭
○○ ○○
武田 西村
○ ○
すみれ さくら○マリア アイリス
カンナ ○ ○ レニ
○ ○
武田、西村、かえで、紅蘭はかなり高い位置に居ます。紅蘭とかえでさんが一番高い位置で4つ並んだ小太鼓で演奏。
舞台両脇に居る武田、西村はじめステージに居る花組メンバーは普通の太鼓で演奏。
カンナ、レニは太鼓を縦に水平に置いて。すみれ、アイリスは演奏台をつかって太鼓を斜めの位置にして。さくらとマリアは一つの太鼓を両方から叩いてます。
初日、最初レニのバチが手が滑って飛んでいってしまったのですが…大事にならなくてよかったです。
最初の演奏が終わると、気合の声と共に見得を切ります。
花組「新春、祝い太鼓!!」
花組!と掛け声が掛かる中、静かに構える面々。
最初はかえでさんと紅蘭による演奏。時々花組からかかる掛け声がまた粋な感じ。
(この演奏がはじまってスポットが二人に当たったときにすみれとアイリスが使っていた太鼓の位置を変化させてました。中央の太鼓を挟むような方向に転換)
二人の演奏が終わると、西村と武田の威勢のいい声と共に全員が太鼓を叩き始めます。ここからは一部に個人技を織り交ぜた演奏に。
最初はカンナ、レニ。そして西村、武田と続きすみれ、さくら、アイリス、マリアは中央の太鼓を使って太鼓に挟まれる位置で演奏。
最後にさくらさんとマリアさんが太鼓を叩きながら身を反らせて一回転するという難しい技を織り込ませて、徐々に太鼓の音が小さくなっていきます。
完全に消えたのは一秒ほどで、最後の演奏へと繋がっていきます。最後は団体技!
舞台中央の3つの太鼓の周りを舞う花組!これにはカンナ、レニも参加して美しい連続技!!
花組「いよぉ〜〜〜〜!…やぁ!!!」
最後は最初とほぼ同じ立ち位置に戻って、決め!!
さすが花組!
ここで紗幕が下りて、舞台は物語の世界へと。映し出されるのはちらちらと舞う雪。
男「火の用心〜〜〜…しゃっしゃりや〜しょう〜〜…」
拍子木を打ちながら、火消しの格好をした男が下手から上手へと歩いていきます。
寒さがこたえるのか、時々肩を震わせています。
男が上手へと消えたと同時に舞台に照明が付き、紗幕が上がっていきます。
隅田川の土手。下手にある小さなそばの屋台にはお客が二人。暖簾で顔は見えません。
店の親父が出したかけそばを受け取るその声には聞き覚えがるのですが…
先ほどの男が今度は土手の上に出現。見回りの通り道なんでしょうね。
優作「ごっそさん。」
屋台の右側に座っていた男が立ち上がって暖簾の外へ。そのサングラスと髪型はまごうことなき優作!
親父「あ、へいへい。80銭になりやす。」
優作「おう。(ポケットから小銭を出して)えーと、50の、ひの、ふの、みと。」
ちゃりんちゃりんと親父の手にお題を落とす優作。ちょどの金額ですね。
親父「ありがとうございやす。」
優作「おい親父、ちょっとしょっぺぇぞ。」
親父「ああ、そりゃ、あいすいません…」
優作「ま、労働者階級にはちょうどいいのかもしれねぇけどよ。
(帽子を被りながら上を見上げる)雪か…ちっ体にこたえるな。」
すたすたと上手へ向かって歩き出す優作の背中に店の主人が「またどうぞ〜」と声をかけると
くるっと振り返って「もう来ねぇよ!」とびしっと指をして優作は上手へと去っていきました。(^^;;
優作がいなくなると、今度は火の用心の男が階段を降りて屋台の側へとやってきます。
男「火の用心〜〜……ふぇっくっしょい!!」
親父「ああ、大変ですねぇ。」
男「いやぁ、火の番は町内の持ち回りですから。
暮れにくじが当たってからどうにもくじ運が悪くてね〜正月2日の見回りに当たっちまってね。
まぁ、町内のことですから、こうして仕方なく。へへっ」
親父「冷えたでしょ。熱い蕎麦でもいかがです?」
男「お、そうだな!じゃあ、一杯もらおうか!(一度暖簾を潜り、拍子木と帽子を置く)
しかしおやっさんも正月早々大変だなぁ。」
親父「いやいや、あっしは商売ですから。
あ、すいやせん、ちょっと水汲んできますんで。」
男「はいよ!」
桶を抱えて下手へと下がる屋台の親父を笑顔で見送るが、その姿が見えなくなると、表情が一変して辺りを警戒する顔に。
周りに誰も居ない事を確認して、膝を折って控えます。
男「……大神様。」
大神「こんな所に呼び出して…何か重大な情報か、猪吉。」
すっと暖簾を上げて屋台から出てきたのは大神さん!いつものモギリ服の上に黒いコートを着てるので闇に溶け込む感じです。
下手の舞台手前に立って、猪吉と呼んだ男からの情報を待ちます。
猪吉「はい。…昨年、帝国華撃団を襲った根来幻夜斎の情報です。」
大神「幻夜斎は切った。」
猪吉「存じております。ですが、月組の調べによりますと…幻夜斎は、死んでおりません。」
大神「何!?」
思わずいの吉を見返す大神さん。立ち上がった猪吉は再び辺りを確認してから「お耳を」と大神さんに近づきますが、大神との距離が一歩分の間合いになったところで突然小刀を懐から取り出して切りかかる!!
大神「何をする、猪吉!?」
???「ククク…さすが大神。」
すんでのところでそれをかわした大神さんは次々に突かれる攻撃もかわし、僅かな隙をついて小刀を奪い取ります。
武器を奪われた猪吉は素早い身のこなしで土手の上へと間合いを取ります。
大神「お前…猪吉じゃないのか!」
???「クックック……」
大神「誰だ、貴様!!」
???「俺だよ、大神一郎…!!」
猪吉の声に重なるように聞こえるのは、夏に対決したあの男の声。
そのまま土手の上から隅田川へと姿を消すとパンッと爆竹の音と共にあの男がせり上がってきます!
上手で小刀を構えていた大神さんの顔に驚きと緊張が走る。
大神「貴様は…!!」
幻夜斎「驚いたか。俺は不死身だ!!」
大神「おのれ……幻夜斎!!」
雄叫びと共に、隅田川の土手の上へと向かう大神さん。刀を抜いた幻夜斎と一騎打ち。
その幻夜斎、顔色が夏と明らかに違います。夏は人間のそれに近かったですが、今は真っ白で生ける者ではありえない色です。そして、その額から顔の半分まで入り込んだ傷跡は夏に大神さんにつけられた刀傷。
なんとか応戦する大神さんですが、そこに水を汲みに行った屋台の親父が帰って来て、突然のこの状況に腰を抜かして桶をひっくり返してしまいます。
親父「ひっひぃぃっ!!」
大神「親父、逃げろ!」
親父「は、はいぃっ!!」
なんとか幻夜斎の攻撃を止めて親父が逃げる時間を作る大神さん。しかし、そこに生じた無理な間合いをつかれて、腕に傷を受けてしまいます。
大神「くっ!!」
腕を押さえつつも小刀を握ったまま、大神さんは隅田川へと飛び込みます。
幻夜斎「死ねっ!!」
それを追うように幻夜斎も刀を水面に付きたてながら隅田川へ。一時の静寂が隅田川の土手に戻りますが、間をおかずホイッスルのけたたましい音が。
川岡「怪しいヤツがいた!追え、追えーー!!」
ピピピピピーーッと笛を吹きながら三人の警察官(うち二人はミニスカ婦警さん;;)が上手から走ってきます。その最後に川岡が歩いて登場です。
川岡「どうだ、怪しいヤツはいたか!?」
警察官たち「いません!」
川岡「お、お前たちが新しい婦警か?」
婦警「はいっ!!」
川岡「(真ん中に立っている婦警に向かって)おいお前!犯人を捕まえたいか!」
婦警「はい!捕まえたいです!!」
川岡「ふん、ほえるほえる…いいか、捜査というのは恋愛と同じだ!
追えば逃げる!!」
ちなみにこの、川岡の捜査講義は日替わりでした。(その前振りも一部アドリブ。5日夜は婦警さんの顔を見て「君はちょっと、ふけぃ顔だね。」と言ってました。そのあと、婦警さんの視線が痛かったのは言うまでもありません。(^^;;)
4日夜が「午後の通り雨のようだ。激しく突き刺さるが…どこか、優しい。」
5日が「アイルランド娘の太もものようだ。心に安らぎを与えてくれるが…毛深い。」
6日が「恋の緊急会議だ!…恋も事件も、突然やってくるって事さ。(真ん中の婦警さんを見て)なぁ、小牧。」
―――7日・昼夜
と、ここまではそんな感じでしたが、7日の昼夜公演から変わりました!まず登場時に川岡刑事が手袋をしているんです。
川岡「お、お前たちが新しい婦警か?」
婦警「はいっ!!」
川岡「最初に言っておくが、俺には色仕掛けは通用せんぞ。」
婦警「はい!」
川岡「(おもむろに右手の手袋を外して、ゆっくりと下に置く。)…
ああ!手袋を落としてしまった!…すまないが、とってくれないか。」
と、婦警さんにお願いするとちゃんと返事をして取ろうとするのですが……
スカート丈を気にする婦警さんを川岡刑事はあからさまにしゃがみこんで見上げています。(笑)
取るに取れない婦警さんだったんでですが、そこに男の警官がスタスタと歩み出てぱっと手袋を拾うとそのまま川岡刑事の手にはめてあげてました。
ものすご〜〜く微妙な顔の川岡刑事…あれ、だって色仕掛けは通用しないんでしょう?(笑)
川岡「…いいか、落し物は交番にだ!!」
そして夜公演ではさらにバージョンアップしてリトライ。(爆)
川岡「最初に言っておくが…俺は、絶対に、本当に!…色仕掛けは通用しないぞ。」
そして落とす手袋は二つに。(笑)両手分のそれを、二人の婦警さんそれぞれに拾ってもらおう作戦です。(^^;;
で。やっぱり警官に二つとも拾われて、一つは同じようにはめてもらえたんですが、もう片方はなんと警官さん自分の手にはめてもっていっちゃいました!(笑)
川岡「…いいか…!二兎追うものは一兎も得ずだぞっ!!」
教訓ですね。(^^;;
―――――
川岡「……よし!じゃあ、巷で大流行のアレ、やっとくか!」
警官たち「はい!!」
川岡の音頭で一斉に首から提げている笛を口元に構える警官たち。
7日の昼からは「そろそろみなさんも御一緒に」とこちらにも声をかけてきました。(笑)
川岡「せーの、ホイッスルッホイッスルッ
ホイッスルッホイッスルッ!!」
あー…たしか、ハッスルハッスル!の新技でしたっけ?<そっち方面疎すぎ;;
一回目は普通だったんですが、繰り返し部分では川岡刑事の気まぐれで「ジグザグに!」とか「ラップ調に!」などになってました。(笑)
7日からはこちらにも参加を求めたので普通でしたが、いやぁさすが皆様ノリがいいですね。川岡刑事も「お前らサイコー!!」と叫ばれてました。
川岡「よーーし、探せーー!!」
警官たち「はい!!」
ひとしきりやり終えた警官たちは、それぞれに捜索を開始!
婦警さんたちはそれぞれ上手、下手に下がり、警官だけが土手の上を捜索しています。
そして川岡はこちらに向き直り…
川岡「本日初日ということで…初日だフォーーッ!!」
今度はレイザーラモンですか!!<流石に知ってたらしい
これは日を追うごとに変化していきました。二回目フォーーッ!!とか三回目フォーーッ!!です。そんな感じで増えていきました。
ただ7日は収録日ということを気にしたのか、このネタはカットでした。
川岡「どうも〜あけまして、跳んでる花組!
…やんなきゃよかったかな;;」
ここも日替わりでした。
4日・夜は「おめでとんだ!…飛んで行きたい;;」
5日はやたらとがんばれ!と掛け声が掛かることが多く「築地警察きっての名刑事と言えば、川岡ですがここで問題です。お前ら俺の友達かぁ〜!」と叫んでました。(^^;;
6日は「おめでトウバンジャン!…みんな辛口だ;;」
7日・昼は「おめでんでんむし!!………………」でんでんむしのように丸くなってました。
7日・夜は「おめでトルネード!!…ああ、滑ったさっ!」<開き直った!?
でした。(笑)
川岡「お久しぶりです!築地警察きっての名刑事、川岡です!!」
改めて中央でポーズをとってご挨拶。
川岡!と掛け声が掛かるとちょっと満足げですね。(笑)
と、その挨拶の余韻に浸るまもなく土手の上を捜索していた警官の笛が響きます!
警官「川岡刑事!怪しいヤツがいるであります!」
川岡「(振り返って)なにぃ、捕まえろ!」
警官「はっ(土手の奥、川辺に手を差し出して)君、こっちに来るであります!
よいしょっ…と、え、うわぁぁーー!!」
掴まれた腕でそのまま川へと引きずりこまれる警官!!ばっしゃーんっという水音に川岡刑事の叫びが重なります。
川岡「木村ーーー!!!?
どうして現場に血が流れるんだー!!」
それはどっかの名台詞!!(^^;;
木村「大丈夫であります!!血は、流れてないであります!」
ざばっと飛び出して、土手に這い上がってくる木村警官。でも息も上がってるのでかなり大変そう。
手を貸すためにすかさず土手の上へと移動する川岡刑事でしたが、木村警官の足が地面に上がった途端…
助け起こそうとした手を解かれ、そのまま首を締められてしまいます!
川岡「ぐっ……な、何をする……」
警官「またハエにしてやろうか…川岡?」
川岡「お、お前は…!!ぐっ」
幻夜斎「ふははははは……!!」
警官の姿をした幻夜斎に両手で首を絞められてしまう川岡刑事。
そのまま暗転となり、紗幕が下りてきます……開始早々から今までのお正月とは違う緊迫感ですね…
さて、紗幕が下りました舞台は所変わって銀座の街並み。夏に登場した銀座の街並みの背景の中、刈上げ頭に丸メガネの手に巾着、扇子を持った着物の男性がほとほと困った、という様子でため息をつきながら下手からとぼとぼと歩いてまいります。
そこに上手から大事そうに風呂敷包みをもった親方が登場して舞台の中央辺りで声をかけます。
親方「あ、こりゃどうも!山城屋の若旦那!今年もよろしくお願い致します。」
若旦那「ああ、親方…よろしくお願いいたします。……はぁ〜」
挨拶もそこそも、またもため息をついて表情が曇ったままの若旦那。
もちろん人の良い親方、気になりますよね。
親方「どうかなさったんですか?お顔の色がすぐれませんが…」
若旦那「ああ、なんでもないよ。なんでも…」
そういう様子じゃないんですがね…ですが、若旦那が言おうとしないのでそれ以上聞けない親方は首を捻りつつも歩き出そうと一歩踏み出すと
はたと気づいた若旦那が親方を慌てて呼び止めます。
若旦那「親方!(はい?と振り返る親方)
あなた、ダンディ団と仲良かったわよね?」
親方「いや、仲が良いってほどじゃあないでがね。」
若旦那「ちょっとちょっと!(親方の腕を取って、舞台中央に引き寄せる)
(周りを一度警戒して、扇子で口元を隠す)…ダンディ団に武田っているでしょ。」
親方「はい。」
若旦那「(少し離れて)あれが最近性質が悪いのよ〜〜いきなり、みかじめ料を値上げしてね!」
親方「みかじめ料?」
若旦那「ああ、この界隈で悪さする奴らを追っ払う、取り締まり料みたいなものかな。
まぁそれいいんだよ、古くからの約束事だから!
ただ今回はイキナリのことだったから銀座の旦那衆はみんな困ってるんだよ〜」
親方「はぁ〜…そうだったんですか。」
若旦那「(扇子で扇ぎながら上手へ数歩行ったところで振り返る)…親方。
なんとかしておくれでないかい?」
扇子を向けられ、訊ねられますが親方は手を振って遠慮の意を示します。
親方「いや、あっしはしがない裏方ですから〜」
若旦那「そこ!!そこがいいんだなぁ〜親方のそういうところが!
あんな立派な大帝国劇場を裏で支えてるってのに「あっしは、しがない裏方ですから」って
そうそう言えた台詞じゃないよ!
いよっ歩く人徳!走る男気!後光が差してる眩しいよ〜!!」
おお、褒め殺しですな。(^^;;
最後の褒め文句では親方も乗っちゃって歩く人徳ではちゃんと歩き、走る男気では走り、後光が差してるでは下手側の階段前辺りで立ち止まって「ピッカーン!」と頭が光ってるさまを自分で表現してました。(笑)
上手く親方を乗せたところで、若旦那はさらに追い討ちをかけるべく親方の手を取ります。
若旦那「ね、この銀座界隈の旦那衆はみんな親方を頼りにしてるんですから!」
親方「いや、あっしはそっちの方はどうも不調法でして…」
若旦那「そこを曲げてなんとかお願いするよ!ね!」(親方の前で手を合わせる)
親方「いえそんなことしちゃいけませんよ!あっしは仏様じゃないんですから…」
若旦那「いいや!ここで会ったのは仏様のお導き!ほら、この通り!!」(さらに頭を下げて手を合わせる)
親方「で、ですから…」
若旦那「これでもダメかい?(扇子と巾着を落として)じゃあ、伏してお願いするよ。
ほら!この通り〜!!」
平に平にと土下座までされては、親方ですもの。困り顔の次には
親方「よ、ようがす!!引き受けましょう!(えっと顔を上げる若旦那)
あっしがダンディ団に掛け合ってみます。」
嫌と言えないお人よし。聞きたかった言葉を聞けた若旦那は巾着と扇子を拾ってぴょんっと立ち上がると親方の手を握ります。
若旦那「そうかい!引き受けてくれるのかい!」
親方「ええ、日頃お世話になってる若旦那の頼みだ、ここはあっしに任せてください!」
若旦那「いや〜〜ありがとう親方!ありがとう!!
…それじゃあ、親方…頼みましたよ?」
親方「はい!」
若旦那「お願いしましたよ?」
親方「…はい!」
若旦那「ありがとっ良かったぁ〜〜」
これで一安心、と表情が緩みきってる若旦那とは違い、引き受けちゃったなぁとやれやれといった雰囲気の親方が歩き去ろうとしたとき
思い出したように若旦那がまた声をかけます。
若旦那「ああ、親方!」
親方「はい。」
若旦那「(着物の上着の裾に手を入れて)これこれ。はい、お年玉。」
親方「いやいや、そんなことしちゃいけませんよ。あっしはガキじゃないんですから。」
すいっと差し出されたぽち袋を、親方は最初は断るのですが、そこを若旦那は強引に手に握らせます。
若旦那「いいじゃないのさ、たばこ銭だよ。あたしに恥をかかせるんじゃないよ!」
親方「そ、そうですか?じゃあ…ありがたく、頂戴いたします。」
恥をかかせるなと言われちゃあ、受け取るしかないですね。
受け取った親方にうんうんと満足げに頷いた若旦那は扇子で扇ぎながらすすっと親方の半歩後ろへと位置取りします。
若旦那「それじゃあ、親方…よろしくお願いしましたよっと!」
親方「あ、万々承知、しましたよ〜っと!」
若旦那「ちょんと!(広げた扇子を親方の頭に少し当てる)」
見得を切るような芝居がかった口調で二人でポーズを決めると、若旦那は「ああよかったよかった〜〜」と着物の裾をあげてスキップで上手へと去っていきました。(笑)
残された親方は頂いたお年玉を腹巻にしまいつつ、舞台中央辺りでこちらを見ます。
親方「…とまぁ、引き受けちゃあみたものの…さてさてどうしたものかと、思案橋。
うーん……(はた、と自分の持っている風呂敷包みを見て)いっけねぇこいつを早く届けないと。」
思わぬところで話を聞いてしまった親方ですが、もともとはお使いの最中だったみたいですね。
急いで目的地へ向かおうと足を数歩進めたところで、あることに思い当たりました。
親方「そうか、この先がダンディ団の事務所だったな……ちょっと、覗いてみるか。」
さすが親方、律儀ですね。少し辺りを見渡してから下手へと走っていきました。
舞台に誰もいなくなったと同時に暗転。舞踏会のような音楽が流れる中、紗幕が上がるとそこは立派な洋館の応接間。
部屋の端左右には真っ白なバラのモチーフ。
壁にかけられた絵は先進的な具象画のものもありますが、部屋の中央奥にある暖炉の上にある絵画は日本の女性を写実的に描いた絵ですね。
舞台中央に置かれたテーブルの上にはフルーツの盛り合わせがあり、椅子が三人分。
下手にも二人掛けの椅子とともに丸テーブル、上手側にはソファーが。
さりげなく置かれた調度品は中国の壺であったり欧州の飾り皿であったりとまぁとにかく豪奢。
カンナ「すっげーーー!!」
そう声を上げたのはテラスにある椅子の上から庭を眺めているカンナ(冬服)!室内下手側の紅蘭(冬服)も周りの調度品に興味深々と見渡しています。
そしてソファーにリラックスして座っているマリアさん(夏服)も、やはり関心している模様。
カンナ「すっげーー!すっげー!も一つオマケにすっげーー!!」
紅蘭「いや、ホンマすごいなぁ〜」
マリア「松平侯爵のお屋敷だったんですって。」
紅蘭「えっ!すみれはん…貴族はんのお屋敷買うてしまったんですか?!」
マリア「(頷いて)すみれらしいわね。」
大帝国劇場じゃないなぁとは思ってたんですが、ここはすみれの新邸宅だったんですか!!
はぁ〜〜…納得です。さすがすみれさま。
叫びながら室内に入ってきたカンナをたしなめるべく声をかけるマリアですが、カンナの興奮は収まらない様子です。
カンナ「いやだってすげぇよ、どっからどこまでも全部庭なんだよ!で、その奥が森でよ!!」
マリア「カンナ、落ち着いて。」
カンナ「いやだってすげぇよ…こりゃもう、すみれ王国だな。
(下手側の椅子に座りながら。)あきれ返っちゃって顎外れちまうよ。」
紅蘭「お金があるって、エエですな。(カンナの隣に座って少し茶化すように)」
カンナ「まぁな。でもよ、あるとあるで苦労も多いと思うぜ。」
マリア「そうかもね。」
で、この三人はその新しい邸宅に遊びに来てるんですね。他の皆さんはどうしちゃったんでしょう?
後から来るのかな。(ちなみに、カンナが座っている椅子の背もたれには紅蘭の肩掛けバッグがかけられています。)
カンナ「は〜喉渇いちゃったな。ブドウでも食〜べようっと!」
立ち上がって中央のテーブルにあるフルーツの盛り合わせの中からブドウを一房丸ごと掴んであーんと口をあけてそのまま食べようとするカンナですが
その様子を見たマリアさんが慌てて止めに入ります。
マリア「あ、もう!下品なんだから…そこの取り皿に取って食べたら?」
カンナ「そうかい?じゃあもう一つ…(ブドウ二房を取り皿に乗せる)」
マリア「もう、一度にそんなにたくさん…」
カンナ「武道家だけに、ブドウが好き!なんつって!」
お、けっこう上手いと思ったんですが親父ギャグの部類なのでマリアさんは「もぅ…」と呆れるだけで終わりました。
で、ブドウを二房もったカンナはその皿を左手で持って、もう片方の手にはまた別のフルーツを。
カンナ「お!洋ナシだ。あたい洋ナシ好きなんだよなぁ〜(テーブルを離れて舞台手前へ)
ようなしって、誰のことだ?」
マリア「あなたよ。」
カンナ「ふぇ?(マリアを振り返る際、手を滑らせてしまう)ああ!!」
するっと滑らせて見事にお皿は真っ二つ;;
あああ…なんだか嫌な予感が…ってかマリアさん、さりげなくひどいツッコミですな。(^^;;
マリア「(紅蘭と一緒に立ち上がって)もう、言ってるそばから…」
カンナ「(洋ナシをテーブルの上に置いて割れた皿を拾う)ああ、こりゃあすみれに怒られちまうな。」
マリア「後でちゃんと謝るのよ。」
カンナ「はぁ〜い。」
紅蘭が一緒に落ちたブドウを取ってテーブルにあるまた別の取り皿の上に置いたりしていると、ここの家主さんが
下手の出入り口から颯爽とやってきましたよ。
すみれ「まぁまぁみなさん、お待たせして申し訳ありません〜」
笑顔でやってきたすみれ(夏服)に反射的に割れた皿を自分の後ろに隠してしまうカンナさん。
まぁ、そりゃ言い出しにくいですよね…
カンナ「ま、待った待ったいっぱい待っちゃったな〜っと!」
すみれ「(手を顔の前で合わせて)ごめんなさいね、カンナさん。今築地警察の刑事さんがいらしてまして」
マリア「築地警察?」
築地警察、という場所に目を合わせるマリアと紅蘭。花組とは少なからず縁がある場所ですからね。
ですがそれを知らないすみれさんは普通に受け流しています。
すみれ「いえね、たいした用じゃございませんの。なんでも引越しの調査とか。
ふふっ野暮用が多くて困りますわ。さ!後のことはメイドに任せておきましたから
もう大丈夫ですわ。」
座ってくださいまし、と手で示したすみれさんが中央のテーブルの真ん中に座り、上手側の椅子にマリアさん。下手側の席に紅蘭が座ります。
カンナはお皿をもったままちょっともじもじしてたんですけど、座らないわけにもいかないので先ほどまで座っていた下手側の椅子に腰掛けました。割れた皿は一見ではわからないようにテーブルの上に置いてあります。
と、ここで下手から親方が登場してきました!親方のお使い先はすみれさんの家だったんですね。
親方「どうも〜!遅くなりまして!(すみれ以外の面々を見て)
あれ、マリアさんに紅蘭さん…あ、カンナさんもいらしてたんですか。」
カンナ「う、うん!いらしてたよ!」
マリア「どうして親方がここに?」
すみれ「いえね、わたくしがお電話を差し上げたのですよ。
なんでも親方の御近所に美味しい人形焼のお店があるとかで。」
カンナ「えっ?人形焼!?」
食べ物の話題にには食いついてきますね、カンナさん。(笑)
風呂敷から若草色の箱を取り出して、それをすみれさんに渡します。
すみれさんが蓋を開けると良い焼き色でずらりと並ぶ人形焼が。
親方「50個買ってきました!」
紅蘭「ホンマご苦労はんやなぁ〜」
親方「いえいえ…あ、あったかいうちに食べてください!」
わぁ、と盛り上がる面々。中でもカンナが一番食べたそうです。(笑)
すみれさんが立ち上がったので、テーブルの真ん中に座ると早速手を出そうとしまうがマリアにまだダメ!と手を叩かれてしまってます。(^^;;
マリアさんがすっかり保護者モードですね。
で、その立ち上がったすみれさん。上手の奥にあった食器棚の上に置いてあった茶色の袋を持って親方のところへ。
すみれ「親方、忘れないうちに…はい、人形焼のお代。」
親方「あ、こりゃご丁寧にありがとうございます。(受け取った途端、表情を変える親方)
…す、すみれさん。こりゃちょっと多いですよ。」
すみれ「よろしくてよ。」
親方「いやいや、よろしくないですよ!」
さすが律儀な親方、そんな親方ではとてもじゃないけど受け取れる額じゃないお金がその袋の中には入ってるのですね。
うろたえる親方に、すみれさんはただただ笑顔を浮かべています。マリアと紅蘭もそれを見守って……カンナだけは人形焼の方も気になるみたいですね。(^^;;
マリア「御祝儀よ。」
親方「で、でも…いくらなんでも多すぎですよ。」
すみれ「お休み中の親方に無理言って買ってきてもらったんですもの。当然のことですわ。」
すみれさんに笑顔で手を握られていても
それでもまだ躊躇する親方の背中を、マリアさんが後押しします。
マリア「貰っておいたら?」
カンナ「いただきまーす!」
マリア・紅蘭「あ…!」
いやカンナ、そのお許しじゃないから!(笑)目にも止まらぬ速さで人形焼を一つぱくっと口に入れると素早く立ち上がって先ほど座っていた下手側の椅子に向かいます。
で、その前では親方がようやく頷いてくれましたよ!
親方「そ、そうですか……じゃあ、ありがたく!(頭を下げて袋を頭上に上げる)
(袋を大事そうに懐にしまう)それじゃあ、あっしはこの辺で!」
すみれ「あ、親方…よろしかったらお庭でも見ていってくださいましね。」
そのまま帰ろうとする親方を下手側の庭へと出る出入り口へ案内したすみれさん。
この間にカンナさんは完全にもとの位置に戻っています。
親方「そうですか?じゃあ、失礼して…見させてもらいますね。」
豪邸の庭の意匠というのは、裏方として興味があるのかこちらは嬉しそうに行きましたね。
下手の出入り口から庭へ出た親方は「すごい庭だ〜〜!!」と言いながら上手へと下がって行きました。
舞台には再び四人だけになったところで、マリアさんが一言。
マリア「…さすがね。(なんのことですの?とすみれさんが顔を向ける)
親方は劇場お休みだと、お給金出ないんですものね。」
すみれ「あら…そうでしたかしら?」
そらっとぼけようとしたすみれさんですが、マリアさん相手に今更ですわね。と目を合わせてすぐに笑みを交わしてました。
紅蘭「でも、ホンマすごい家ですなぁ〜…
(立ち上がって上手の奥にある壺を指す)あ!これなんか、明の時代のものですね!」
すみれ「(同じく立ち上がって)ええ、そうですの。新しく中国で買いましたの。
もう、前の家のものじゃこの家に似合いませんでしょう?もう、ぜ〜〜んぶ新調しなくてはならなくて
(一度座って、戻った紅蘭とマリアの顔を見る)大変なご苦労でしたの。」
カンナ「へっ自分で自分のことご苦労って言うかよ。」
思わずいつもの調子でつっこんでしまったカンナ。
ですが、それを気にする事無くすみれさんはさらに喋ります。
すみれ「あ!カンナさん!!(テーブルに割れたお皿があるからビクッとなるカンナ)
その絵!(下手側の壁にかけられている具象画の絵を見て)
ピカソという若き天才画家の絵なんですのよ、カンナさん!(カンナの肩に手を置く)
(にこにこした顔で絵を見上げる)最近神崎重工がパトロンになりまして
そうしたらピカソさんがわざわざ送ってくださいましたの〜!」
カンナ「こ、この変な絵お前が描いたのかと思ってたよ!」
すみれ「そうそう(カンナの所から途中にいた紅蘭の手を取って上手奥の食器棚へと)
この食器類も全て英国王室から買い取りましたの。
(手をいっぱいに広げて)この家より高くつきましたわ〜〜!!」
紅蘭「食器が…!この家より、高い!!?」
すみれの高らかな宣言にさっと青くなる三人。だって…
カンナ「あーーーーーーー!!!」
さっきカンナが1枚割ってしまいましたものー!!(汗)
思わず立ち上がってこれが家より高い!?と割れた食器を手に持って高く上げてしまうカンナさんですが
すぐに手を下ろして先ほどは咄嗟に、でしたが今度は意図的に食器を隠して挙動不審はいりましたよ。(^^;;
で、すみれさんはカンナの大声に驚いて振り返ったので割れた食器には気づいていません。
すみれ「なんですの?」
カンナ「あ、あ、あの…!(後ろに隠しながら横歩き)
も、もう一度お庭を見てこようかなぁ〜〜って;;」
すみれ「お庭って…もう、カンナさん。
こちら(先ほどまで紅蘭が座っていた席)におかけになってくださいまし。
人形焼はお嫌いですか?」
カンナ「う、ううん、すきだよ…」
すみれ「それでは、はい。(人形焼を一つ手にとって)あ〜〜ん。(言われるままに口をあけて食べるカンナ)
まだお飲み物もお出ししていないのに。お庭はお茶を召し上がってから。
(暖炉の上にある呼び鈴を手にして)誰か〜〜!」
すみれさんが背を向けて、下手から現れたメイドの一人のもとに向かったところでカンナは立ち上がって
割れたお皿を形だけは割れてないように合わせて、それをハンドルに見立てて舞台を横移動。
マリアの横に立ったときに、ブレーキをかけてギアを戻してはいどうぞっと自然な動きでマリアにお皿をパスすると、脱兎のごとく真後ろの上手側の庭へ出る出入り口の壁へと走る!
渡されたものを一拍置いて理解したマリアさんは明らかに動揺して、慌てて立ち上がると、ソファーに腰掛けていた紅蘭にパス!(笑)
すみれ「皆様に何かお飲み物を。今日は…東インド会社の王室御用達ので。」
メイド「かしこまりました。」
カンナ「おう!あたいは泡盛がいい!泡盛!」
すみれ「泡盛はございませんわ!」
手があいたカンナは楽〜な気持ちで飲み物をリクエスト。振り向いたすみれさんにも笑顔です。
マリアさんは間一髪席に戻ったのでムダにカッコつけてます。(笑)
そして、只今貧乏くじを引いてしまった紅蘭は…
紅蘭「あー!!(立ち上がって客席方面の上を指差す。皿は胸に抱えて見えにくく)
あんなところに青い鳥が!!」
カンナ「えっ!?どこどこどこどこ?!」(一番のりで紅蘭の横へ駆けてくる)
紅蘭「こーこ!」(隣のカンナの手にぽんっとお皿を乗せる。)
カンナ「ありがと。」
紅蘭「あっれ〜?見間違いやったかなぁ〜〜(ぱちんと指を鳴らして)ざーんねん!」
全員の視線が紅蘭の見ていた方向に注がれてる隙に、ささっと後ろに下がる紅蘭。
うまいことやりましたね。(笑)
巡り巡って自分の手に戻ってきたお皿に気づいたカンナは慌てて誰かに渡そうとしますが、今度はマリアさんも紅蘭も受け取りません。(笑…紅蘭はあっかんべー!までしてますし。)
そのまま三人は中央のテーブルの側に行ってしまったので、カンナは一人上手側であわあわと割れたお皿をもてあましています。(^^;;
そしてまったく気づいていないすみれさんは楽しそうに手を合わせてマリアの方を見ます。
すみれ「そうですわ!マリアさんにはチップトリーのブラックカラントをご用意いたしますわ。」
チップトリーというのは英国の高級ジャムのブランド名。ロシアンティー用ですかね。
マリア「ありがとう、すみれ。でも…(下手側の椅子に腰掛けて)
正月早々私たちを呼び出すなんて、何か重大な話があるんじゃないの?」
今までくつろいだ雰囲気でしたが、マリアさんの確信を付く言葉に、上手側の椅子に座った紅蘭も中央に座ったすみれさんの顔を見ます。
で、ちなみにこの間カンナは何をしていたかというと、上手側のバラのモチーフにお皿を刺して、同化させようと頑張ってました。(笑)
すみれ「…流石はマリアさん。おっしゃるとおり、重大なお話が―――」
カンナ「あぁーー!!」(上手くカムフラージュしようとして玉砕!お皿が音を立てて落ちました;;)
すみれ「カンナさん?」
お皿の落下音に話の腰を折られたすみれさん。ようやくカンナに気づきましたが、軽くパニック状態に陥ったカンナが取った行動は
カンナ「コケッ!!」
右手に持ったお皿を頭に立てて鶏冠に見立て、左手に持ったお皿を尾に見立てて、ニワトリのマネでした。(^^;;
そのまま、上手から下手の階段前へと鳴き真似をしながら横断!!
カンナ「コケーッコッコッコ!!」
すみれ「いったい何のマネですの?」
カンナ「青い、鳥…?」
三人「はぁ?」
苦し紛れのカンナ。ここまでくるともう正直に言うしかないですね;;
カンナ「あ、あのな、すみれ……こ、これ…」
すみれ「なんですの?」
カンナ「ウィーーンッガショッ!!(二つのお皿を合わせて)パリーーンッ!!(割った!という事実を見せる。)」
すみれ「………………あーーーーーー!!!!」
思わず立ち上がってのすみれさんの叫び声に驚いて、マリアと紅蘭も釣られて叫び声を上げてしまいます!
とうとうばれた!その声にカンナはお皿を舞台中央に置いて、精一杯の謝罪の言葉を並べます。
カンナ「ご、ごめんすみれ!!英国王室から取り寄せた高い皿なんだろ、わかってる!
弁償する!毎月のギャラから必ず払うから!!
すみれ〜〜!!ごめんよぉぉ〜〜!!!」
最後は土下座してとにかく謝るカンナさん。そんな様子をすみれと交互に見ていたマリアと紅蘭ですが、すみれさんはやれやれ、といった顔の次には笑みを浮かべていました。
すみれ「おっほほほほ…そんなことでしたの。(え?と顔を上げるカンナ)
(カンナとお皿の前に移動して、割れたお皿を手に持つ)お皿なんて使っていれば
割れもしますし、壊れもします。お気になさらないでよろしいのですわ。
(カンナを立たせて)それより、どこもお怪我はございませんでしたか?」
カンナ「……怖い…」
終始優しい、人の出来た発言をするすみれさんに思わず本音が出てしまったカンナさん。(^^;;
すみれさん、まるくなりましたねぇ…マリアと紅蘭もちょっと意外そうな顔してましたし;;
もちろん、すみれさんがむっとしたのは言うまでもありませんね。
すみれ「なんですって!?」
カンナ「くらい、優しいなぁ〜って!」
すみれ「んもう、一言多いのですわ!!」
あはは、と笑う紅蘭に和やかな雰囲気となった中、二人のメイドさんが下手の出入り口からトレイの上にティーセットをのせて入ってきました。
よかったぁ〜〜と心底安心したカンナが先ほどまですみれの座っていた中央の席に座ったあたりでメイドたちがお茶の準備を整えていきます。
その一人にすみれさんは割れたお皿を手渡します。
すみれ「これ、わたくしが割ってしまいましたの。
あとで純金で繋ぐよう、手配しておいてください。」
メイド「(お皿を受け取って)かしこまりました。」
紅蘭「さすがやね。割れた皿は純金で繋ぐと、景色が良うなるんや!」
昔から焼き物の欠けや修繕に口に含んでも害の無い純金を使用してその傷すらも味として活かす粋という、そいうい意味合いですね。
すみれさんもそのとおりですわ。と紅蘭と頷きあっています。
マリア「…ねぇ。大事な話って?」
ここで、話が一段落したタイミングを見計らってマリアが当初の話題へと戻します。
話を切り出されたすみれさんは一拍置いてカップをそれぞれの目の前に配り終えたメイドの二人へ声をかけます。
すみれ「……あとはわたくしがやりますから、下がっていてください。(メイドの二人、一礼して下手へ)
………実は…昨年、大帝国劇場を襲撃した根来幻夜斎が、生きているという情報です。」
下手の階段前でそう告げたすみれさんにスポットが当たり、予想もしていなかった話に三人は顔を見合わせます。
カンナ「だって、あいつは隊長が切ったじゃねぇか。」
マリア「どういうことなの?」
すみれ「(テーブルに近づき)驚かないで聞いてくださいましね。
…(上手へと歩きながら)わたくしも、最初この話を聞いたとき、正直自分の耳を疑いましたわ。
我が神崎重工も、月組とまではいかないまでも情報機関をもっています。……独自に調べさせました。
(振り返って)あの根来幻夜斎は、百数十年前に…死んでいるのです。」
カンナ「……ど、どういうことだよ…」
紅蘭「ゆ、幽霊って事ちゃいます?」
カンナ「(立ち上がって)冬の幽霊…ふゆうれい〜…」
ちょっとおどけてみせるカンナですが、事態が深刻なのは重々承知。
それがどういうことなのかをこれから話し合うのかと思ったところで突然がっしゃーーん!!!と物凄い音が!!
それぞれに悲鳴を上げながらすみれさんはしゃがみこみ、カンナ、紅蘭は下手側へ飛び去り、マリアは上手側のテーブルの影に位置取りをしますが…
アイリス「さくらがまた転んだ〜!」
明るい声と笑顔で下手から入ってきたのはアイリス(夏服冬仕様)!舞台の照明も通常に戻りました。
続いて入ってきたさくらさん(冬服)はわざとらしいまでの笑顔で行進して舞台の中央、やや下手側で止まります。
そしてそのさらに後ろ、最後に入ってきたレニ(夏服冬仕様)は心配顔です。
カンナ「なんだよ、脅かすなよ〜!」
レニ「さくら…大丈夫?」
さくら「…(ちらっとレニを見て右ひざをさする)さすがに痛い;;」
すみれ「まったく、相変わらずのドジっぷりですこと。(さくらに近づきながら)
田舎の方にはペルシャの絨毯が足に馴染まないようですわねぇ。」
いつもの調子でそう言ったすみれさんですが、さくらんはあからさまに機嫌を損ね…
さくら「はい、そうです〜!!(え?とすみれさんが顔を上げる。)
なにも家中にこんな分厚い絨毯をひかなくてもいいと思います!
絨毯にはほこりがたまりますし、日本人には畳の方がいいと思います!!」
カンナ「賛成〜!」
最初はそう返されるとは、とちょっと気にしてた風のすみれさんですがさくらの猛反論とカンナの妙な横槍に徐々に険しい顔になって、最後にはふんっと顔を背けてしまいました。
さくらさんも言うようになった…ということでしょうか;;
マリア「ねぇ…今大事な話をしてたんじゃないの?」
レニ「大事な話って?」
見かねたマリアさんが再び会話を軌道修正させると、そのやや後ろでマフラーを取ったレニが聞いてきます。
紅蘭と一緒にソファーに座ったアイリスも、さくらもマリアに視線を注ぎます。
マリア「実はね………かくかくしかじか!」
出た、究極の省略法!(笑)
でもちゃんと伝わって、深刻な内容なので全員真面目な顔で話し合いを進めます。
レニ「でも……まさか幽霊だなんて。」
さくら「もしその話が本当なら、幻夜斎は悪霊じゃないでしょうか…」
マリア「悪霊?」
さくら「はい。悪い恨みの念がたまった幽霊です。
悪霊はとてもやっかいなものだと、祖母から聞いています。」
マリア「ということは…支配人に切られて恨みの念が強くなったということかしら。」
すみれ「たぶんね。」
紅蘭「そら逆恨みやで!」
アイリス「幽霊……怖いよぉ〜!!(隣の紅蘭を掴んでぶんぶんゆする)」
紅蘭「だ、大丈夫やアイリス!」
マリア「とにかくこの事を支配人に知らせないと。」
さくら「あ、あたしが行きます!」
挙手をして、下手へと駆け出そうとするさくらを、カンナが呼び止めます。
カンナ「行くってどこにだよ!支配人、昨日の夜からどっか行っちまってるぞ!?」
さくら「とりあえず、劇場に行ってみます。」
カンナ「よし!あたいも行こう!」
マリア「私も行くわ。すみれ、後のことはお願いね。」
すみれ「わかりました。」
バタバタと走って下手へと去っていく三人。って大神さん、あれから劇場に帰ってないんですか!?
大丈夫でしょうか……マリアに後を任されたすみれさんは頷いて残ったレニ、紅蘭、アイリスを見ます。
アイリス「……大丈夫かな…」
紅蘭「心配あらへん、こっちが先に情報を手に入れたんや。十分、対処できる!な?」
不安げなアイリスを、いつもの笑顔で和ませる紅蘭。このまま何事も無く終わるかと思った次の瞬間
メイド「大変です、お嬢様!刑事さんが……刑事さんが…!!」
すみれ「どうなさったの?」
動転した一人のメイドさんが下手でそう叫ぶと、その後ろから胸を押さえて苦しそうな川岡刑事が部屋に入ってきて
紅蘭「川岡はんや!(レニとアイリスと目を合わせる)」
メイド「お話をしていたら、急に苦しみだして…!」
そのまま上手のテーブル前で倒れる川岡刑事!!慌てて全員が川岡刑事のもとへと駆け寄って容態を確認します。
紅蘭「川岡はん!大丈夫かいな!?」
レニ「(左手首を持って)……脈は正常。」
ということは、命に別状は無いだろう。と頷いた紅蘭たちですが、アイリスがあたらな気配に気づいて顔に緊張を走らせます。
アイリス「はっ……」
レニ「どうしたのアイリス?」
アイリス「感じるよ…あいつを……!!」
すみれ「なんですって!?」(レニ、紅蘭も息を呑んで警戒)
アイリス「うわあぁぁ!!この部屋にいるよぉ!!」
中央のテーブルに両手をついて怯えるアイリス。その叫びにあわせるかのごとく、アイリスの隣にいたメイドが隠し持っていた小刀でアイリスに切りかかります!
メイド「ええぇい!!」
レニ「危ないっ!!」
咄嗟によけたアイリスは次の攻撃もかわしつつレニの側へ。メイドの隙をついて反撃するレニ。
すみれ「おのれ曲者!!だれか、薙刀を!!」
その間にすみれさんは部屋の奥へと下がり、暖炉の前を通って上手へと移動。途中、上手から素早く薙刀を持ってきた男の使用人から己の武器を受け取ると「下がってなさい。」と使用人を下げさせて上手の階段前で構えます。
紅蘭も肩掛けバッグから銀色の金網みたいなもので作られた団扇のような形のものを取り出して構え、アイリスを後ろでかばうレニが舞台中のテーブルの前で項垂れているメイドに告げます。
レニ「お前……幻夜斎だな!」
幻夜斎「くっくっく…(ゆっくりとした動きでテーブルを回り、暖炉の前へ。)
その小娘の霊力を貰う!(刀の切っ先でアイリスを示す)
そうすれば、俺の力は最大になるのだ!」
不気味にエコーがかかる声。それは女の声ではなく、間違いなく幻夜斎の声!
すみれ「我が家での狼藉…許しません!」
すみれが一歩踏み出し、メイドに乗り移った幻夜斎を打とうと動き出した瞬間、メイドの肩がびくっとすくんで喉を押さえて苦しみだしました。
メイド「お、お嬢さ…きゃああぁぁぁっ!!」
メイドさん本人の声でそう叫ぶと、ふっと気を失って倒れてしまいます。それと同時に、暖炉の上から煙が吹きだして、暖炉の上に幻夜斎が表れる!!
(舞台の機構としては回転戸です。煙に乗じて壁を回転。その裏から登場しました。)
登場と共に、照明が暗くなり異様な雰囲気を表しています。
レニ「幻夜斎…!!」
真っ白い死人の顔に大きな傷跡で一同を見渡し、すっと暖炉から飛び降りる。
幻夜斎「ふふふ…(足元に転がっているメイドを踏みつけて)この女の体を借りたが…
(軽く蹴飛ばして、下手側の椅子に足をかける)どうにも、動きが悪いっ」
すみれ「ええぇーーい!!!」
なるほど、だからご自分の姿で現れたと…そう理解すると同時に切りかかったすみれさんですが、幻夜斎は薙刀をするりと交わしてそのまま戦闘開始!!
舞台の前方で一騎打ちをしているすみれと幻夜斎の様子を注意深く見つつ、アイリスは倒れたメイドに駆け寄りますが、その後に続いたレニに「アイリス逃げて!早く!!」と押され、そのまま下手へと走っていきました。アイリス自身はメイドが気になっているようですが…アイリスを避難させたレニは部屋の隅にあったステッキを臨時の武器として手にとって応戦。
すみれ、紅蘭とともに幻夜斎を囲みます。
すみれ「……一歩も行かせません!!」
すみれが薙刀を振るい、レニがステッキを突き出して幻夜斎に膝を付かせた瞬間を見逃さずレニが紅蘭を呼びます。
レニ「紅蘭っ!」
紅蘭「しびれん棒くんーー!!はい!!」
と、先ほどから防御にも使っていた発明品を幻夜斎の肩に当てると…幻夜斎の体に電撃が走る!!
紅蘭「科学の力や〜!!…どないや!?」
ある程度電撃を浴びせた紅蘭は、様子を伺いつつ三歩分の間合いを取り幻夜斎を再び囲む。
レニが攻撃を繰り出し、すみれが薙刀を突き刺して勝負あり!!
幻夜斎「くっ…おのれぇ!!」
この場は不利と判断したのか、幻夜斎は再び暖炉の前へと移動し、気合の声と共に再び噴出した煙に乗じて消えます。
(今度は暖炉の中、火が燃えている様子が描かれた布をめくって裏に消えた模様)
辺りの空気が落ち着いてきたのか、照明も元に戻る中、構えをとく面々。
紅蘭「あ、あぶないとこやった…」
レニ「たぶん…あいつはまだ生きている。」
庭先を覗き、警戒するレニ。ですが、周囲にはもうすでにいないようです。
倒れたメイドの肩をゆする紅蘭を一瞥してすみれさんは薙刀を持ったまま下手の階段前へ。
すみれ「皆さん…注意してください!」
まだまだ油断がならない警戒態勢のまま、暗転。紗幕が下ります。
でも、幻夜斎は相当に弱っているのかもしれませんね。
それともすみれさんは光武に乗れるほどの霊力が無くなっても、それでもまだ常人よりははるかに強い霊力を持っているということでしょうか…でも一先ず撃退できてよかったです。
第一幕その2へ
「書棚」サクラへ戻る