二人が石段を上りかけたその時…何処からともなくサンバなリズムが!!
下手から肩掛けバックをした武田がタンバリンを持って踊りながら登場!!
いよっ待ってました!!(^^)

武田が踊って笛を吹こうとすると、寒気に襲われたらしく、見返り稲荷神社の前で身震い身震い。

武田「夏風邪でもひいたかな?
   おおっといけねぇ、練習しねぇとな。」

笛を口に当てて吹こうとすると…

織姫「ピーーーーーーー!!」

笛の代わりに織姫の声が。
驚き振り返る武田。

武田「なんだ?また寒気が……」

織姫「武田じゃないですか〜」

武田「なんだ、花組の織姫さんか…」

織姫「こんな所で何やってるですか〜?また悪さしてるですか〜?」

武田「悪さなんてしてねぇよ。俺たちゃ今サマーベケーションなのよ。」

織姫「V発音がいいですね〜
   もう一回言ってくださ〜い。」

武田「サマーベケーション!」

織姫「ヤクザにもお休みってあるんですか〜。」

武田「俺たちゃアメリカンギャングにはあるんだよ!」

織姫「アメリカンギャングじゃないじゃないですか〜……」

そのまま武田に突っ込みを入れつづけようとする織姫を止めるレニ。
その間に、武田はすし屋の所へ……

武田「おぉい!松吉!
   松!上がるぞ。
   「はい、どうぞ。」
   こりゃどうもってね……」

織姫「なーにやってるですか、人様の家で……!」

またまた武田にちょっかいを出そうとする織姫を止めるレニ。
武田は、松吉を起こそうと揺さぶるが起きない。
そこで、店の影からなにやら取り出して……

武田「こんな所にバケツがあったりなんかして…
   おりゃあーー!!」

ザパーッと寝ている松吉に水をかける(もちろん、ふりですが……)
さすがに松吉も飛び起きる。
溺れてでもいたのか、じたばたと動く。

武田「大丈夫か松吉!?ほれ、これにつかまれ!!」

と、手を差し出す。

武田「よーし、もう大丈夫だ…ってんなわけねぇだろ!」

頭を叩いてツッコミを入れる。
それで完全に目がさめたのか、武田を見て「あっ」と声を上げる。

松吉「アニキ!」

武田「誰がアニキだよ。ったく……」

松吉「いやね、アニキ!聞いてくださいよ。
   これが酷い大雨でね……」

織姫「今日はいい天気ですよね〜?」(ここも日替わりでその時の天気)

レニ「夢の話。」

松吉の話を本気でとらえている織姫に、レニが助言。
松吉の話は続く。

松吉「隅田の堤は撤回寸前。
   白狐さんのお告げで川に女をささげれば、川が静まるってんで
   一人の花魁が「みなさんの、おやくにたてるのでありんすね…」
   って川に飛び込んじまってよぉ……」

と、夢を思い出して涙涙の松吉。
武田はそれを「はいはいそうですか。」とばかりに聞いて

武田「そんなこと言ってねぇで、親父さんの新盆の準備でもしやがれ。」

織姫「あー!ナスー!!」

武田たちの傍まで行き、そこにおいてあったお供えのナスときゅうりを手に取る織姫。
イキナリ話に乱入してきた二人を見て、松吉は言葉を詰まらせる。

松吉「ア、アニキ…!!
   こ、この方達は……」

武田「ん?ああ、帝国歌劇団の織姫さんとレニさんだ。」

さも、どうした?と言った感じで紹介する武田。
にこやかに二人は挨拶。

織姫「チャオ!」

レニ「こんにちは。」

松吉「夢見てぇだ……」

感動のあまり、一歩に歩踏み出す松吉。

武田「夢だよ、夢!!」

投げやりな感じで言い放つ武田。
それに黙ってられる織姫じゃない。首にかけてあったタンバリンを掴んで引っ張って、耳元で思いっきり

織姫「夢じゃないでーーす!!」

武田「いててててっ」

慌てて、レニが止める。
すると武田、本題に入る。

武田「おい、松吉。金返せや。
   春に貸した金だよ!ああん!?」

怖い顔で松吉に詰め寄るが……

松吉「ああー!!オバケ!!!」

何処何処??とついついあたりを探す武田と織姫。
その隙に……

レニ「あ、逃げた。」

一目散に駆け出す松吉。
レニの声に本題を思い出した武田は

武田「にゃろう…逃がすかー!!」

織姫「待つでーーす!!」

乗りなのかなんなのか…織姫も駆け出す。

レニ「ちょ…ちょっと織姫!織姫ー!」

あわててレニも後を追う。
そこへ、入れ違いで着物姿のさくらが上手から登場。けど、様子が変…?
必死な顔つきで慌てて何かを探しているようだ。
あたりの地面をきょろきょろと見回す。

さくら「おかしいな…このあたりまではあったのに…っ」

おろおろしながら探すさくらの背中に渋い声がかかる。

マリア「さくら。」

さくら「あ、マリアさん!」

マリア「お守り、見つかった?」

さくら「いえ……」

マリア「…そう……」

どうやら、さくらが落としたのはお守りらしい。
肩を落とすさくらにマリア(ちなみに、黒い夏服)は手をおき、優しい声で元気づける。

マリア「そんなに気を落とさないで。きっとみつかるわ。」

さくら「なんかあたし、いつもドジばかりで…
    皆さんに迷惑かけて……」

マリア「気にしないの。
    それより、暗くなる前に探しましょ。」

さくら「…はい。」

顔を見合わせて微笑む二人。

マリア「石段の方は探した?」

さくら「いいえ、まだ。」

マリア「じゃあ、探しましょう。」

言いながら石段を上がる。

マリア「私はこっちを探すから、さくらはそっちを。」

さくら「はい。」

マリアは上手、さくらは下手へ姿を消す。
そこに、ちょうど分かれたタイミングで上手から同じくお守りを探す冬服の紅蘭と夏服のアイリスが。

アイリス「無いねーさくらの大事なお守りー……」

紅蘭「さくらはん、ぽーっとしとるトコがありますからな〜…」

探しながら会話をする二人。そうしていると、アイリスが何かを見つけたようで…

アイリス「あ、ねぇねぇ紅蘭!これなに?」

と、見つけた物を持って紅蘭の下へ。(大体舞台中央)

紅蘭「ああ、ほうらくやな。
   豆とかを炒る道具や。」

アイリス「フライパンみたいなもの?」

紅蘭「そうやけど…こっちの方が、豆も柔らかく仕上がるんやで。」

アイリス「ふ〜〜ん……
     でも…ばっちいよ。」

そりゃ、床においてあったし…使う用途が用途だからね。
紅蘭の腕に自分の手のひらをつけながら可愛らしく言う。

紅蘭「あ〜〜〜!
   ははっ……そうか。迎え火か
   お盆やもんな。」

別段怒ることなく、紅蘭はほうらくを松吉の店の前に置く。

アイリス「あ〜ん……わかんないよぉ!!」

アイリスには聞きなれない言葉なのか、疑問をぶつける。

紅蘭「お迎え火ちゅうのはな、先祖の霊が迷わないで帰ってこれるようにたくんやで。」

ピョン、ピョン、とあの額にお札を張って手を伸ばしてジャンプしながら進むヤツの真似をしながら説明する紅蘭。
アイリスも、その動きが面白いのか、マネをする。
って紅蘭!!それはちょっと日本のお盆じゃないでーーす!!(^^;;

紅蘭「先祖の霊に、礼!」

手の甲を重ねて、手だけで「礼」をする。アイリスもそれを真似る。

アイリス「そっかぁ…!ちょうちん行列や迎え火は、先祖の霊が迷わないようにする灯台なんだぁ!」

紅蘭「そうやね。」

そこに、カンナの声が……

カンナ「ちょうちん行〜列よ〜いやさっと〜」

紅蘭「あ、カンナはん!!」

下手から夏服カンナが歩いて登場。

カンナ「よぉ!なにしてんだ、こんなとこで。」

紅蘭「さくらはんがお父はんの形見のお守りを落としたんや〜」

カンナ「そっか。そりゃ探してやんねぇとな。」

アイリス「ねぇねぇカンナ見て見て!
     お馬さん〜!こっちは…ブタさんかな?」

ほうらくの近くに置いてあったお供え物を見つけたアイリスは、ナスときゅうりの馬を手に持ってカンナに見せる。

カンナ「はははっ…違うよ、アイリス。
    行きは馬で急げ。帰りは牛でゆ〜〜っくりってな。
    牛だよ、牛!」

アイリス「すごい…すごいね!日本は!!」

興奮ぎみのアイリス。

カンナ「そっか、アイリスはフランス人やから、珍しいんだな。」

紅蘭「せやな、西洋は二進法やさかいな。神様と悪魔。
   縦と横の線に(十字をきる)
   好き、嫌い、YES、NO!
   何でも割り切れるんや。
   けどな、東洋はそうはいかへん。
   特にこの国は複雑怪奇や。」

アイリス「う〜〜ん……どういうこと?」

紅蘭「まぁ、簡単に言えば
   インドのカレーを中国の揚げパンに入れたカレーパンを食べながら
   西洋のレモネードを真似たラムネを飲むっちゅうことかいな。
   ごくごくごくごく……」

ラムネを飲むマネをする紅蘭。
この紅蘭の一連の動きは可愛くってお気に入りです。(^^)

アイリス「つまり…デタラメってこと?」

紅蘭「そうやね!」

カンナ「そういやぁ、ここんとこ親父の墓参りに行ってねぇなぁ……」

お供え物を見ながら、カンナが呟く。

紅蘭「そっか…カンナはんは沖縄の人やさかい、遠いもんな。」

カンナ「仏ほっとけ…ってな。ははっ……
    それよりも、さくらのお守り探してやんねぇとな
    紅蘭。なんか、ぽんって見つかるいい発明はねぇのか?」

紅蘭「発明ねぇ…」

アイリス「あー!!わかったぁ!!!」

アイリスの声に、二人が注目する。

アイリス「新しいお守り買ってあげよう!!」

悪びれの無いアイリスの言葉に、ちょっと言葉を詰まらせるカンナと紅蘭。

カンナ「アイリス…そういう訳にもいかねぇんだよ。
    あのお守りには、さくらのお父さんの魂がこもってるんだよ!」

アイリス「でも、ボロボロだったよ。
     新しい方がいいよぉ!!」

カンナがどう説明したらよいものかと悩んでいると、後ろから紅蘭が助け舟。

紅蘭「ああ、このジャンポールみたいなもんやね。」

と、アイリスが背負っていたジャンポールを外して、手に持つ。

紅蘭「例えば、ジャンポールが無くなったとするやろ?」

アイリス「うん。」

紅蘭「だからって代わりのクマを買ってきても、アイリス嬉しいか?」

代わりのクマで、カンナを呼び(笑)背中を押してアイリスに抱き尽かさせる。(どっちかと言うと、自分から背負わされにいった。)

カンナ「うん!そういう事だ!!」

アイリス、一瞬の沈黙。意味を理解した途端……

アイリス「…いや〜〜ぁぁ!!」

と、紅蘭の手からジャンポールを取って抱きしめる。
アイリスが動くと同時にカンナも飛び降りる。

カンナ「いや〜便利だなぁ。架空の二メートル。」(笑)

わざわざ自分から言わんでも…(^^;;

アイリス「さくらのお守り、絶対絶対見つけようね!!」

カンナ「よし!じゃあ、歩きながら探そう!
    人間は考える足であるからな!」

紅蘭「考える……足!?」

カンナ「そう!!」

♪考える足

CDで一番違和感があったけど、いざ舞台で見るとこれがピッタリ!!
(タイトルの元ネタは…哲学者が言った「人間は考える葦である」という言葉が元なのは、言うまでもなし。)
やたら印象に残っていて、頭からなかなか離れません。(^^;;


カンナ「な!」

紅蘭「なるほど!じゃあ、ウチとアイリスはもう一回向こうを探して来ますわ!」

アイリス「うん!探そう、足で!」

紅蘭・アイリス「かんが、かんが、かんが、かんが…」

カンナ「かんが、かんが……って早くいけよ!!」

紅蘭・アイリス「きゃあ〜〜〜」(^^)

さっきの歌の振り付けをしながらゆっくりと移動する二人を、カンナが急かす。
そのまま上手へ走る。
一人残されたカンナは……

カンナ「ぽてと。」

お約束の一言。(笑)
結構長く続いてますね〜〜この「ぽてと」
(「つばさ」の時からですよね。)

カンナ「じゃなかった…さてと。
    腹減ったな…飯でも食うか!
    腹が減ってはいいクソは出来ぬって言うからな!」

カンナの迷セリフは数あれど、このセリフに適うものは無いと思う。(^^;;
そう言いながら「稲荷ずし」に注文しようとするが……

カンナ「あー!いっけねぇ…あたいお足もってねぇや…
    劇場まで取りに戻るかぁ?
    !あれぇぇぇ〜〜〜???」

くるりと後ろを見ると稲荷神社のお供え物が……
この「あれぇぇ〜〜?」もカンナ独特で……発音的には「あでぇ〜〜??」のイメージの方が近いかもしれません;;

カンナ「あれあれぇぇ〜〜〜??」

お稲荷さんの近くで。

カンナ「あれあれあれあれぇぇぇ〜〜〜〜〜???」

お稲荷さんのすぐ傍で。目に映るは稲荷ずしだけ。

カンナ「食べちゃおうかな〜
    いけないわカンナ!(高い声で…って心の天使!?)
    食っちゃえ食っちゃえ!(低めの声で…心の悪魔ですかい!)
    いけないわカンナ!
    食っちゃえ食っちゃえ!
    いけないわカンナ!
    食っちゃえ食っちゃえ!食っちゃえ食っちゃえ!食っちゃえの勝ち!!
    いただきまーーす!!」

心の誘惑に負けて一口でぱくりっ

カンナ「ん!?なんだこれ…あんまり美味くねぇな。
    こっちのはどうだ?」

と、反対側にお供えしてあった稲荷ずしもぱくりっ

カンナ「まじぃ……
    でも、ま!こんだけまずけりゃ、バチはあたらねぇだろ。」

腹が膨れて満足したのか、石段を上って下手へ走る。

―――いろんな感想―――――

このお稲荷さんを食べたカンナの感想は、今回の「日替わりセリフ」にあたっていたようで…順々に紹介します。

11日夜公演は
「なんだこりゃ?辛いぞ、これ…」
「こっちは何かデカイ気がするなぁ…」

12日は
「変な味〜……」
「不味いな〜コレ。腹いっぱいだったら怒っちゃってるな、うん。」

14日夜公演は
しばし沈黙…「…変な味〜〜」
しばし沈黙……「……変な味ぃ〜〜〜」

15日は
「なんかごつごつしてるぞ…ん?
 チョコだ!まじぃーーー!!!」

17日は
「…トマト味だ。」

―――――――――――


そこへ……日傘を差して紫のバッグを持った着物のすみれさんが下手から登場。

すみれ「まったくもう…みなさん何をしてらっしゃるのかしら?
    こう暑い日が続くので、せいぜい晴れやかな気分にして差し上げようと
    桜餅をご用意しましたのに……」

ぶつぶつ言いながらあるくすみれさん。そこへ……

「稲荷ずし返せ〜〜〜!!」

何処からともなく声が!あたりを見回しても、誰もいない。
すると……あたりが急に暗くなり、御社の屋根から煙が!煙が晴れると……誰かいる!!


「コーーーンッ」

すみれ「あら?タヌキ?」

悪気は無いのよねぇ…すみれさん。(^^;;

タヌキ?「タヌキだ、ポーンポーン!…って違う!!」

すみれ「では、ネコ?」

ネコ?「メ〜モリ〜〜…ってそれも違ぁーう!!」

「キャッツ」からのネタらしいです。
まともに見たことがないので、気がつきませんでした;;

すみれ「わかりましたわ!!その声は両津勘吉さんですわね!!」

当たっているけど、ジャンルが違いますわ、すみれさまー!!!(^^;;
すると、別世界では間違いなく両さんは…

両さん?「♪テ、テ、テーレビを見る前に〜」

自分の歌…歌いましたとさ。(爆)

白狐「ってちっがあぁぁ〜〜うっ!!!
   我は400年より前からこの地に住まう白狐の霊であるぞ!!
   稲荷ずしを食ったのはお前か〜〜!!」

すみれ「食ったなんてお下品な!
    食べすぎは体に毒ですわよ。」

白狐「最近ストレスがたまってよぉ…
   夜中の3時ぐらいに起きてがぶがぶ食っちゃうんだよな……」

すみれ「まぁ、それはお気をつけなさいませ。では、わたくしはこれで……」

白狐「……って待てぃ!!」

すみれ「まぁまぁ、そう腹を出さずに…」

えっ?と目を見張る白狐。

すみれ「あ、失礼。腹を立てずに…桜餅でも召し上がりませ。」

白狐「ええい…我を愚弄するか!
   いでよ我が眷族たちよ!!」

すみれ「眷族?」

白狐が一声かけると、お社の扉から、冒頭に出てきた狐たちが踊りでる!!
すみれさんの緊迫の殺陣!さすがに流れが優雅です〜〜
日傘をたたんで神崎風塵流免許皆伝の腕前で白狐立ちを軽くあしらう。

すみれ「いったいなんなんですの?」

白狐「ええい…っ
   おのれ……これでもくらえー!!」

すみれさんが余裕で隙を見せたところで、霊力をすみれさんにぶつけ、操る。

すみれ「ぁあ!!は、はあぁぁ…!ああ!!」

眷族にバッグを取られ、日傘を取られ……そのままお社の中へ引きずり込まれる!!

すみれ「ああぁれぇぇぇぇぇぇ〜〜〜!!!!」

バタンッとお社の扉が閉まると同時に、薄暗い世界ではなく、元の昼下がりに戻る。

―――12日・夜―――

当初は行く予定が無かったのですが、行きましたので…(^^;;
この日から、白狐の役は清水よし子さんに変わりましたので……とうぜん、セリフも変わり…
登場シーンは以下の事に……

白狐「コーーーーン!!」

すみれ「まぁ、アイリス!!」

白狐「明日は〜晴れるねジャンポール♪
   って違ーうぅ!!!」

あとは、そのまま「愚弄するか!」のシーンに入りました。
この日の真打はまた後で……


――――――――――――――――――――――



そこに出てくるのは……
下手の石段の上から双眼鏡をのぞきながら歩く白い軍服姿の大神さん!
土手の向こうを見て……

大神「ヨーソロー!隅田川、波〜静かー!!」

…ふ、船の上じゃないんだからぁ〜〜〜(^^;;
それだけ叫ぶと、石段を下りて舞台中央へ。

大神「みんなどこにいっちゃったんだろう?
   長命寺にはいなかったし……」

双眼鏡を手に持ったまま、辺りを見渡す大神。
そこへ……上手から誰かが!とっさにお稲荷さんの陰に隠れる大神(何故に!?)
出てきたのは…

菊之丞「へぇ〜〜西村さんも歌が好きなんですかぁ〜〜」

西村「歌に、恋をしてました。」

薔薇組の琴音と菊之丞!そして西村!!
西村と菊之丞の会話を、稲荷ずし屋のイスに座りながら聞く琴音。

菊之丞「それで、ダンディ団に入ったんですか?」

西村「歌って踊れるギャング団なんて、そうそう無いでしょう。」

菊之丞「そうですね。」

琴音「ねぇあなた…西村さんだったわよね?」

西村「はい。」

琴音「あなた、たしか東北の出身だって言ってたわね。」

西村「ええ、岩手です。」

琴音「東京にきて、挫折したのね。……夢を、落っことしちゃったんだ。」

いつになく、まじめな琴音さん。
諭すような言葉に、西村は顔を下に向ける。

琴音「わかるわ……この東京は欲望の香で満ち溢れているから
   努力することが、バカバカしくなってくるのよね。」

本当に…真面目に語る琴音さん。

琴音「目指すのは夢。
   でも、そこに行き着くまでは現実。茨の道で…
   黄金の欄干。白銀の道。
   そうはいかないのよね……」

菊之丞「さすがは琴音さまです。人間が出来てらっしゃいます!」

琴音「何言ってるのよ!
   あたしだって……迷い道よ。
   でも、ことの歳になって…ちょっと、わかった気がするの。」

ちょっと、…で、なんだか可愛らしく首をかしげる琴音さん。

菊之丞「ですから、花組の皆さんのように…
    あの方たちのように美しくありたいと!
    報われないかもしれないけど、それでも…
    毎日お稽古しているのですものね!!」

琴音「そうよ、菊之丞。
   夢は大切よ。夢は絶対に、落っことしちゃダメなの!」

大神「いい話ですっ!!」

イキナリの大声と乱入に驚く琴音。

琴音「どっから出てきたのよ……
   ほら、ここにも…努力している人がいるわよ!」

出てきた大神の手を握り、語りかける。

菊之丞「任務とは言え、嫌な顔一つせずに、劇場のモギリをなさっているのですから!」

大神「いや、俺は……」

菊之丞「いいんですよ、謙遜しなくて!
    ……あっ」

大神の手を握っている事に気づき、恥ずかしくなったのか手をはなし、大神から離れる。
……菊ちゃんが菊ちゃんだぁ……なんか変な感じ(爆)


西村「俺……今からでも、歌手になれるでしょうか?」

琴音「なれるわよ。
   でも、そのためにはお稽古が必要よ!
   いい?人に何を言われようが決して諦めちゃダメよ!!
   さぁ……みんなで…夢を、拾い集めて…」

菊之丞「はい…!」

♪美しき者たちよ

薔薇組+西村の真面目な曲。
(大神さんもいるけれど、成り行き上、そこに留まっているだけなので……まるで今回の大神さんは「愛ゆえに」のときみたいですねぇ…)
今年は薔薇組の曲があるって聞いてたけど……まさかこんな曲だとは思っても見ませんでした。(^^;;
でも、ある意味薔薇組本家な歌かも?

菊之丞「♪私の燃える心〜
     この胸の高〜鳴り〜
     これは永遠の恋心か〜〜」

琴音「♪すべても美しき者たちへの恋心よ〜〜」

(ちょっと中略……って言いますか、すみません。覚えてません;;)

菊之丞「ああっ恋なのですね!」

琴音「そう、恋よ。」

菊之丞「告白します!」

琴音「どうぞ。」

琴音・菊之丞「♪わたし〜美しく〜ありた〜いのです〜
(西村)    美しいものを愛したいのです〜
        ああ〜これは罪なのですか〜〜

        心に秘めた〜〜
        この思いよ〜
        秘めた〜るは恋〜〜
        美しさへの〜〜恋よ〜〜」

琴音・菊之丞「♪心に秘めた〜〜
        この思いよ〜
        秘めた〜るは〜恋〜〜」

西村「♪ああ、恋」

琴音・菊之丞「♪美しさへの〜〜恋よ〜〜〜」

歌い終わって……

菊之丞「ああ…なんだか感動しました!」

琴音「感動は、夢を育む栄養よ!」

菊之丞「はい!」

琴音「感動したら、なんか喉が渇いたわね。
   どう?神谷バーで一杯。」

菊之丞「いいですね〜〜!
    行きましょ行きましょ!」

大神「あ、あああの!俺はそろそろ劇場に戻らないと……」

琴音「堅い事言わないのっ
   こういうお付き合いも大切なのよ、大神さん。」

と、無理矢理に大神を押して石段を上る男陣。

西村「あ、いい話聞かせてもらったんで、今日は俺がおごりますよ。」

琴音「いい心がけじゃな〜い!」

ドンッと西村の肩を押す…が、西村が石段の下まで転倒!!

西村「こ、琴音さんって細いのに力あるんですね……」

菊之丞「元…陸軍情報将校でしたから…」

菊之丞の呟きに、西村はちょっと驚いた表情を見せる。

琴音「もう、そんな昔の事っ
   さ!行きましょ行きましょ!」

全員仲良く(?)下手の方へ……行く途中。最後に残った琴音と西村がちょっと会話。

琴音「ねぇ、西村さん。
   あなた東北の人なのに、なまりとかぜんぜんないわね。」

西村「なんば言うとんのや、そげんことなかよ!」

琴音「…それ博多弁じゃないの!
   あんた一体何処の人なのよ!!」

ツッコミをしながら、去る二人。
西村って……何処出身なのや?(^^;;


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