第一幕その3
下手のオケピ横に根っころがってるのは武田。そこに、上手から大神さんがやってきます。
大神「武田さんに話があるって劇場裏に呼び出されたけど……
…まさか……告白!?」
どうしてそんな発想に!?(爆)
大神「って、そんなわけ無いな。」
そうそう。(^^;;
岩本「いや〜まさか親方からお小遣いもらえるとはなぁ〜」
大神が待ち合わせ場所に向かおうと一度立ち止まった足を動かそうとすると、背後から仕事を終えた岩本と上原が楽しそうにやってきます。
親方が居るときは「いや〜まさか親方からお小遣いもらえるとはな〜」
親方が居ないときは「よーし、仕事も終わったし一杯行くか!」で「たまにはリッチに飲みてぇな」といった上原に「じゃあ、今日は少し多めに出すよ。」と岩本が受けるという流れに行きます。
大神「お疲れさま!」
その二人に声をかける大神さんですが、二人は気づかないでどの店に行くかで頭が一杯。
通り過ぎてセンター部分で相談です。
上原「今夜はリッチに行こうよ〜」
岩本「そうだな、どこ行く?」
上原「やっぱり、カフェタイガーでしょう!」
岩本「カフェタイガー…」
二人「リサちゃ〜ん!」
上原「いっつもダンディさんが独り占めしちゃうんだよな〜」
岩本「よーし、今夜はこれでリサちゃんを指名だ〜!」
上原「逆指名だ〜!」
岩本「いやいや、逆じゃないけどな。」
カフェタイガーって、ちょっと高い店だったんですね。
うきうきしている二人の内、岩本がここでやっと大神さんの存在に気づきます。
大神さんは特に怒った様子も無く、二人に笑いかけます。
上原「あ!支配人!!お疲れ様です!」
大神「これから飲みに行くのかい?」
岩本「ええ、親方にお小遣いもらいましてね!あ、たまにはどうですか?支配人も一緒に!」
上原「ええ〜いいよ〜誘わなくて〜〜」
岩本「いや、悪いよ〜〜」
さっきの親方と同じ流れですね。(笑)
大神「せっかくだけど、これから用事があるから…」
そして、大神さんも先ほど先約がある事を言っていたのでもちろん断ります。
岩本「(小指を出して)これっすか?」
上原「(同じく小指を出して)これっすか?」
岩本「これっすか?」
上原「これっすか?」
二人「これっすか〜?」
大神「そんなんじゃないよ。…ちょっと待ってて。」
そしたら、二人とも女性との約束ですか〜?と茶化してます。
それを大神さんは両手を前に出して抑えると、ちょっと背を向けてポケットの中を見ます。
岩本「支配人も意外とプレイボーイだからなぁ〜」
上原「うんうん、俺もあやかりてぇなぁ〜あのつんつんヘアー。」(笑)
岩本「あやかりてぇなぁ〜〜」
意外とって……まぁ、いいや。(爆)
けどつんつんヘアーにあやかりたいって…(笑)
腕を組んで頷く二人に、大神さんは親方と同じくぽち袋を差し出します。
大神「これ!」
岩本「なんですか?」
大神「少ないけど、飲み代の足しにして。」
二人「いいんっすか!?ありがとうございます!!
(一応背を向けてから袋を開けて、覗き込む)うわぁ〜〜!!
ホントに少ない。」(爆)
あんまりといえばあんまりな反応に大神さん一瞬「え?」という顔を見せますが、すぐに二人が「ま、いっか!」とお互いに呟いたあとに改めて御礼を言ってきたので、そこには深くつっこまずに下手へと向かう二人を見送りました。
大神「飲みすぎるなよ!」
二人「へ〜〜い!!」
二人が完全に見えなくなると、武田は起き上がって、大神の前に出ます。
武田「おう…すまねぇな、わざわざ呼び出しちまって。」
大神「いえ。…そんなことより、改まって話なんてどうしたんです?」
武田「いやな…モギリにはいろいろ世話になったから一応挨拶しておこうと思ってな。」
大神「挨拶?」
いつもの武田らしからぬ落ち着いた口調。
大神さんが首をかしげると、武田は背を向けたまま話の核心に触れます。
武田「…俺、ブラジルに帰ることにしたんだ。」
大神「えっ?…でも、ダンディ団は、どうするんですか?」
武田「……辞めた。辞表を出した!」
大神「ギャングを辞めるのに、辞表がいるんですか…」
って大神さん、反応ポイントが微妙なところに!(笑)
が、この素朴な疑問に武田は怒って大神の首を掴み上げます。
武田「あ、当たり前ぇだろお前!何事もきちっとしなきゃならねぇんだよ!
大神「そうですか。(首を押さえていた武田の手を掴んで、軽く掃う。)
…で、ブラジルで何をするんですか?」
武田「(ぱんっと肩を叩いて)コーヒー農園をやる!
ちょこっと金も貯めたしよ。」
下手のオケピ横に腰掛けて、遠くの空を見上げるような武田のすぐ後ろに大神さんは笑顔でしゃがんで肩に手を置きます。
大神「それは良かった…!頑張ってくださいね。」
武田「おう!頑張るよ!
コーヒー財閥なって、いつか日本に凱旋するんだ!
そしたら、大帝国劇場貸切にしてやっからよ。」
大神「はい、待ってます。」
大神さん、どことなく嬉しそうですね。
二人で目を合わせて笑うと、武田が立ち上がって上手の方へと歩みだします。
武田「花組さんによろしくな!」
大神「はい!」
軽く右手を上げて立ち去る武田の後姿を黙って見送っていた大神さんですが、数歩進んだところで武田が思い出したかのように立ち止まって大神を振り返ります。
武田「…最後に、モギリにプレゼントだ。」
大神「え?」
パチン!と武田が指を一つ鳴らすと、ホイッスルの音に続いて軽快なサンバが!!
武田のベロベロダンスを見るのも、もしかしてこれが最後なのかしら…
武田「ベロベロムーチョ、ベロムーチョ!
ベロベロムーチョ、ベロムーチョ!!(ちゃんちゃん♪と音楽が止まったのでポーズをとく)
あばよ!!たくさんの思い出ありがとな!アディオス、アミーゴ!!」
右手を、力強く前に出した武田は、馬に飛び乗るような動作の後「はぁ!」と馬に鞭を入れてパカラッパカラッと口で言いながら上手へと走り去っていきました。
その後姿に、大神はただ黙って敬礼を。
大神「最後まで、騒がしい人だ。」
好ましい笑みを浮かべて大神さんは下手へ。
初日だけは「悪銭身につかず、にならなきゃいいけどな。」と言ってました。
―――18日〜三人娘バージョン
岩本、上原ではなく、三人娘が!
由里「え〜〜!本当にいいんですか〜!?」
由里ちゃんを先頭に、大神さん、椿ちゃん、かすみさんが楽しそうに上手から出てきます。
大神さんが頷くと、きゃあ〜!と盛り上がる三人。
大神「ああ。」
椿「きゃ〜〜!嬉しい〜!(大神の前に出て)それなら、煉瓦亭がいいです〜!」
大神「うん、いいよ。」
由里「あたし、オムライス、オムライス〜!」
椿「ハンバーグ、ハンバーグ!」
うんうん、と頷く大神さんの後ろにいたかすみさんは、大人なので再度確認。
かすみ「本当によろしいのですか?」
大神「ああ、大丈夫だ。」
かすみ「じゃあ、私は……(ターンして、そっと大神さんの肩に手を置く)ビフテキ。」
そして、ちゃっかり良いものをリクエスト。(笑)
かすみさんのメニューに大神さんはちょっと面食らってますが、それで黙ってないのが前方に二人いますよ〜
由里「あ〜〜ずるーい!あたしもビフテキがいいです〜!」
椿「あたしも、あたしも〜〜!!」(かすみのマネをして、肩に手を置いておねだり)
大神「よ、よしわかった!俺についてこいっ!!」
三人「やった〜!」
そりゃあ、後には引けないですよね。(笑)
無駄に男らしさ溢れる叫び声に、るんるんとご機嫌で付いていく三人娘。
下手まできたら、すっとオケピ横の影から武田が登場。寝っころがってはいませんでした。
呼び出しではなく、急に訪ねてきたみたいですね。
武田「……よう。」
大神「あ、武田さん。」
かすみ「あ、そうだ!武田さん。武田さんに会ったら聞きたいことがあったんです。
武田「聞きたいこと?」
かすみ「あの、ブラジルの言葉で「愛してる」ってどう言うんですか?」
武田「ブラジルの言葉で愛してる?(ちょっと頭をかいて照れながら)……ジーコ。」
かすみ「ジーコ。」
椿「ジーコ!」
由里「ジーコ?」
三人「ジーコ〜」
色っぽく三人に言われて、武田もまんざらじゃなさそうです。(笑)
この武田への質問は、公演によって変わり、19日昼は椿ちゃんで「武田さんの誕生日っていつなんですか?」という質問。
武田は「俺も…よく知らねぇんだよ。」と曖昧に返答。(^^;;
椿「なんでですか〜?」
武田「い、いや、まぁ……いろいろあんだよ。」
椿「ふ〜ん…大人って大変なんですね。ありがとうございました!」
その納得の仕方も、ビックリだ椿ちゃん。(笑)
19日・夜公演は由里ちゃんで「女の子に作って欲しい手料理ってなんですか?」という質問だったのでちゃんと答えてましたよ〜
「女の子に作って欲しい手料理?……カレーライス。」と。それを聞いた三人は同時にへぇ〜といった顔つきで「参考になります〜〜」とお礼を言ってました。
それ、誰に作ってあげるんでしょうね。
エル・カシンさんに教えていただいた20日・昼はかすみさんが「私たち、今からビフテキを食べに行くんですけど、武田さんはビフテキお好きですか?」と聞いて武田はもちろん「ああ、好きだよ。」と答えて「じゃあ、私たちとご一緒しませんか?大神さん、いいですよね?」とお財布持ちの大神さんに確認。「えっ!?あ、ああ、いいとも!」と引けない大神さんは返事をしていたそうです。(笑)
ですが、武田はその後断ってちゃんともとの流れどおりに進んだみたいです。
20日・夜は椿ちゃんの質問で「あの、ここだけの話なんですけど…」と前置きをしてかすみさんがそっと大神さんの耳を塞ぐと本題へ。
椿「武田さんは、花組さんの中で、一番、誰のファンなんですか?」
ぶっちゃけトークはいりました〜!(笑)武田は「そういうことを、こういうところであまり言うもんじゃないと思うんだけどな…」と渋ってますが、三人娘全員に「誰も聞いてない!ここだけの話ですから!」と言われて、観念しました。(笑…この間、やっぱり大神さんは耳をふさがれています。)
武田「まぁ…やっぱさくらさんかな〜、ボスがさくらさん好きだからね。」
椿「そっか〜…じゃあ、今度さくらさんのブロマイド、こっそり持ってきますね♪」
武田「ああ、よろしく頼むよ!」
由里「ふふ〜、いいこと聞いちゃった。」(笑)
あ、しまった。由里ちゃんがいるのに「ここだけの話」になるわけないか。(爆)
三人「ありがとうございました!」
かすみ「じゃあ、行きましょうか。」(ここは、そのときに質問した人が言ってます。)
大神「うん。行こう、行こう。」
武田「悪い、ちょっとモギリには話があるんだよ。残ってくれ。」
やたら軽いノリで先に行こうとした一行ですが、武田が呼び止めたので三人娘は「え…」と残念そうに目配せ。
なので、大神さんは
大神「みんな、悪いけど、先に行っててくれ。すぐに追いかけるから!」
すぐに!に力が入ってますが(爆)そのためか納得した三人は笑顔で頷きました。
三人「はい!ビ〜フテキ!(かすみ「ビール!」)ビ〜フテキ!(かすみ「ワイン!」)」
やっぱり食べ物の力は誰にでも有効なんですね。(笑)
20日・夜はかすみさんの合いの手は「焼酎!」となってました。(笑)
三人が嬉しそうに下手に姿を消すと、武田のブラジル帰郷の話へと入っていきました。
―――――
大神さんが去ると同時に、ピアノのどこか物悲しい旋律が流れてくる。
紗幕が上がると、そこは夜の銀座の街。
カフェやレストランから数組の男女が行きかう中、ボスが下手からゆっくりと登場。
ボス「♪夜を見つめていた 重ねた愚かさを
去りゆく夢に 未練な酒を飲み干して
ネオンきらめく街で」
♪ネオン
今回のボスの新曲ですね。舞台には四件のお店が並んでいるのですが、その内の二件は両方とも洋服を扱うお店なので、マネキンがいるわけです。
その女性のマネキンは人間がやっていて、ボスの歌の最中である間奏部分ではショーウィンドウを飛び出して、ボスと一緒に踊っていました。
ボス「♪夜を見つめている 過ぎ行く花たちよ
俺の心に雨が降る」
最後、街に消すかのような声に、マネキンたちはそれぞれの店舗に戻り、ボスは中央でゆっくりと指を鳴らしています。
完全に音楽がなくなると同時に、上手から駆け寄ってくる一人の男が。
西村「ボス!ボス!!大変です。これ…武田の置手紙です!」
ボス「置手紙?」
武田、何にも言わずに出てきたんですか!?
西村が持ってきた手紙をその場で受け取り、目を通すボス。
ボス「辞職願い。(思わず、西村と顔を見合わせる)
…一身上の理由により、ダンディ団を辞職いたします。
ベロムーチョ武田 to ダンディボス様……
(へっと軽く笑って、手紙を西村に渡す)……下手な字だな。」
西村「日系二世ですから(スーツの内ポケットにしまい)…で、どうするんです?」
ボス「どうするも、こうするも…辞めるって奴の首に縄つけて連れ戻したって碌なことねぇよ。
みんな、自分の夢追いかけりゃいいんだ。
だけど夢ってのは、そうそう見つかるもんじゃねぇ。
あいつは、ダンディ団にいて、やっと夢見つけたんだ。
良かったじゃねぇか。」
西村「………そうですね。」
ボス「なぁ、良かった良かった。」
やっぱり、ボスはボスと呼ばれるだけありますね…立派です。
ボスの懐の深さを垣間見るような会話でこの場は納めましたが……
政「ダンディさーーん!!大変です〜〜!!」
ボス「おお、政。どうした?」
突然下手から駆け込んできた政。
肩で息をしているところを見ると、そうとうに急いでいたらしい…その政にボスが手持ちの扇子で扇いであげていると、政の口から衝撃の台詞が。
政「いま…今、警察で聞いたんですけど、なんでもこれから、ギャング撲滅作戦を始めるって!
この銀座からギャングを一掃して、クリーンな街にしようって話です!」
西村「なんだと、お前!勝手なこと言いやがって!!」
政「あ、あっしじゃありません!警察がー!!」
ボス「よさねぇか、西村!」
思わず胸倉を掴んで縛り上げそうになった西村ですが、ボスに強い口調で諌められ、早々に政を解放していました。
が、西村さん個人の感情は全く納得がいってないようで、握りこぶしを作って震わせています。
西村「ボス…ボス!俺、悔しいです!…地元の安全は俺たちが守ってきたのに!(
っ……警察って、えらそうに鉄砲ぶら下げてるけど、いざとなったらあいつら知らん顔するんですよ!」
ボス「俺たちギャングは、お上のお目こぼしでかろうじてお天道様拝めてるんだ。
そのお上がダメと言ったんじゃ……それまでよ。」
西村「ボス!!それでいいんですか?!ボスはそれで!」
ボス「…銀座も健全になっていいじゃねぇか。」
西村「健全な街なんてあるんですか?…それ、面白いですか?」
ボス「……っ面白くねぇだろうなぁ!」
西村の感情のままに言い募られ、ボスも最後には抑えていた本音が出て一瞬西村との睨み合いになってしまう。
その一睨みでボスの腹の内を悟った西村はすまなそうに目をそらす。(実際「すみません…」と言った日もありました。)
でも西村の気持ちも良くわかるボスは、ぽんっと肩に手を置いて扇子を扇ぎます。
ボス「だけど…そろそろ、俺たちも身の振り方考えとか無きゃな。」
驚いて振り返る西村。ボスは、ここいらが潮時だと悟ったのでしょうか。
でも、西村が見たのはぱっと顔を明るくさせたボスでした。
ボス「…さてと!花組さんの所に次回公演のチケット貰いに行ってこよう〜っと!」
軽い足取りで上手へと去っていくボスに声をかけようとするも、かけられない西村さんはそのまま顔を伏せて立ちすくむ。
その一連の流れをやや奥にある街灯から見ていた政がおずおずと声をかけます。
政「あの…あっしは、警察なんかより、ダンディ団の皆さんに頼む方がずっと安心できるんですけど…」
が、そう呟いたと同時に、けたたましい爆発音が!!
政「西村さーーん!!」
思わず西村の足元にしがみつく政。何事かと辺りを西村が見渡すと、次々に銀座の人が転がり現れ、それを追って出てきたのはあの人造人間たち!
西村「政、早く逃げろ…
行け!!」
政「はいっ」
それらを睨みながら、西村がそう叫んで政の背を押して走り出すと同時に、銀座の街は一転して戦場に。
逃げ惑う人々の中を、西村は果敢にも街の人々を逃がしながら人造人間に挑んでいきます。
上手で西村が手当たり次第人造人間と戦うも、一部の街の人は完全に命を奪われ、食われている者もいます。
阿鼻叫喚の図となっているところに舞台奥から暗闇博士とモンスターが現れ、暗闇博士が悠然と前に歩み出てくる。(モンスターはうつむいて立ったまま動きません)
暗闇博士「日本一の街、この帝都を我が人造人間たちが制圧する!
そしてわたしの名前は、後世に永遠に刻まれるのだ!!」
西村「ふざっけんな!」
突如現れた白衣の男を敵の親玉だと悟った西村は、手足にまとわり付いていた人造人間を殴り飛ばすと、まっすぐに暗闇博士を睨みつける。
西村「この街は俺たちの街だ!!好き勝手なマネはさせねぇ!!」
暗闇博士「おもしろい…刃向かう者に、死を!」
短刀を取り出して、構える西村に少しも怯えた様子も見せず暗闇博士は攻撃を指示。
その声に再び戦場と化す銀座。
西村も果敢に戦いますが、降魔の細胞から作り出された人造人間相手では怯ませることは出来ても、倒すことは出来ない。
舞台中央で二体の人造人間に同時に攻められ、窮地に陥った西村ですが、その二体を一時的にでも離れさせたのはゆっくりと前に歩み出てきたモンスター。
指で軽く突いただけなのに、首の骨が折れる鈍い音と共に人造人間が左右に吹っ飛ぶ。(その後、すぐに人造人間は動き出したのであれでも大したダメージにはならないようです…)
そして、その前に居た西村の短刀を握る腕を無造作に掴み…
西村「ぐわぁぁぁっ」
大して力を入れた様子も無く、無造作に腕を振るうと西村の絶叫と共に、骨の砕ける音が…
右腕を折られ、追い討ちをかけるかのように蹴りを入れられた西村は上手に追いやられる。それでもモンスターを睨む西村ですが、このままではどうなるか結果は明らか。
折れた腕を左手で抑えながらモンスターがゆっくりと攻撃を仕掛けようとしているのを見ているだけしか出来ない西村の窮地に、間一髪銃声が響く!
マリア「お待ちなさい!!」
次いで聞こえたのはこの場の空気を一変させるもの!
まだ姿の見えないが、その正体が何であるか知っている暗闇博士は笑い声を上げてそれと相対する。
(この間に、西村はモンスターに蹴りを入れられて、上手へ。他の人たちも下手へと攻撃を受けて下がっています)
暗闇博士「ふはははははは!……出たな、帝国華撃団・花組!!」
それと同時に拍子木の音が一つ入り、暗闇博士、人造人間たち、モンスターが屈む中背景の銀座の街並みの布がばさりと落ちて、その後ろから現れたのは各時番傘の影に隠れる花組!
高くせり上がった舞台で、中央に居たマリアすっとが立ち上がり口上に。
マリア「夏の盛りに咲く花は、十年極めた桜色
ロシア生まれの、マリア・タチバナ!!」
閉じた傘を前に出し、びしっと決める。掛け声も「マリア!」と入る中、下手へ。続いて、立ち上がったのは夏服を身に纏ったすみれさん。
(自分の口上となると、立ち上がり中央へ向かうという流れです。)
すみれ「華やかに咲き誇る花!おっほほほほ…
わたくしが神崎、すみれ!!」
番傘を開いた状態で前に向けて凛々しく決めたすみれさんは上手へ。以後、下手上手と交互に移動していきます。
紅蘭「夢は爆発や!永遠に爆発や!
中国生まれの、李紅蘭!!」
カンナ「南の風は心を弾ませる…あたいはいつもここにいる!
沖縄生まれの、桐島!あ、カ〜ン〜ナァ〜〜!!」
アイリス「フランス生まれの、アイリスです!!」
レニ「……レニです!」
傘を膝元に置いて、右手を胸の前に出す紅蘭、傘を腰の辺りに構えて独特の言い回しをするカンナ、スカートの裾をちょっとつまんで可愛らしいアイリス、傘を閉じて、膝をついてのレニは単純明快。
そして最後の人物の傘には桜模様が。(他のメンバーは各自の色のみのシンプルな傘なのです)
さくら「花の命は短いけれど、みんなの心に永久に咲く!
仙台生まれの、あたしが真宮寺さくら!!」
高く傘を上げての口上に、傘を前に降ろしてキメるさくら。
さくら「ここに!」
花組「帝国華撃団花組、参上!!!」
全員、同じように閉じた番傘を左手で前に出すと「花組!」や「日本一!」という掛け声がかかります。
拍子木も鳴り、口上を終えると暗闇博士が立ち上がる。今までの敵と違い、彼女たちがどういう存在かを知っているだけあって、下手へと歩む顔には余裕の笑みが見れます。
暗闇博士「能書きはそれだけか?…やれ!!」
短く人造人間たちに指示を出すと、緊張感溢れる音楽が。
花組が立っていた舞台が下がり、人造人間たちと同じ高さになると、傘をその場に置いて中央にマリアが立ち、それを先頭にゆっくりと前に歩み出ます(下手から見てカンナ、レニ、すみれ、マリア、さくら、アイリス、紅蘭と逆三角形の隊列で進みます。さくらの手には傘の近くに置いてあった荒鷹が握られています。前奏が掛かると同時に、暗闇博士は下手へ。モンスターは上手へと姿を消します。)
マリア「♪人の夢を壊すものを 私たちは許さない
人の命奪うものを 私たちは許さない」
♪鉛の弾丸に口づけを
これが、今回の見せ場の一つでもあるバトルダンス!人造人間たちに囲まれる中、左右のメンバーが交差して、相対する人造人間たちを強い視線で見ながら歌い、戦います。
全員「♪どんな黄金より つつましい生活が愛おしい」
マリア「♪この世は夢で動く 誠実さと愛が全て」
歌いながら、マリアが上着のボタンを外して動きやすくなると、個人戦。
一人か二人を相手にしている中、マリアは五人ほどの人造人間を相手に。襲い来る人造人間たちの攻撃をかわし、接近戦が得意でない紅蘭やアイリスも蹴りや平手、投げ技で戦い、一歩も譲らない戦いに挑む。
全員「♪愛を壊すものを私たちは撃ち抜く 鉛の弾丸に口付けをして」
敵に隙が出来ると、再び隊列を整える。(このとき、さくらは荒鷹を奪われ、それは中央に程近い上手のオケピ前の陰に隠されます)
今度はさりげなく敵を挑発したマリアを中央に、左前からすみれ、アイリス、紅蘭、カンナ、レニ、さくらとマリアを囲むように舞台中央に陣形を作る。
それを人造人間が取り囲む中、花組が立っている部分がせり上がり、人造人間たちより高い部分で一糸乱れぬダンスを。
すると、その背後に暗闇博士と手に剣を持ったモンスターが現れ、階段状になった舞台を駆け下りて舞台の一番手前に紅蘭、アイリス、すみれ、マリア、さくら(荒鷹のあるすぐ側。)、カンナ、レニが身を低くしてそれを窺うと、モンスターは先ほどまで花組が居た場所で見事な剣技を披露。
「でやぁああっ」という気合の声や雷鳴が轟くたびに、モンスターの力が解放されているようで、花組は目を伏せたり顔を背けたりしていますが、その力に気圧されまいと頷き合うと再び立ち上がる。
全員「♪愛を壊すものを私たちは撃ち抜く」
今度は、マリアは銃、さくらは荒鷹を構えて敵に向かっていきます。モンスターと暗闇博士は舞台の一番奥、一番高くなっている部分に立って戦いの行方を見ています。
全員「♪鉛の弾丸に口付けをして」
人造人間たちにダメージを与えながら、再び中央に集まる花組。マリア、さくらが一番手前でその後ろにすみれ、紅蘭、アイリス、カンナ、レニと並び
銃身に口付けをして発砲するマリアと、抜刀して人造人間を切るさくらの「はっ」という気合の声と共に、雷鳴が轟き緊迫した空気の中、幕が下りて一幕の終了となりました。
戦いに決着はついたのでしょうか……などと考えていると、今度は幕前に明るくてかわいらしい曲調が流れてきます。
二人「♪ラララ ショッピングショッピング 3分間ショッピング」
♪3分間ショッピング
ちょっ…あの激しいバトルダンス後にこれですか!
まず紅蘭が上手からたーーっと走りだしてきて、その後ろをワゴンを押すさくらさんが追いかけてきて、上手の方でちょんっとポーズを決めてると歌いながらゆっくりとセンターへ。
紅蘭「♪観劇記念に お土産に いろんなグッズがあります」
さくら「♪財布の紐をちょっと緩めて」(紅蘭、さくらの後ろで「♪あー」とコーラス)
二人「♪ラララ ショッピング ショッピング ショッピング ショッピング
3分間ショッピング」
ぴょこぴょことは跳ねるような動きの振り付けや二人で顔を見合わせて笑顔を客席に向ける姿はとっても可愛らしいです!
さくら「このコーナーにも歌ができました。(笑)
はい、何事も無かったかのように参りましょう、3分間ショッピングのお時間です!
でも、あの直後にこれじゃあ、息も絶え絶えなんじゃないかと思ったら本当にそうでした。(^^;;
お、お疲れ様ですお二人とも;;
さくら「紅蘭、今回の商品は…?」
紅蘭「今回の商品は、十周年記念!すごいで〜これや!!」
ちゃらららんちゃら〜ん♪といつもの音楽と共に高々に上げた商品は、手のひらサイズの四角い缶。
さくら「なぁに、その缶からは?」
紅蘭「サクマドロップス「新・愛ゆえに」使用、十周年限定や〜!」
さくら「(さくらも缶を手に取って)すごい…マリアさんとあたしが印刷されてる!」
紅蘭「はい、ドロップと言ったらサクマ。
今回はこの限定パッケージに(ワゴンから取り出す)こちらのTKD特製マグネットもおまけにつけます!」
さくら「これは絶対に買いですね!…で、気になるのがお値段ですが…」
紅蘭「今回は十周年、大奮発しました!美味しいドロップがたくさんはいって、おまけもつけたこの限定モデル…500円でどや!!」
サクマ式ではなく、サクマなんですよね。
缶を掲げて500円という値段を思いっきり溜めて言った紅蘭に、間髪いれず「安い!!」という掛け声がかかります。
さくら「安〜〜い!!あたし十個買います!」
紅蘭「おおきに!目指せ完売でございます!よろしくお願いします〜!」
さくら「では、休憩は20分です!」
二人で頭を下げて、さくらが休憩時間を告げるといままでどおり「1、2!1、2!」と歩きながら下手に向かう二人ですが、下手に入る前に紅蘭がさくらを呼び止めます。
紅蘭「あ、さくらはん!(立ち止まって振り返るさくら)ドロップ占い、やってまう?」
さくら「やりましょう!何が出るかな〜(ドロップを振る)え〜と…赤!」
紅蘭「はい!(後ろから取り出したボードを見て)う〜ん…うん!健康運バッチリや!」
さくら「よし!健康に二幕も頑張るぞ!」(笑)
紅蘭「みんなもやってみてな〜」
健康に二幕を頑張るって、ちょっと違うような。(^^;;
ドロップ占い、あの場のボードだけでドロップ自体には解説もなにも付いていないので自分で調べるしかないですね〜;;
―――13日・夜
さくら「これは、透明〜」
紅蘭「透明、うーん…(ボードを見て)買い物運バッチリや〜!」
さくら「大神さんと一緒にお買い物にいきたいな♪」
紅蘭「なんやそれ〜!」(笑)
大神さんって連日誰かの買い物につき合わされてるんじゃ…と思います。(爆)
―――14日
さくら「今日は何かな〜…ん、みどり!」
紅蘭「お、綺麗やな〜(ボードを取り出して)え〜と……レジャー運ばっちりや!」
さくら「……こんなことしてる場合じゃないってことかな?」(^^;;
紅蘭「ああ、言ってまったぁ〜〜!」(^^;;
公演中はとてもレジャーはできないですよね;;
―――15日・昼
さくら「今日は何かな〜……オレンジ!」
紅蘭「綺麗な色やな。…うん、家庭運良好や〜!」
さくら「…早く大神さんと結ばれますように!」
紅蘭「言うと思ったわ〜」
さくらさん、今回は大神さんに対するラブアタック宣言が多いですね。
―――16日
さくら「あれ出ない……あ、ピンク〜!」
紅蘭「出た〜!見ないでもわかりますー!恋愛運絶好調や!」
さくら「早く大神さんとデートしなきゃ!」
紅蘭「そないな事言ってる場合か〜!」
だんだん紅蘭のツッコミが激しくなっています。(笑)
―――17日
さくら「黄色〜!」
紅蘭「お、初めてやね!(ボードを取り出して)お!金運バッチリや!」
さくら「よし!働くぞ!!」
紅蘭「えっ〜?」という表情ですが、さくらさんは涼しい顔で行ってしまいました。(笑)
―――18日
さくら「これ、熱くてくっつてますね〜…あ、これは透明?」
紅蘭「お、えーと…(ボードを出して確かめる)買い物運バッチリや〜!」
さくら「大神さんとお買い物に行きたい!」
紅蘭「ウチも付いて行きたい!」
さくら「え〜?」
さくらさん、それはデートがしたいって言わなきゃ。(爆)
―――19日・昼
さくら「今日は何色かな〜……透明?」
紅蘭「お、透明は…(ボードを出して)買い物運、バッチリや!」
さくら「みなさん、ショッピングいっぱいしてください!」
紅蘭「してくださいね〜〜!」
なんだか、透明率高いですね。
―――19日・夜
さくら「何色かな〜〜…でない。(笑)…あ、黄色!」
紅蘭「お!(ボードを出して)金運絶好調〜!」
さくら「みなさん、たくさんショッピングしてくださいね!」
透明でも黄色でもショッピングに結びついてしまうようです。(笑)
―――20日・夜
さくら「あ!ピンク〜!」
紅蘭「お!(ちょっとボードを出して)恋愛運絶好調や!」
さくら「(ぺこりと頭を下げて)…お待ちしています。」
紅蘭「(歩いていってしまうさくらを、追いかけつつ)え?それでええんか…?」
押してもだめなら引いてみろ作戦?(爆)
ちなみに、補足いただきました昼公演(しぇれさん、ありがとうございます。)もピンクだったそうです。
さくら「そんなことしている場合じゃない!」
紅蘭「そりゃそうや!」
だったそうです…って、え?なんか意外な答え;;
―――21日
21日は販売物自体、違っていました。
ワゴンの上には、ドロップスではなくてカゴがあり、その中にはピンクのサイリュウムが入ってました。
紅蘭「今回の商品はこれや!(ちゃららっちゃら〜ん♪)
大変申し訳ございません!こちらの(カゴの陰からドロップ缶を取り出す)
特製サクマドロップス、ほぼ!毎回完売いうで、これや!
フィナーレ特製、サイリュウムです〜!
こう、パキッと!パキッと!……(なかなか折れなくて思いっきり膝を使ってやっと折る)
パキッと折ると、ほら!!」
さくら「桜色〜!」
紅蘭「フィナーレのみ、OKになりました!」
意外と、サイリュウムをどう使うかわからない人が多いですよね。
結構思いっきり折らないといけないんですよね〜これ。
で、さくらさんが「気になるお値段は?」と振ると
紅蘭「今回は一発勝負!500円でどや!!」
さくら「…安い!のではないでしょうか!!」
このサイリュウムは「10th
anniversary Sakura
Taisen」と書かれてるのでその思い出が付加価値となってきっと安い…はず!
さくら「ぜひ、美しい思い出の光を、よろしくお願いします。」
紅蘭「くれぐれもフィナーレまでパキッ、しないようにお願いします〜」(二人揃って礼)
さくら「…では、休憩は20分です!」
サイリュウム、たくさん振ってもらえるといいですね。
下手へ向かった二人は、またいつものところで立ち止まります。
紅蘭「あ、さくらはん。それでも、ドロップ占いやってまう!?」
さくら「やりましょう!(笑)
何が出るかな〜〜(がらがらと缶を振る)あ、緑〜!」
紅蘭「緑は…(ボードをちらりと見て)レジャー運、絶好調や!」
さくら「遊びにいかなきゃ…!」
う…公演が終わったら思いっきり遊びに行ってください!(^^;;
第二幕その1へ→
←第一幕その2へ
書棚「サクラ」TOPへ戻る