婆さん「はいはいは〜〜い」

と、蕎麦打ち場から立ち上がろうとする婆さんを、親方が止めます。

親方「ああ、お富士さんいいですよ!あっしが出ます!!」

婆さん「ああ、すいませんねぇ」

おそらく、このときレニ以外は先ほどの権太郎一家のことが頭を過ぎったのでしょう。

織姫「お婆さんはお蕎麦!休まない!」

婆さん「はいはい。」

親方が「今出ますよ〜」と少し警戒しながらばっと心張り棒を外すと、すたすたと入ってきたのは…カンナ!!そしてさくらとマリアさん!ああ、やっと蕎麦屋に到着したんですね〜

カンナ「あ?あれ、親方!?」

目が合うなり、2人とも驚いてます。親方、とっさに構えた心張り棒を後ろに隠してます。(^^;;
そして織姫もかえでさんもレニも、カンナもさくらもマリアも「あー!」とお互いの顔を見てうれしくなってます。

さくら「レニも居る!よかったぁ〜〜」(^^)

かえで「まぁ〜〜〜!カンナもきたのぉぉ〜〜!!」

ってかえでさん、嬉しいからってキスしようとしちゃダメでしょ!!( ̄□ ̄;;
カンナがとっさに頭をがしっとつかんで事なきを得ましたが…あのままいってたら正面からいってましたよ(爆)

カンナ「おいおいおい!!(かえでをかわして舞台下手の方にいる織姫のもとへ)
    おい、ちょっと…そうとういっちゃってるじゃねぇかよ!」

織姫「そうなんですよぉ〜」

かえで「さぁ、みんなで飲も〜〜う!!」

おお、かえでさん再びへべれけモードに。(汗)
…でもなぜだろう。去年の七福神の時のマリアの壊れっぷりと並ぶほどの壊れっぷりなのに意外と冷静に見ていられるのは?(爆)

カンナ「飲も〜〜う!!じゃねぇよぉ…
    (織姫に)おい、蕎麦どうなったんだよ。」

織姫「斯く斯く云々!!」

お、出ましたね便利な状況説明。(笑)
と、事情を聞いたカンナ、事情を話した織姫、共にしかめっ面で「カーンッ」と声に出して顔を弾いて呆れ顔。(^^;;

カンナ「…やってらんねぇな。
    よーし、あたいが手伝ってやるよもう!」

と言ってカンナさんは蕎麦打ち場の中へ。残った面々はと申オますと…かえでさんは中央テーブルの定位置に。(笑)親方は今度はこちらから見てそのかえでさんの左隣へ。さくらとマリアはまだ立ってます。そしてレニは先ほどの織姫と同様に、急須を持って火鉢の鉄瓶から蕎麦茶を急須に移しています。

カンナ「おい婆さん!あたいが手伝うからよ、何すればいい?」

婆さん「あ、ありがとうございます。
    じゃあこれ、捏ねていただけますか?」(捏ね鉢の中にある蕎麦玉を見せる)

カンナ「…おいおいまだ捏ねてんのかよ〜;;
    (店内に顔を出して)おい、まだまだ時間かかるぜ〜〜
    (戻って)よし、あたいに任せとけ!
    ちょっと貸してみろよ、のろのろしてんじゃねぇよ!!」

と婆さんから蕎麦玉を取ると、ばんっばんっと捏ね鉢に叩きつける!(爆)
カンナさん、そんな豪快な;;

婆さん「ちょちょちょっと!これお餅じゃないんですから;;」

ごもっとも。(^^;;
しっかり手打ち蕎麦の手順を踏んで頑張ってくださいね。
さて、一方店内では…飲み始めている親方とかえでさんをみて、マリアがぽそっと一言

マリア「…私も飲もうかな。」

かえで「そうよ、マリア!飲みなさい!」

と、かえでさんの右隣に座って酒盛りに参加。(笑)
織姫はカンナと婆さんの蕎麦打ちを見守ってて、さくらは…

レニ「はいさくら、蕎麦茶。おいしいよ〜」

さくら「いただきます。(^^)
    ありがとう。」

先ほどのレニと織姫のようなやりとりを繰り広げておりました。(^^)
2人ともそのままそちらのテーブルの席に座ります。

かえで「じゃあ…」
3人「かんぱ〜い!」

酒盛りの始まり(笑)を告げる声と共に、さくらも蕎麦茶をすぅっと飲む。
はぁ〜…とさくらもほっと一息、いれたところで気がついた。

さくら「あ、これって…ミイラ取りがミイラになってませんか?」

さくらの言いえて妙な発言に、マリアとレニが「あ。」と反応

レニ「そう言えばそうだね。」(^^)

お茶を手に和やか〜な雰囲気なんですが、織姫だけが蕎麦打ち場を覗きながらふてくされた顔。

織姫「ねぇ〜…!
   お蕎麦まぁ〜だ〜!?」

婆さん「はいはい、只今〜」

織姫「〜〜〜んもう!さっきからそればっかり!!」

すっかり頭に血が上ってしまった織姫は、スタスタスタッと舞台を横切り、火鉢にある鉄瓶から直接手に持っていた湯飲みに蕎麦茶を注いで一口。

織姫「あちちちっ
   あっちいなぁ、もう!」

ああ、慌てるあまりちょっと舌を火傷してしまいましたか?(^^;;
一瞬レニが心配そうに目を合わせますが、それはなんともなかったようで。
と、ここで舞台の照明が少し落ちて、立って舞台前方をうろついている織姫と、壁掛け時計にスポット。時計は青いスポットです……って、その時計おかしいですよー!!?!煤i ̄□ ̄;;
短針が全然動かないで、長針が以上にぐるぐる回ってたり、逆回りしたり、行ったり来たり……この蕎麦屋って実はかなり不思議異空間!?(爆)
そんな異常時計に気づかない織姫は、蕎麦茶を飲みほすと、空いた湯飲みで一人芝居。

織姫「…入ります!
   (賽を壷に入れる真似をして、湯飲みを逆さまに。そしてぱっと湯飲みを開く)
   ………丁!」

賭場ですか!(笑)
それに続いて、今度は湯飲みの足を耳に当てて、壁1枚向こうの蕎麦打ち場に聞き耳を立ててます。ちなみに、蕎麦打ち場では只今カンナと婆さんがマッサージさながらに蕎麦を足で踏んで捏ねてる所です。(笑)
まだまだだなぁ…と悟った織姫はふぅっとため息を一つして左側のテーブルの椅子に座って項垂れると、他のメンバーが一斉にお猪口や湯飲みを煽って…ふぅ〜〜っと息をはく。
織姫がちらりと時計を見ると…あ、直ってる。(^^;;
ボーンっと10時を告げる鐘の音が鳴ります。

マリア「……ねぇ……まだかしら?」

ちょっとくったり気味なマリアさんに、みんな目線で同意。

織姫「…お・そ・ば!まだですかー!?」

婆さん「はいはい、只今〜」

う〜ん、先ほどと変わらない返答ですな;;
もうさすがに織姫も限界超えてしまい…

織姫「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっねぇ!!
   お蕎麦ってホントに食べなきゃいけないんですかー!?」

かえで「食べなきゃいけないの。
    大晦日は年越し蕎麦を食べるの!(「あ〜〜ん」と項垂れる織姫)
    じゃないと年が越せないんだから。
    (蕎麦打ち場を見ながら)ね〜え、お蕎麦まだかしら〜?」

婆さん「はいはい、もうしばらくお待ちくださ〜い。」

あ、ようやく足捏ねが終わったみたいですね。カンナが靴を履いています。

織姫「もう待てないでーす!!」

カンナ「(店内に顔を出して)待ってろよ!!
    あたいも手伝ってんだからよ!」

と、それだけ言ってまた蕎麦打ち場へ戻って行っちゃいました。(^^;;
これからやっと伸ばし作業になるんですね〜

織姫「わあ〜〜ぁん!
   とんでもない大晦日になっちゃいましたね〜!」

ああ、織姫もなんだか壊れてきてますか?(汗)
雰囲気的には半泣き。(^^;;

マリア「そうねぇ…
    ……しかたないわ、待ちましょう。
    それで出来上がったお蕎麦を持って劇場に帰る。
    みんなで年越し蕎麦を食べる。」

マリアの諭すような口調に、さくらやレニがニッコリ笑って同意。

さくら「そうですね、それが一番ですね!」

織姫「お蕎麦が出来ればね。」

織姫の刺のある言い方に、全員が「!?」と織姫の方を向きます。

マリア「……できるわよ!」

思わず声が大きくなるマリアさん。……実はそれって、全員が隅っこのほうで抱えている不安だったでしょうね〜(^^;;
大分待ってますし;;

織姫「…ええ!できますとも!(ニッコリ笑顔)
   (織姫以外のメンバー、お猪口や湯飲みを口につけて)
   …できる、できるとき、できれば、できない!!」

結局否定で終わってしまった織姫に全員噴出しそうになって、ガタガタっとこけてしまいましたよ!
織姫は再び半泣き状態になって立ち上がって嘆く嘆く…

織姫「だぁっっって!!!
   今までず〜〜っと待ってるのに全然できないんだも〜〜ん!!(泣)
   …もうお腹グーグーで〜す…泣きそうで〜す…
   だんだん不安になりま〜す。…このまま一生できないんじゃないか。
   きっと来年の大晦日までここでこうして
   「お蕎麦まだですかー?」「はいはい、只今〜」って言ってるんじゃないか〜って!!」

ああ、織姫半壊してます!!(汗)
もう…と半ばあきれた様子のマリアたちを横切って、レニが徳利を持って織姫に近づく。

マリア「そんなことあるわけ無いでしょ。」

さくら「そうですよぉ〜」

レニ「はい、お酒。暖まるよ。」

すっと織姫が持ったままだった湯飲みにお酒を注ぐレニ。う〜ん、さりげないですね。

織姫「…グラッチェ!」(^^)

そしてそれを一気に飲み干す織姫!「くぁー!!」と一つ怒鳴ると、レニが持っている徳利と空になった自分の湯飲みをあっと言う間に交換。

レニ「え?あ……(織姫が徳利からごくごく酒を飲むのを見て)えぇ?」

う〜ん、さしずめ酒でも飲まなきゃやってらんないよ!ってところでしょうか。(^^;;
ここで再び舞台の照明が少し落ちて、立って舞台前方をうろついている織姫と、その同じラインにいたレニと壁掛け時計にスポット……って、また時計おかしいですよー!!?!煤i ̄□ ̄;;;;
先ほどと同じように短針が全然動かないで、長針が以上にぐるぐる回ってたり、逆回りしたり、行ったり来たり……織姫はやっぱり気づかないで空になった徳利を望遠鏡のように構えて客席を見回してます。(笑)

ちなみに、現在の他のメンバー。マリア、親方、かえでさんはあい変わらず飲んでいて、さくらは急須に蕎麦茶を補充。そしてまた席についてお茶をすする。でもさすがにちょっとお疲れ気味ですね。
そしてレニは……さっきまで織姫がいたテーブルに湯飲みをもどして、蕎麦打ち場の様子を覗いて、ふと時計を見て……あ、やっと時計の異常さに気づきました!!(笑)
「ええぇ!?」といった具合に時計を指差しながら隣りのテーブルにいる親方たちに知らせようとしますが…だぁ〜れも気づいてくれません。(^^;;
「落ち着いて、落ち着いて…」と、一旦時計に背を向けて深呼吸。再び時計を見ると…!やっぱり異常時計のまんま!!きっと今のレニの心拍数は格段に跳ね上がっていることでしょう。(爆)

そしてそんな後ろの様子にさっぱり気づかない織姫は、今度は徳利をゴルフクラブに見立てて、客席に向かって大きく振って…!

織姫「ファーーーーーッ!!」

おお、よく飛びすぎたみたいですね。(^^;;
これゴルフ用語だったんですか〜…さっぱり知りませんでした;;
と、ああ、また時計の鐘の音が一つ鳴りましたね。レニが慌ててみんなを手招きしていると、自然と11時になりました。(照明も元に戻っています。)
異常空間から通常空間に戻りましたよ〜…レニだけがまだ時計を凝視して「???」な状態ですが。(^^;;

織姫「……お・そ・ば。まだですかー?」

婆さん「はいはい、只今〜」

織姫「(下手側にて、みんなのほうを指差しながら)
   ほーーらできない!絶対できない!一生できない!
   今日できない!どうしたってできない!もう金輪際できない!!
   もうお蕎麦は食べられませーーん!!(空になった徳利をみて)お酒〜〜!!」

早口でそう捲くし立てて、半泣きから泣きモードに移行しつつある織姫。そしてその後ろで時計の件でなんだかつかれてふらふら〜と席につくレニ。(^^;;
う〜ん、さくらさんたちは割ともう落ち着いて「待つわ〜」って感じなのですが…とそんな中、再びドンドンドン、と戸を叩く音が。

婆さん「あぁ、はいはい。」

さくら「あ、出ます!」

婆さんが手を休めて戸を開けに行こうとしますが、そこは戸に一番近いさくらさんが手をすっと上げて、心張り棒を外して戸を開けます。そこにいたのは…

さくら「あー!」

アイリス「あー!!!(店内に入ってきて、その場にいる全員を指差しながら)
     あー!あー!ああーーー!!!いたぁ〜〜!!」

それぞれの顔を見て口々に「あ!」「あらあら〜」など驚く面々。
そう、アイリス(夏服、に黄色いてぶくろとマフラーをして、ジャンポールは背中に背負って)と大神さんと、そして紅蘭(冬服。肩にカバンをかけて)!
ちょっと膨れながら店の奥のほうまで一気に入ってくるアイリス。そしてレニや織姫の下へ。

さくら「大神さん、シャワー室の掃除終わったんですか?」

大神「ああ…」

さくら「ごくろうさまでした。」(^^)

大神は入り口付近のまま、さくらと席を立って近くに来たマリアに「お疲れ様でした」と礼をされて、軽く礼で返す。
最後に入って来た紅蘭は、ちゃんと戸を閉めて、心張り棒も立ててから会話に参加。ちなみに、大神の掃除場所は「更衣室」の時もあったようです。

大神「ああ、それはいいんだ。
   それより……お腹、すいちゃったなぁ」

紅蘭「もう、なにしてますの〜!(火鉢のそばまで出ながら)
   いっくら待っても帰ってけぇへんのやから!」

アイリス「そうだよ〜!もう…
     待って、待って、待って、待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待ってたんだからぁ!!」

アイリス、下手側にいたのに一歩、二歩、と上手側にだんだん早く戻って、最後は同じ場所でグルグル回ってどんなに長く待っていたかを表現。
うう、長いこと待ってたんですねぇ;;
そして、はたと思いついたことは…

アイリス「……食べた?」

さくらたち「え?」

アイリス「ねぇ食べた?!」

アイリスのイキナリの追求に、みんな顔を見合わせてしどろもどろ。それじゃあ、誤解されますよ〜

アイリス「食べちゃったんだぁ〜〜〜(TT)」

わ〜〜ん!と紅蘭に抱きつくアイリス。ほら、誤解されてしまった;;

マリア「もう、そんなことあるわけ無いでしょ。
    実はね…斯く斯く云々なのよ。」

お、誤解を解く一番早い道ですな。(笑)

アイリス・大神・紅蘭「そ〜なんだぁ〜〜」

いつかの幽霊騒ぎと同じような声のトーンですね。あ、事情を知ったアイリスが可愛らしく手を合わせて謝っています。(^^)
織姫は、今一度お蕎麦の進行状況を確かめて…今はカンナが蕎麦生地を伸ばしています。

紅蘭「なるほどねぇ、なかなかできへんお蕎麦ねぇ…」(火鉢の火にあたりながら)

アイリス「(火鉢のそばに行きながら)でもさ、お蕎麦ってさ
     サ〜って食べられるからいいんでしょ?
     カンナが言ってたよ。江戸時代のファーストフードだって。
     …なのに…なかなか食べられないんだぁ……」

へろへろ〜と火鉢のそばにあったイスに座り込むアイリス。それがなんだか微笑ましい。(^^)
イスに座り、さくらに注いでもらった蕎麦茶を飲んでいた大神さんがその発言を受けて立ち上がり、紅蘭に一言。

大神「ねぇ紅蘭、なにかいい発明はないかな?
   蕎麦が…すかっとできるような!」

紅蘭「はいな!!(>▽<)
   こんなこともあろうかと…!」

さぁ、お約束路線になってきましたよ!大神の発言を受けた紅蘭は意気揚揚と舞台中央へ移動し、肩にしたバックの中をごそごそとあさって…さすがに今回は紅蘭に期待が高まるのか、みんな「えっ!?」とバタバタバタッと紅蘭を取り囲むように集まって息を呑んでいます!

紅蘭「これや!!」

♪ちゃらららっちゃら〜〜ん
といつもの音が入って、紅蘭にスポットが集まって…

紅蘭「名付けて、ゆでるくん1号〜〜!!」

うわぁ!うわぁ!!と無邪気に大喜びする面々。(特にレニや織姫)
え〜ちなみに形は……なんて言うんでしょう、豆電球の中身…コイルでしたっけ?フィラメントでしたっけ??まぁ、とにかくあれの形に似ています。それに、アイロンコードがついた感じです。

紅蘭「これはな、なんでも早よ茹でる!
   せやからお蕎麦も早よ出来上がる!」

得意げな紅蘭の説明に、みんな歓声を上げて拍手〜!とりわけ大きく拍手をしていたレニが褒め言葉を。

レニ「すごいよ、紅蘭!すごい発明だ!!あはははは!
……だけどね。(ここから声のトーンが変化)
   茹でるお蕎麦がまだ出来てないんだ。」

紅蘭「へっ?」

さくら「(なんだか申し訳なさそうに)お蕎麦今、捏ねてるの…」

アイリス「え?」

紅蘭「そうなん?」

予想外の仰天発言に、慌てて紅蘭とアイリスが織姫を通り越して蕎麦打ち場を覗くと…(レニも一緒に)

カンナ「よっ!」

紅蘭「よっ……
   伸ばしてるぅぅ〜〜〜」(TT)

アイリス「うわぁぁぁ〜〜ん;;」

思わずその場に崩れ落ちてしまうアイリス。そりゃ、そうですよねぇ(^^;;

紅蘭「う〜…まぁ、でもな。(アイリスの肩を叩いて励ます)
   照る日曇る日、うまくいかへんときもあります。(ゆでるくんをカバンに戻しながら)
   でもどんなときでも…」

と、足早にかえでさんとマリアが座っている真ん中のテーブルに向かい、丁度向かいにあったイスを持ってマリアの隣りに腰掛ける。

紅蘭「こうやって、なかまみんなでご飯を食べられるってことは嬉しい事や!
   (ばんっとテーブルを叩いて)お蕎麦、待ちましょ。
   待てば海路の日和ありや!な。」

マリア「それもそうね。」(^^)

うんうん、紅蘭らしい前向きな発言ですね。ずっと待ってて項垂れ気味だったメンバーも笑顔です。(^^)
この間に、座り込んでいたアイリスはレニの手を取って立ち上がり、織姫とともに下手側の席に着席。(座るとすぐにてぶくろとマフラーを机の下に置き、ジャンポールを抱えなおしました。)
さくらも、紅蘭に蕎麦茶を注いだところで、大神と同じテーブル(一番戸に近い場所)に着席。

かえで「ねぇ、み〜んな揃ったんだし、ここで食べましょうよ。」

かえでさんのナイスな発言にみんな「あぁ」と同意。

マリア「そうですね。(立ち上がって蕎麦打ち場に向かって)
    お婆さん!」

婆さん「はい〜」

マリア「持ち帰るのはやめにして、みんなここで食べていくことにします。
    (婆さん蕎麦打ち場から出てくる)
    都合…10人前で。」

婆さん「はいはい。盛り蕎麦でよろしいですか?」

織姫「(右手を上げながら)あたしおかめ蕎麦〜!」

と、織姫が注文をしたら次々と右手を上げながら注文が飛んできました!

さくら「あたし月見蕎麦!」
レニ「掛け蕎麦。」
大神「天ぷら蕎麦!」
アイリス「たぬき!」
紅蘭「にしん蕎麦!」
親方「力蕎麦!」
マリア「じゃおろし蕎麦。」

かえで「あたし鴨南!」

カンナ「鴨南はいいねぇ〜〜!!」(^^)

最後にかえでさんが立ち上がってそう言うと、蕎麦打ち場から出てきたカンナが相槌!そして…

全員「いいねぇ〜〜〜」

全員の声と共に、あのメロディーが。大神さんが「あ!」と閃いたかのようにイスを持って前方に出ると、イスの上に乗って歌いだし!

♪カモナ浅草!

大神「♪いいね 蕎麦はいいね 両国にはある」

ちょっと場所にあわせて替え歌入ってますね。(^^)
ここで大神さんイスの上から降りますが、続けて熱唱。

大神「♪愉快な蕎麦 いろんな蕎麦」
織姫「おかめに!」さくら「月見に!」大神「天ぷらー!」

立ち上がってそれぞれの蕎麦を言うメンバー達。(^^)
ここでさくらさんが同じようにイスを持って大神の隣りに並んで歌を引き継ぎ。

さくら「♪いいね おいしいものが両国にはある」
アイリス「たぬき〜蕎麦」
紅蘭「にしん〜蕎麦」
親方「力に!」マリア「おろしに」かえで「♪鴨南〜」
レニ「掛け蕎麦は?」

レニだけちょっと字余りでしたね。(^^;;
サビに入ると全員大神さんやさくらのいる位置と同じラインにそれぞれ座っていたイスを並べてダンス!
(ちなみに、下手端からアイリス、織姫、レニ、かえで、親方、紅蘭、マリア、さくら、大神です。)

全員「♪鴨南鴨南鴨南 カモナンカモナンカモナン カモナおいでよ楽しい両国
    鴨南鴨南鴨南 カモナンカモナンカモナン」
さくら「♪カモナ両国 ステップ軽やか
大神   心弾む夢のように 輝いてる昼も夜も さぁみんなで踊ろう
    1!」
2人以外「1!」
さくら・大神「2!」
2人以外「2!」
全員「3!!」

ここで蕎麦を伸ばし終えたカンナと婆さんも合流。婆さんはアイリスの隣りに、カンナは伸ばした蕎麦を棒にかけたまま踊るみんなの前を横切って蕎麦の進み具合を披露。

全員「♪カモナおいでよ 美味しい両国
    カモナ両国 陽気な街だよ
    カモナおいでよ 嬉しい両国
    カモナ両国 みんなの町だよ〜」

このサビでは前を歩いていたカンナ以外の方々は隣りの人とペアで踊っていて、それがまた素敵でした♪
イスに戻って、婆さんとカンナがかかげる蕎麦をみてフィニッシュ!

カンナ「お〜〜いここまでできたぞ〜!!」

伸ばし終えた蕎麦を見て、みんななんだか嬉しそう。(笑)
さぁ、これからその蕎麦生地を切らないとね。
曲も終わり、照明もダンスナンバー中の華やかな感じから元に戻ると、みんなもイスごと元の位置へ。
戻る最中、ふとさくらが疑問を…

さくら「あ、ねぇえ…
    なんで「なんばん」って言うんでしょう?」

マリア「あ、それはね…
    大阪に、難波って場所があって、そこはネギで有名なんですって。
    それで、お蕎麦にたっぷりネギを使ったものを、難波蕎麦って言ったらしいの。
    鴨難波、が訛って…」

全員「かもなんばん?」

「えぇ〜」とか「へぇ〜〜」と口々にマリアさんの豆知識に関心を示す。(ふっとレニを見ると、フジテレビの某番組のように机を叩いていました。(笑)3回くらい。(大笑))
にわかに笑い声が響く中、マリアさんが歌の前の会話をつなげます。

マリア「ねぇ、それよりお婆さん大変だから、みんな同じ物にしない?」

織姫「え〜!同じ物ですか〜?」

みんな頷いておりますが、織姫だけはすこし不満そう…と、その背後からカンナの声が。蕎麦切りはお婆さんに任せたみたいですね。

カンナ「そうだよ、同じ物にしろよ!大変なんだから。
    婆ちゃん!みんな盛り蕎麦な!」

婆さん「はい〜」

カンナ「都合…15枚だ!」

えっ?と顔を見合わせる面々。

さくら「10人ですよ?」

カンナ「…あたいが6枚食う。」

カンナは大食漢ですからね〜(笑)再び手伝いに蕎麦打ち場に戻るカンナに背中越しにアイリスが「カンナは食いしん坊だね〜」など言ってとてもほんわか和やかな雰囲気に、かえでさんが頬杖ついて一言

かえで「あぁ…いいわねぇ
    こうしてみんなで一緒に迎える大晦日。これが幸せなんだって感じだわ〜…」

そうですね、近くに転がってる幸せって大事ですよね。特に花組はこうした日常の平和って大事にしていますものね。

かえで「♪誰だって 本当は 楽しいことが好きさ〜」

お、先ほどは水を差されてしまった「つばさ」!近くに座っていた紅蘭が歌いだしたかえでさんを両手を合わせて嬉しそうに見ていると、かえでさんから顔を見合わせてきて、紅蘭にバトンタッチ(ちなみに、メロディーは流れていません)

紅蘭「♪誰だって 時々は 嬉しいこともあるさ〜」(^^)

ちらっと周りを見て照れたように笑う紅蘭。(^^)
ここでメロディーが流れてきます。

紅蘭「…なぁみんな。ちょっと想像してみて。
   空にぽっかり白い雲……なんに見える?」

♪つばさ

前奏部分でそう言った紅蘭…みなさんは何に見えましたか?(^^)
照明も変化して、なんだか優しい雰囲気のなか、立ち上がった紅蘭にスポットが

紅蘭「♪誰だって それなりに 落ち込むこともあるね
    誰だって 時々は 悲しいこともあるね
    でも どんな時でも空を見上げよう
    あの雲を追いかけあの雲を追いかけ あの雲にキスをしよう」

紅蘭の声ってとってものびやかですよね座っていたアイリスがニッコリと笑って立ち上がると、紅蘭のほっぺたにジャンポールで「ちゅっ」とキスを。笑顔で顔を見合わせる2人。微笑ましい〜(^^)
次のパートですが、ここからは人数が増えます。アイリスも紅蘭の隣りにあったイスに座って参加。

かえで・親方「♪誰だって   本当は  楽しいことが好きさ」
     アイリス「♪誰だって  本当は」
レニ・マリア「♪誰だって   時々は  嬉しいこともあるさ」
   他のメンバー「♪誰だって  時々は」

レニとマリアも立ち上がって真ん中のテーブルの両端に。
そして作業終了間近な蕎麦打ち場から顔を出してきたカンナと織姫が手を取り合って、足を進めながら続きを

カンナ・織姫「♪さぁ そんな時には 空を見上げよう」

このままこの2人でもう1フレーズ歌うかと思ったら、二人そろってかえでさんに譲る!
いきなり指名されたかえでさんは慌てつつも目の前にあったイスの上に乗って続きを。(笑)

かえで「♪あの雲に乗ろうよ あの雲に乗ろうよ あの雲をベッドにしよう〜」

ノリノリなあまりちょっとバランスを崩して落ちそうになりますが、そこはかえでさんと花組たち。しっかり支えて着地して、サビは切り終わった蕎麦を持ってきた婆さんも加えて全員で合唱。

全員「♪空想は 僕のつばさ
    明日 雲の上で眠ろう
    空想は 僕の強さ
    きっと未来への 僕のつばささ」

しっとりとまとめ上げて終了。合唱の「つばさ」…良いものを聞きました。(^^)

カンナ「ほら、できたぞ〜!」

婆さんが二つのお盆に分けた一つをカンナが持ってかえでさん、レニ、親方に披露!もう一つは婆さんが持って織姫やアイリス、紅蘭、マリアに披露。「香りがいいでしょう〜」と婆さん。みんな待ちに待っていたから嬉しそうですね。
と、そこへドンドンドンドンッと戸を叩く音が…

さくら「あ、出ます〜」

大神が出ようとしたが、それよりもさくらが早く先ほどと同じように突っ張り棒を外す。
そして戸を開けようとすると…さくらが戸を引く前にばんっと開いたかと思うと、若い男が慌てた様子と勝って知ったるとばかりに素早く中に入り、突っ張り棒を立ててバタバタと婆さんの近くへ……そう、権太郎一家に追われている婆さんの息子、鶴吉です。

鶴吉「おっかぁ!
   …おっかぁ!!」

蕎麦も出来上がり和やかだった雰囲気だったのが、婆さんと鶴吉の目が合った事で一変。空気が止まったかと思うと…

婆さん「〜〜〜〜っお前におっかぁと言われる筋合いは無いよ!!」

と、思わず手に持っていた蕎麦を鶴吉にぶっ掛ける!!…ってせっかくの蕎麦がー!!( ̄□ ̄;;
思わず全員「あああ〜〜〜!!」と声が上がってしまいます;;
慌てて紅蘭とアイリスが蕎麦を拾い上げますが……うー、後の祭りですね(汗)

鶴吉「なにしやがんでぇ!
   …っおい、そんなことよりよ、権太郎親分来なかったか?」

婆さん「来たよぉ!」

鶴吉「ちっきしょう、ここもダメか…!

帰ってくるなりその一言の放蕩息子に、婆さんは泣きたいんだか怒りたいんだか入り混じりすぎてわからないといった様子で肩が震えています…その様子に蕎麦に目が行っていた花組もこの親子の様子を見ます。

婆さん「なんだい!店もろくに手伝わねぇで!
    博打ばっかりやっていて…もう何処へなりともお行き!!
    死んじまったものと思って諦めるよぉ……
    さぁ…さぁ、出てお行き!!」

うっうっと顔をゆがめて足をふらつかせて倒れる婆さん。思わずそれそ支えようと花組の面々が動きますが、それよりも早く鶴吉が婆さんの傍に。

鶴吉「おっかさん!!(肩を抱きながら)
   あぁ……無理もねぇや…小せぇ時分に離れ離れ…
   親でもねぇ、子でもねぇと言いてぇ気持ちはよぉ〜〜くわからぁ…
   (くっと立ち上がり)でもよぉおっかさん!!
   あっしは…この鶴吉は…!
   こうして両の瞼しっかり閉じりゃあ…今でもあの頃の、
   別れた頃のおっかさんの顔がぁ…!!」

うっ…感動的な話ですね。と花組の面々がこころにじ〜んとしたものを感じているのですが、そこに炸裂するのは立ち上がった婆さんのお盆一発!

婆さん「バカ野郎、別れたのは一月まえじゃないかこの親不孝者!」

そんなオチですかい!!(爆)
これには聞いていたメンバーも「なぁんだ…」と拍子抜け;;
何となく一段落したところで、落ちたお蕎麦をアイリスと紅蘭から受け取ってレニが蕎麦打ち場へ戻す。今まで立って聞いていた面々も織姫とさくらを除き、また座っています。
…まぁ、一段落といっても、まだ鶴吉とお婆さんの会話は続いていますが…

鶴吉「ばばあ、金ねぇか?金よこせ。」

お涙頂戴の芝居も効をなさなかった鶴吉は態度を一変して強気に。

婆さん「そんなもんあるもんかい!!
    わたしの着物も、死んだじいさんの形見も…
    金目の物はみんなお前が持ってっちまったじゃないか!!」

う〜〜…そりゃ酷い…けれど鶴吉はそんなこと気にも止めない様子で真ん中のテーブルの空いてる席に座り、酒を軽く煽る。う〜ん、周りはなんとなく非難の目で見ています。

鶴吉「バカ野郎、わかってんだよ。
   (立ち上がって)仕込みの金があったろ。あれよこせ。」

婆さん「おっ……お前というやつは〜〜〜〜!!」

とうとう辛抱ならなくなった婆さんはお盆を振り上げて殴りにかかりますが、あっさりかわされて膝をついてしまいます;;
周りは完全に非難の目で鶴吉を見てますな…見かねた織姫がカンナに合図し、もう一つの蕎麦が乗ったお盆を持ったままカンナが仲裁に向かいます。

鶴吉「頼むよおっかさん!
   …今まではサイコロの目が悪かったんだ!
   でもよ、こいつは男の戦いだ。
   俺は必ず勝つんだ!それでおっかさんにも良い目みせるからよ!」

な!と婆さんの肩をとんっと叩く鶴吉。
なんともまぁ、調子の良い鶴吉に、お婆さんもほとほと愛想がつきているようで…?

婆さん「(睨みつけて)何が良い目だい!精々痛い目を見るといいんだ!!
    男の戦いだって?ええ!一体どの口がそんなこと言うんだい!!(鶴吉の頬をつねる)」

カンナ「(二人の間に入りながら)おいおいおい!やめろよ、店の中で親子喧嘩は…」

婆さん「(カンナを素通りして)この怠け者!!」
カンナ「なぁ、やめろって…」
婆さん「さぁ出てお行き!!!」

お盆で小突く婆さんに、鶴吉はうざったそうに腕を振り上げる。

鶴吉「うるせぇなぁ!!」

その拍子に婆さんがよろめき、後ろにいたカンナにぶつかって…

カンナ「あーー!!!なにすんだよもう…」

蕎麦がまたまたおじゃんに!!( ̄□ ̄;;;;
花組の面々も思わず立ち上がっって「あーー!!」とカンナと一緒に声をあげますが…はい、後の祭りですね。(TT)
カンナと紅蘭とアイリスで拾って下手の方へ…あー、これで全ての蕎麦がダメになってしまいましたね;;
そんなゴタゴタした中、かすかに聞こえた戸を叩く音に婆さんがよろよろと立ち上がろうとすると、再びさくらが「出ます!」と突っ張り棒を外しに行くと…

さくら「きゃああ!」

外すや否や、権太郎一家が店に殴りこみ!!思わず横に逃げるさくら。とっさにお婆さんを避難させる織姫と立ち上がる花組の面々。

大男「おおっと、居たいたぁ!!」

けれど、それどころではないのが鶴吉!目が合うなりドタドタと店の奥へ行きますが…

大男「つかまえろぉ!!」

大男の指示に、ゴロツキと帽子の男が素早く店の奥へ!あっさり捕まって親分の前に引きずり出されました。
火鉢の前のイスにどっかりと座って腕を組んでいる親分をみて、鶴吉はまるで蛇に睨まれたかえるのように脅えて土下座を…

鶴吉「あ…ど、どうか、見逃してください!
   今回限りはお許しを……(ゆっくりと立ち上がる親分)
   あ、借金は返します!分割で返しますから!ね、ね…」

親分の足元にすがりつきながら必死の鶴吉。ですが、そんな言い訳が立つ相手じゃあ…ありません。がっしと鶴吉の首根っこをつかむ!

鶴吉「いっ」

親分「そうはいかねぇんだよ、鶴吉…」

婆さん「親分さんっ…!!」

鶴吉の運命やいかに…と緊迫した空気を裂いたのは前に出てきた婆さん。そしてそれを見て兄貴分の男がお相手を…

兄貴分「よぉ〜婆さん!
    さっき言ったよな。煮るなと焼くなとどうにでもしてくれってよ。」

婆さん「そ、それは…」

兄貴分「もう親でもなきゃあ、子でもねぇんだろ。」

婆さん「それは…!」

兄貴分「それは?」

婆さん「それは!」

兄貴分「それはぁ!?」

婆さん「それは……
    煮るなと焼くなというのは鴨南の調理法でして…」

と、苦しい言い訳を立てる婆さん。

―――――

この苦しい言い訳、日によって違うようで、あるときは
「それは、あなたの聞き間違い?ああ、それともあなたの勘違い?やっぱりあなたの一人相撲?…さぁこの三つのうちからお好きな答えをお選びくださいどうぞ〜!」だったり
「本当の答えはあたしの腹の中に〜〜みせられないぃ〜〜さぁどうぞ!あたしの腹を切ってください!!(兄貴分の男が手に持っている刀を持って腹に触れさせて)ああ〜〜〜いたいぃぃ〜〜〜〜」だったりしてました。なんにせよ、苦しすぎる言い訳には変わりません。(^^;;

―――――

兄貴分「なに言ってやがんだ!」

と、婆さんを一蹴!鶴吉捕獲を大男に任せた親分が2歩3歩と婆さんに近づく。

親分「もらってくぞ。
   (手下に向かって)おい、引き上げだぁ!!」

手下ども「へい!!」

無情にも去っていこうとする権太郎一家と鶴吉を見ながら婆さんが「鶴吉…!鶴吉…!!」とよろよろと立ち上がって名を呼びつづける…
たまらなくなった鶴吉は両腕を抑えるゴロツキと帽子の男を振り払って母親のもとに向かおうとしますが…
すかさず親分に腹に一撃入れられてうずくまってしまいます!それでも、その手は母親に伸びて…

鶴吉「おっかさん…!!」

婆さん「鶴吉ぃ〜〜…!!!」

鶴吉「おっかさ――ああぁ!!」

その伸ばしたても親分に踏みつけられ、どうにもならない状態に…

親分「おい!!いいから両国橋から川ん中放り込め!!」

手下ども「へい!!」

今度は逃げられないようにしっかりと鶴吉を捕まえて去ろうとする権太郎親分たちに、婆さんは必死にすがり付いて情けを求めますが…

婆さん「親分さん…!親分さん…!親分さん…!親分さん……!!」

親分「しつけぇぞ、おらぁ!!」

情け無用の親分は振り払うように足を蹴り上げると、その反動で婆さんは転んでうずくまってしまった!
今まではらはらした様子で事態を見ていた花組でしたが、もう見てられなくなったさくらが堪らず飛び出して婆さんをかばう。

さくら「やめなさい!!(鶴吉を見て)その人放してください!!」

さくらの鋭い一言に権太郎一家が振り返りますが、それを掃うようにお婆さんの声が…

婆さん「いいんですっ!!
    …あいつは……あいつは、自業自得なんです…っ!」

鶴吉「おっかさん………」

てっきり庇ってくれると思ったのでしょうか、少々ショックの色が隠せない鶴吉。そして、婆さんにそうまで言われてしまうと言葉が出ない帝劇メンバー…

大男「つれてけぇ!!」

ゴロツキ「へい!」

大神「……あの…!!」

でも、それでも放っておけないのが帝劇の面々。一歩前に出て親分を背中から呼び止める。

親分「(振り返りながら)…なんでぇ。」

大神「どうしても、許してもらえないんですか?」

兄貴分「あたぼうよ!!
    博打の借金は逃げも隠れも出来ねぇってのがしきたりだ。
    カラスがカァと鳴きゃあ返すがほうよ。」

大男「ましてや今日は大晦日!
   待つ門松も早かろう!」

親分「さ、お素人衆の口出しする所じゃあございやせん。
   お怪我なさらないように…(ばっと3人並んで右手を前に、中腰姿勢で挨拶)
   引っ込んどいておくんなせぇ。」

大神「…………」

親分「行くぞ!」

子分ども「へい!!」

「ほらとっとと歩け!」など言いながら、店の外へ鶴吉を連れて行く権太郎一家。その道に決まり事があれば、ヤクザには、ヤクザのしきたりが…といったところでしょうか。
座り込んだまま去って行く息子を笑いながら連れて行く権太郎一家の背中を見つづける婆さん―――閉じられた戸の後には、重い沈黙が……

カンナ「…おい、マリア。どうするよ。
    あいつ、どざえもんになっちゃうよ〜。」

カンナの呟きに、この場は何も言わないで座るマリア。
そして婆さんは、こらえきれなくなった涙をぼろぼろ零しながら、ただただ息子の名前を呼びつづける…

婆さん「鶴吉…!鶴吉…!!…鶴吉〜〜〜〜!!!!!」

泣き崩れる婆さんにスポットがあたりながら、舞台暗転。
婆さんを残して回り舞台が回り、暗い中場面転換。転換しきる前に婆さんもふらふらと立ち上がり、上手へ下がる。
転換先は両国橋の付近の土手―――最後まで暴れる鶴吉を抑える帽子の男とゴロツキ。そこに、筵(むしろ)を担いだ大男と兄貴分の男がやって来て…

大男「兄(あん)ちゃん!」
親分「よぉ、遅かったじゃねぇか!」
大男「ごめんよぉ、兄ちゃん。」
兄貴分「それより兄ちゃん!ひっさびさの簀巻きだねぇ!!」

おお〜〜っと盛り上がる権太郎一家。そこに隙を発見した鶴吉は見逃すことなくゴロツキと帽子の男の腕を振りほどいて走り出す!!

親分「なにやってんだ!捕まえろ!!」

兄貴分の男の腕をするりと抜けてうまく逃げられたかとおもいきや!大男の腕にがっしと捕まれて失敗;;
元の、上手側の土手上まで戻されると、どんっと落とされる鶴吉。

大男「逃げられると思ってんのか〜!?」

そしてその首根っこを親分がつかんで、土手下に投げ落とす親分。

親分「へっへっへ…おい!!」

手下ども「へい!!」

落とされた鶴吉がふらつきながらもと立ち上がるのと同時に、子分たちも土手下へ向かい、鶴吉の周りを固める!

親分「簀巻き、フォーメーションだ!!」

手下ども「やぁ!!」

フォーメーションって!(爆)
じゃあ、そう言ってるんですから、それぞれの立ち位置でも書きましょうか。(笑)
親分だけが現段階で土手の上に居ます。

        親分○
    兄貴分○     ○大男
 帽子の男○   ●鶴吉    ○ゴロツキ

ゴロツキ「ゴロツキ、アターック!」
帽子の男「三平、チョップ!!」
大男「末っ子ボンバー!!!」
兄貴分「次男坊スマッシュ!!!!」
親分「親分、アッパー!!!!!」

見事な交差方連続攻撃!!(笑)
親方は3人目の攻撃が終わった辺りで土手下に飛び降りてスタンバイしていました。もう鶴吉立っているのがやっとのようです。風が吹けば倒れます。

親分「フィニッシュ!!」

親分がばっと真ん中を譲ると、手早く帽子の男が筵を広げて準備!

帽子の男「筵よーし!」
全員「おう!」
大男「(鶴吉を突き飛ばして)中身よーし!」
全員「おう!」

筵の後ろに帽子の男とゴロツキがスタンバイ。

親分「よぉ〜〜〜!」
大男・兄貴分「巻いて巻いて〜!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、それ!」
大男・兄貴分「巻いて巻いて〜!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、それ!」
大男・兄貴分「巻いて巻いて〜!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、それ!」

ぐるぐると鶴吉を簀巻きにしていく権太郎一家。なんだかスキップまでして楽しそうです。(笑)

大男・兄貴分「縛って縛って!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、そぉれ!」
大男・兄貴分「縛って縛って!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、そぉれ!」
大男・兄貴分「縛って縛って〜!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、そぉれ!」
大男・兄貴分「縛って、縛って〜〜〜!」
帽子の男・ゴロツキ「そぉれ、そぉれ〜〜〜!」

おお、もの凄いスピーディーな作業!あっと言う間に鶴吉が簀巻きにされました〜!!…ってここは感心する所なのか!?(爆)

親分「マッスルゥゥゥゥ〜〜〜〜!!」

親方の掛け声に兄貴分以外の三人で「そぉぉうれぇぇぇ!!」と鶴吉を担ぎ上げる!!

大男「ひっさびさの簀巻きだぁぁ〜〜〜!!」

兄貴分「胸が高鳴るねぇ兄ちゃん!」

親分「高鳴るなぁ弟よ!!」

うっわ、めっさ嬉しそう。(汗)

大男「お、おいらもう、我慢できないよぉ〜〜!」

親分「全力でいけーー!!」

子分ども「おおおおおーー!!
     せーの!!!」

助走もつけて、いざ川へ!!どうにもできない鶴吉。このままどざえもん決定か!?
と、あわやというところに響く銃声!!それに驚き、体勢が崩れる権太郎一家。

マリア「お待ちなさい!」

びしっと響く声。そして、薄暗くなった照明の舞台の上手、土手上から登場したのは!!
ツケ板を拍子木で鳴らす音が響く中、傘を顔を隠すように回しながら順番に登場する花組!(先頭から順にマリア、アイリス、レニ、さくら、紅蘭、織姫、カンナ)
なんだか「つばさ」時の立ち回りを彷彿とさせますね。
バタバタバタ…バタッと音と同時に花組もくるりと傘を肩に当てて背中を向ける。

親分「誰だ!?」

チョンッと拍子木一つ。そしてスポットと共に振り返るのは先頭のマリア!

マリア「問われて名乗るのもおこがましいが
    あえていっぱいのお客様へのご挨拶方々、名乗ることにいたしましょう…
    花のお江戸に咲く花の、その名も高き桜花!
    桜と言えば、言わずと知れたサクラ大戦。
    さぁ!その中で、銃の名手はこの私―――
    (傘を手前に落として、ぱっと持ち手を離して傘の縁をつかみなおす)
    マリア!タチバナ。」

ぴしっと決まって…惚れ惚れするほどカッコイイです!!(><)
やっぱり口上、見得は粋で気持ちがいいですね!
ここで再び拍子木が一つなって次の方へ。お次はカンナ!

カンナ「初春に、喧嘩支度の桜花。
    ぱっと咲きます腕っ節!!
    あたいが―――
    (くるりと体の前を通して右肩に傘の芯を当てて、左手で傘の縁をつかむ)
    あ!桐島カンナ〜だぁ〜!!」

歌舞伎の見得風に決めるカンナ。様になってます!
続いてはアイリス。

アイリス「幼い胸に日本の美学!
     仏蘭西渡りの(ちょん、と左足のつま先を立てる)可愛い子
     (すっと傘の芯を右肩に当てて、膝をつく)アイリスです!」

アイリス可愛い!
さてお次は「つばさ」のときはある意味見事な口上を見せた織姫!

織姫「スパゲッティーは茹で加減!
   度胸は人情のいい加減。ラテン魂の―――
   (膝をついて、傘の縁を地面に当てて右から左へと弧を描く)
   あ!ソレッタ・織姫!」

ぴしっと左手も上げて決め!
さぁ、その次は…こちらも「つばさ」時では個性的な口上を見せたレニ!

レニ「(振り向いて傘を閉じて、権太郎一家を一瞥。右手を胸の所まで上げて挨拶)
   ……レニ、です。」

「つばさ」時の雰囲気継続でした。(^^;;
みんなずっこけてますが、もちろんそれは一瞬のことで次の紅蘭の時には直ってますよ。

紅蘭「夢は朧に、日は西に。
   今日明日への発明人生!
   (上げた傘を体の前を通して、芯を腰のあたりに当てて体の後ろに)
   李!紅蘭!!」

紅蘭も口上が似合いますよね。
さぁ、最後はもちろんさくらです!

さくら「さて、どん尻に控えしは
    度胸、愛嬌、昨日今日…
    剣を取っては日本一の―――
    (すっと上げた傘を右肩に落として左手で襟元を抑える)
    あたしが、真宮寺!さくら。」

マリア「ここに!!」

さくらもバッチリ決まった所に、マリアさんの声が。
全員立ち上がり、傘を足元まで落として同じポーズを。そして―――

全員「帝国歌劇団・花組!
   (傘を右手に持ち、高々と上げる)勢揃い!!」

いよっ花組!!と掛け声もバッチリ!!
ここぞ!という場面に、口上は本当に似合いです。

兄貴分「しゃらくせぇ!やっちまえ!!」

権太郎一家の中でも一際血の気が多そうな兄貴分の男は楽しみの簀巻きを邪魔されてご立腹。手下たちも「おう!!」と声を上げて乱闘開始か!?と構えていると…

カンナ「待ったぁ!!(傘をその場に置いて土手下への階段を下りる)
    待て待て待て待て待て!
    (中央に転がったままの鶴吉の真後ろに立ち)あいや、しばらく!
    あ!しば〜ら〜〜くぅ〜〜!!」

先ほどの決めよろしく、歌舞伎風に止めるカンナ!ツケ板の音とも相成って、様になっております!
カンナに続いて、織姫、紅蘭も傘を閉じて土手下へ。織姫が親分、帽子の男の居る下手側へ。紅蘭が大男、兄貴分、ゴロツキのいる上手側へそれぞれ立ちふさがります。(カンナが権太郎一家を止めている間に、土手上に残ったメンバーも傘を閉じています。広げたまま転がっている傘はレニがカンナのいた位置まで行ってちゃんと閉じています。)

さくら「あたしたちはあなた方と喧嘩に来たわけじゃありません。
    話し合いに来たんです!」

と、土手上からさくらが言うと、納得のいかない顔のまま兄貴分の男が「話し合いだぁ?」と相槌を打つ。

マリア「そう。(簀巻きにされた鶴吉を見て)
    その鶴吉さん。稼業も省みず放蕩三昧。挙句の果ての博打の借金―――
    どんな目に合おうと、身から出たサビ、自業自得だと思うわ。
    …でもね。こんな男でも、死ねば悲しむ人がたった一人だけいるの。
    (親分のほうに顔を向けて)親分さんにもいるでしょう?」

親分「……」

織姫「(ばっと右手を前に、左手に傘を持って後ろに回し中腰姿勢になり)
   親分さんを男と見込んでお頼申し上げます!
   (すっと姿勢をといて、声のトーンを戻す)どうかこの借金
   もう少し待ってもらえないでーすか?」

大男「なぁ〜〜んだとぉ〜〜〜!?」

まったくもって納得のいかない権太郎一家の大男が思わず声を上げるが、そちら側にいた紅蘭にすっとたしなめられ言葉を閉じる。
すかさずカンナが足元で転がっている鶴吉の頭を起して話を続ける。

カンナ「なぁ、鶴吉よぉ。
    お前さ、生まれ変わったつもりで、死ぬ気で働くか?
    死ぬ気で働いて借金返ぇせるか!?」

鶴吉「も、もちろんだ!俺ぁもう、博打はこりごりだ…!
   これからぁ、昼も夜も真面目に働いて借金返しやす……!」

よし、と鶴吉の返答を聞いたカンナはぱっと手を放して立ち上がり親分のほうを見る…放した拍子に鶴吉がちょっと頭ぶつけたみたいですけど、それは大事無いみたいなんでいいですかね(^^;;

カンナ「親分さんよぉ…こいつも、こう言ってんだ。
    ここは、あたいたちに免じて、その振り上げた拳―――納めちゃあもらえねぇかな。」

冷静に、人情の筋を通そうとするカンナ。ですが、その場でそれが通じるかと言えば……

親分「おいおい、花組のねぇちゃんたちよ。
   そりゃあ、出来ねぇ相談だぜ。」

兄貴分「こちとら縦横七分のサイコロに、命をかける鉄火場稼業!
    素人なんざの言葉に「はいそうですか」とすっこんでいたんじゃあ
    渡世の義理がたたねぇ!!」

大男「どうしてもって言うんなら…(ばっと構えて)
   力ずくでかかってきな!!」

マリア「そう…!
    …手荒なマネはしたくなかったけど(アイリスたちを見ながら)
    仕方ないわね。
    それじゃあ…ちょっとだけ…痛い目見てもらうわよ。」

マリアさんが静かにそう言うと、それぞれ臨戦体勢へ!(ここでちょっと気になるのは紅蘭の構え…思いっきりバズーカくんなんですけど…まさかその傘仕込み傘!?)

カンナ「まぁ、待てよマリア。
    こんな連中…あたい一人で充分だ。」

にやり、と笑うと拳を鳴らすカンナ。その言葉に少々驚く権太郎一家。
おお、カンナさんの奮闘!!と思ったのもつかの間、(^^;;

カンナ「さくら!助太刀しなさい。」

全員「えっ??」

そうきますかー!!(爆)細い声でそういうカンナさんは、すっかりギャグパートの人に;;

紅蘭「一人やないやん!」

紅蘭の鋭いツッコミは、とりあえずスルーしてさくらを呼ぶカンナ。そして呼ばれるまま土手下へ行くさくら。(笑)
入れ違いに紅蘭が土手の上へ戻り、織姫はすっと後ろに下がります。

カンナ「いいから早く、さくら!ここに、ここに!!(上手側の自分の横を指示)
    さくらにも見せ場をやろうと…!!」

あぁ、先輩心だったんですかぁ〜って、こらこら。(笑)
半ば呆れつつも、ちゃんと構えるさくら。

さくら「…はい。」

カンナ「…かかってきなさい。」

今さらかっこいいトーンで挑発しても遅いです、カンナさん。(^^;;
でもこれで「しゃらくせぇ!!」「野郎どもやっちまえ!!」と権太郎一家がつかみかかってきたので乱闘開始!!
ばしっ、ばしっと相手をするさくらとカンナ。

ちなみに、このとき土手上に残ったメンバーはと言いますと…紅蘭とレニは土手上と土手下を繋ぐ階段のそばに隣同士に座って、レニが上着から二つ取り出した携帯コップを持って、傘を傾けて(ってやっぱり仕込み傘だったんですか?)すっかり観戦モード。(笑)
一方、下手側の土手上に残ったマリアとアイリスは―――アイリスは紅蘭たち同様、土手の縁に座って観戦。マリアさんは立ったまま状況を見ています。
そして、土手下に残った織姫は乱闘に巻き込まれないように鶴吉を奥に避難させた後、簀巻きを解き解放しますが、そのまま正座させてお説教モードに。(大笑)

と、おおまかに蹴散らしてだいたい相手をする奴が決まったそうですね。まずはカンナが先に舞台中央であの大男と対戦!力比べから始まり、相手の攻撃を裏拳で全て受けて、最後は大ジャンプ(後ろの大男に支えてもらって…リフトってやつですね。)で見事に交わして、着地と同時に「久流々波!」でトドメ!!
(ちなみに、この着地―――一緒に見ていた妹曰く「マト○ックス」のトリニティみたいだ、とのこと。私はちゃんと「マトリッ○ス」を見ていないのでよくわかりませんでしたが。(^^;;)

さくら「危ない!カンナさん!!」

一人倒したところで隙をつかれそうになったカンナを上手からぱっと走りこんできたさくらが親分の不意打ちを見事に受けて流します!

カンナ「いいぞ!さくら!!」

舞台中央をさくらに譲り、カンナは上手の後ろの方へ。
この辺で土手上観戦組にも少し変化が。蹴散らされた一家が遊ばれています。(爆)
マリア、アイリスの間に転がってきた帽子の男は、アイリスの超能力でくるくる回されて、べたっと土手の縁に両手を広げた状態で固定されたと思ったら、アイリスがカバンから出したお菓子をぱらぱらと食べさせられています。ある意味おいしい。(笑)

このアイリスが食べさせていたお菓子も日替わりだったようで、初日はイチゴポッキー、3日夜は苺、4日は昼夜ともみかん、千穐楽は鯛焼きだったそうです。(鯛焼きは食べやすいように潰していたみたいです。)
マリアさんはそれをしゃがんで見守っています。(大笑)

一方、レニと紅蘭のほうは、たまたま目が合ってしまったゴロツキを、二人一緒に傘の持ち手のほうを口に当てて「ふっ」と吹き矢のごとく吹き付けて倒します。やっぱりその傘、仕込み傘ですね!!(笑)

速い動きで殺陣を披露するさくらと親分ですが、やはりさくらのほうが上手!

さくら「はいっ」

と傘で脳天に一撃食らわせて上手の方へ退却させています!カンナの「さくらカッコイイ!」の声も楽しそうですね〜このあたりで、織姫が説教を終えて鶴吉を立たせて土手上に送り、自分も土手上に戻ろうとします。
…さて、ここまで接近戦でこてんぱんにやられたら……出てくるのはあれですよね。

親分「おい!やっちまえ!!」

兄貴分「そこまでだ!!
    手ぇ上げろ!」

大男「手ぇ上げろ!!」

いつの間にか上手にはライフルを構えた兄貴分が!
言われるままに手を上げるさくら、カンナ。土手上にいたメンバーも立ち上がり、全員同様に―――全員?

兄貴分「タマとったるでぇ!!」

マリア「さくら!!」

パンッと響く銃声!!そう、早撃ちなら、銃ならマリアさんの相手!!
ここで「しゅるるるるる…」と銃弾が飛ぶ音と共に、時間経過がスローモーションに変化。弾の動きを絞られた照明で表現して…
まず大男の振り上げた手首を通り抜け…帽子の男の帽子を弾き…さくらの前を横切ろうとした瞬間!!
なんとさくらが「かちっ」と弾をつかんでみょ〜〜〜に楽しそうな、満面の笑みで狙いをつけ直すと、再び投げた!(驚…いや、これには花組メンバーもビックリでしたよ;;)

そして再び放たれた銃弾はカンナの鼻先を掠め…ゴロツキの武器を弾き…親分の手元を通り…

兄貴分「うわぁぁぁあああっ!」

見事に兄貴分の持つライフルを手からはじき落としました!!!
やったやったぁ!と喜び合う花組の面々。さっすがマリアさん!!!……いや、さくらさん?(^^;;
あんな離れ業に出るとは……と、飛び道具すら通じない相手では、もう、こうするしかないですよね。

親分「まいった!!(舞台中央に行き、土下座をしながら)降参だ!!」

子分たち「(同様に土下座をしながら)降参です!!」

立ち位置的には、丁度簀巻きフォーメーションの逆みたいですね。

親分「いやぁ〜さすが音に聞こえた花組さんだ。
   あっしらみたいな半端もんには、太刀打ちできねぇや。」

って、花組ってそんなにヤクザ界に名が知れ渡ってるんですか?(汗)

兄貴分「もうこてんぱんだよ〜」

大男「ねぇちゃんたちカッコいいな!」

帽子の男「お見逸れしやした!」

と、もう一度全員で深々とお辞儀。花組、大勝利ですね。
なんだか照れたように笑いあう花組の面々。と、そこに「ごーーん…」と鐘を撞く音が…

アイリス「あ〜…除夜の鐘だぁ…」

あ…とうとう、年越しちゃいましたね;;
もう一度「ごーーん…」と鐘の音がすると、ぺちっと額を叩く親分。

親分「いけねぇ、いけねぇ〜年が明けちまった。」

子分たち「明けちまったなぁ、兄ちゃん。」

親分「こりゃあ、博打の借金はチャラだ。」

子分たち「チャラだね、兄ちゃん!」

紅蘭「ええっ!?」

声を上げたのは紅蘭ですが、全員が全員驚きを隠せません。借金の張本人、鶴吉は土手上から土手下へ飛び降りて、なんだか信じられない様子。

兄貴分「博打の借金は年が明けたらチャラって昔っから決まってんだよ!
    なぁ、兄ちゃん。」

親分「ああ。」

なるほど〜〜だから、「待つ門松も早かろう」なんですね。
その決まりごとにほっと胸をなでおろす花組と鶴吉。これで、なんの心配も要りませんね。(^^)

親分「…おい!」

子分たち「へい!」

親分の呼びかけにばっと立ち上がり、上手へと全員移動。それにあわせて、階段付近にいたレニと紅蘭も、アイリスの居る下手側の土手上へ移動。マリアさんはひょいと飛び降りて土手下へ。さくら、カンナ、織姫、鶴吉はそのまま土手下に。
親分を先頭に、陣形と整えると…ばっと中腰の挨拶姿勢に。(それにあわせて土手上に残った三人組は右手を前に簡易的に同じポーズを取る。)

親分「…このたびは、素晴らしい口上をお聞かせくださり、ありがとうございやした。
   (土手上三人組、左足のつま先を右足の後ろにちょんとたてて、小首をかしげて返し)
   本所の権太郎、皆さんのこと一生忘れません。
   では、これにて失礼いたしやす。(構えをといて)
   …おい。」

手下「へい。」

親分「……ごめんなすって。」

と、口々に「ごめんなすって」「ごめんなすって」と言いながら、親分先頭に腰を低くして下手のほうへと帰っていく権太郎一家。う〜ん、夏の東京連合の連中と比べると、なんともきれいな帰り方で。(笑)律儀に帰っていく最中、お辞儀して返すマリアさんがなんだかナイス。(笑)

さくら「(笑)なんだか、いい人たちだったんですね。」

マリア「ホントね。」(笑)

ははは…と笑い声を上げて事が収まったことに和む花組。そして、助けられた鶴吉は、舞台中央前方まで出てきて、花組に向かって深々と土下座を。

鶴吉「この度は、なんとお礼を言っていいか…!
   この鶴吉…ご恩は一生忘れません!!」

マリア「…ねぇ鶴吉さん。信じてるわよ。
    心を入れ替えて働くわね?親孝行するわね?」

鶴吉「(マリアの方を見ながら)はいっ……あっしは、生まれかわります!」

カンナ「もしまた母ちゃん泣かすようなことしやがったら…
    (鶴吉、正面を向いてカンナの方に顔を向ける)
    今度はあたいらが承知しねぇからな!わかったな!!」

と、少々きつ〜くお急を据えるカンナ。

鶴吉「はい!はい!!もちろんですっ!!」(汗)

じぃ〜〜と鶴吉に釘をさすように囲むマリアと織姫、さくら、カンナ。上ではアイリスがニッコリと笑って、レニと紅蘭は手を打ち合って「よしよし」と安心を。(笑)

鶴吉「あははは……いやぁ、花組さんはヤクザより怖ぇや。」(笑)

冗談交じりの鶴吉の言葉に、ふっと場が和む。「怖いのはマリアだな〜」「あなたでしょ?」とお互いに指を指しあうカンナとマリア。これで、これにてこの場は一件落着ですね。

織姫「(笑)あ〜あ!結局、年越しちゃいましたね〜」

アイリス「あ〜ホントだぁ〜〜…」

さくら「さ!お婆さんの所に戻りましょ!」

マリア「そうしましょ。」

蕎麦を食べずにね。(^^;;
さくらの言葉に異を言う人は誰もおらず、全員同意を示して上手へ向かう。

カンナ「そうだよ!蕎麦できてるよ、きっと!!
    戻ろ戻ろ!!蕎麦蕎麦ぁ〜〜!!」

待ちきれない、と走るカンナを先頭に、「もう、カンナさんてばぁ」とさくら、「もうお腹ペコペコだよ〜」と階段を下りて合流するレニ、と紅蘭。マリア、鶴吉。織姫、アイリスと次々に上手へ下がると、舞台暗転で回転。
再び蕎麦屋へ…
まだ薄暗く、回りきらない中、店内を忙しなく動いているのは残った大神と親方とかえでさん。
お箸を準備したり、テーブルを直したり、イスを並べたり、お酒を用意したり…と忙しい忙しい。

親方「かえでさん、もう酔いも冷めちゃったみたいですね。」

かえで「ええ、もうすっかり(^^)
    うふふ…さぁ、後はお蕎麦よ!」

親方「ああ、蕎麦蕎麦!」

とかえでと親方は店の奥へ。大神さんは店内整備の最後の仕上げをしてから店の奥へ。
そして、誰もいなくなったと同時に、戸が元気よく開かれてみんなのご帰還です!

カンナ「おい婆ちゃん!息子取り返してきてやったぞ〜!
    (蕎麦打ち場に走りこんで)あれ?婆ちゃ〜ん?」

元気に走りこんできたカンナが声を上げて吉報を告げますが、婆さんの反応はなし。きっと店の奥に居るんですね。
続いて「ただいま〜」とアイリスと紅蘭が入ってきて店の下手側のテーブルの傍へ。入り口付近でさくら、織姫…と残りのメンバーが和んでいる中、かえでさん、大神さん、親方が店の奥から笊の上に乗った待望の蕎麦を持って戻ってきました!って、なんだかもの凄く金色に輝いてますよ!!

大神「お帰り!」

かえで「ああ、お帰りなさ〜い!」

織姫「あ〜〜!お蕎麦できてる〜〜!!」

さくら「これが金粉蕎麦!?キラキラ光ってるぅ〜〜
    綺麗〜〜!!」

大神から笊を一つ受け取ったさくらや、かえでから笊を受け取った織姫ははじめて見る金粉蕎麦に大喜び!
他のみんなもなんだか興奮気味。(^^)
けれど、その蕎麦をみた瞬間、鶴吉だけが尋常じゃない反応を…

鶴吉「(さくらの持っていた笊をぱっと取って)この輝きは…!
   …こりゃあ、ただの金粉蕎麦じゃねぇぞ!
   まさか…!?(笊をさくらに渡して、蕎麦打ち場へ走りこむ)
   おっかさん!!」

ただの金粉蕎麦じゃない―――という発言に疑問符を浮かべる花組の面々。

鶴吉「おっかさん!!」

蕎麦打ち場には誰もいない―――ただ、婆さんの前掛けだけがある。

鶴吉「おっかさん!?(前掛けを掴み取って)
   ……おっかさーーん!!」

ただ嘆く鶴吉。なんか、大事に…?と、心配そうに蕎麦打ち場を覗く紅蘭とアイリスの背後から、緊張感のない声が…

婆さん「はいはい〜今、最後のお蕎麦が出来上がりましたよぉ〜〜」

と、その声に舞台中央を空けて待つ面々。店の奥へとつながるのれんの両脇に立っていた親方と大神さんが同時にばっと暖簾を上げると、そこから現れたのは!!

全員「!?!!!?!??」

なんと、ありがたい仏様の姿に変貌したお婆さん!!手には金色に輝く金粉蕎麦!その体もまさに黄金の如く光り輝いております!!!(大笑)
しずしずと歩いてくるお婆さん…なんか…神々しいんだか、なんだか…

婆さん「…わたくしが、丹精こめて打った金粉蕎麦…
    召上りください。」

鶴吉「おっかさん!!(下手側、舞台前方に出ながら)
   おめぇまさか…天に選ばれし蕎麦職人が、一生に一度だけ打てるって言う
   あの!幻の秘儀をぉ!!」

婆さん「ああ、そうだよ!!(かえでさん、大神さん、親方が婆さんの背後にスタンバイ)」
4人「(蕎麦を高々と掲げ)金剛力!!
   千手観音打ち!!」

ばっと後ろの三人が観音様の千手の役をしています。(笑!)
……こ、神々しいんだか、馬鹿馬鹿しいんだか……いや!神々しいです!!(爆)

婆さん「命を削る金剛力千手観音打ち!
    あ!見事にぃ〜〜!打ちきったよぉぉ〜〜〜!!」
かえで「…はい!」

と、掛け声一つかけて元に戻る3人。(笑)
蕎麦職人はそんな秘儀が…!!(爆)

婆さん「このお蕎麦を食べると…(下手側にいる花組に向かって)
    四万六千日の健康が約束されるのさぁ…!(上手にいる花組に向かって)
    (鶴吉のほうを向いて)さぁ鶴吉…お前も食いなぁ…!」

思わず婆さんを見て拝む花組。(笑)
でもなんだか拝まずにはいられないなにかがありますよね。(爆)
そして、深い親の愛に感激した鶴吉はしっかと抱きついて…

鶴吉「っばかやろぅっ!
   (顔を手でなぞって)こんな金粉まみれになりやがって…!!
   (ちょっと距離をおいて)これだけありゃあ、お前…もう一勝負できたじゃねぇかよ!」

鶴吉の不意に出た言葉に「ええっ!?」とずっこける婆さんや花組の面々。
鶴吉さん、ダメじゃないですかぁ;;

婆さん「お前という奴は〜!この馬鹿息子!!」

全然懲りてない鶴吉に、かっと頭に血が上った婆さんは、思わず手に持っていた金粉蕎麦を鶴吉にぶつける!
またおしゃかに!?と思いきや、今回は物が物なので「もったいねぇ!もったいねぇ!!」と鶴吉があたふたしながらもキャッチ。(^^;;

マリア「あなた…(銃を構えながら)まだ懲りないの?」

まだ心底改心しきってない鶴吉に、すかさずマリアさんが釘を刺す。(笑)そんなマリアさんの笑みを見て鶴吉は「いえいえ、滅相もない;;」と必死に後ずさりながら取り繕っていると背後で指を鳴らしていたカンナにぶつかって、またまた冷や汗が。(^^;;

鶴吉「冗談ですって!!(汗)
   あ!蕎麦食べましょ、蕎麦!
   うちのおっかさんが作った蕎麦!美味しいですよ〜!」

と、母親をよいしょする姿にそれ以上の追求はせずに、笑みを浮かべる花組。

さくら「そうね、頂きましょ金粉蕎麦!
    四万六千日の健康が約束された!(^^)」

婆さん「はい。」(^^)

カンナ「そうだよ、食おう食おう!
    年越しちゃった蕎麦!」

と、一番左のテーブルに向かうカンナ。
あはは、そうですね。年越し蕎麦ならぬ、年越しちゃった蕎麦ですね。
「そうね、食べましょう」とかえでさんたちと笑顔で席の準備をする花組ですが…

織姫「年越しちゃった蕎麦って―――あーーーーー!!!!」

何かを思い立ったように突然大きな声を出す織姫!!その声にみんながビックリして振り向くと…

織姫「忘れてた!!(全員を指しながら)
   みんな、なにかとってもたいせつなことわすれてないですか!?
   ほら!…新年ですよ!」

と指摘され、全員同じ事を思い立ったのか「ああ〜」と言いながらバタバタと舞台中央前方に二列になって勢揃い。
前列が花組メンバーで、下手から順に紅蘭、カンナ、織姫、アイリス、かえで、さくら、マリア、レニ、大神。
後列は下手から順に親方、婆さん、鶴吉。

かえで「大変大変…(すっと息を落ち着かせて)
    皆さま!!」

全員「明けましておめでとうございます!」(深々と礼)

さくら「(顔を上げて)今年も!」

全員「よろしくお願いします!!」(再び礼)

そう、新年のご挨拶です!今年も、良い年になるといいですね。(^^)
「つばさ」のイントロが流れる中、微笑みながら隣りの人と挨拶を交わします。

カンナ「おい!もう、挨拶はいいから食おうよ、年越しちゃった蕎麦!」

もう、ホントに待ちきれないカンナが一足先にテーブルに戻り、蕎麦を食べようと催促。
それを受けて全員席につく中、チョンッと拍子木が。
それに続いて連続で拍子木が鳴るのと平行して舞台が徐々に暗くなり幕も下りてきて、これにて第一幕終了です!



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